【動画で見る】メルセデス・ベンツGクラス再評価
先日、メルセデス・ベンツ日本が開催した試乗会で、久々にメルセデス・ベンツGクラスに乗った。ご存知の方も多いだろうが、このモデルは今から39年前の1979年に世に送り出され、現在もなお生きながらえている“生きた名車”である。
「G」はオフローダーを意味するドイツ語である「ゲレンデヴァーゲン」という意味。もともと軍用車両であったゲレンデヴァーゲンを民生用に仕立てたのが発祥だ。
39年の歴史の中で、その時代に応じたマイナーチェンジが施され、エンジンやインテリアは何度も変わった。しかし基本的な構造は当初の設計が長らく受け継がれてきた。日本では1983年に発売が始まった。1989年に2代目へと進化し、フルタイム4WDを採用。さらに外観ではオーバーフェンダーやサイドステップが与えられ、インテリアでもモダンな内装となった。途中、生産終了の噂が何度か流れたが、現在はG350d、AMG G63、AMG G65の3種類がラインナップされ販売が続く。
そして今年頭のデトロイトショーでは、ついに新型Gクラスが姿を表し、日本でも間もなく新型が登場する。そんなタイミングで今回、改めて現行Gクラスを試乗して、Gクラスを再考する機会を得たのだった。
試乗したのはG350d。Gクラスの中では最もベーシックな、3.0Lのクリーンディーゼル・エンジンを搭載したモデルだ。Gクラスはまず、その内外装が現代のクルマとは全く異なる。では実際に動画でその様子を確認いただければと思う。
そして実際に走らせても、Gクラスはまた現代のクルマと異なる濃い味わいをもっている。この辺りも試乗動画をご覧になっていただければすぐに理解していただけるはずだ。
現代のクルマと最も違うのは、ステアリング・フィール。ハンドル操作する感覚が現代のクルマとまるで違う理由は、ステアリング形式によるもの。現代のクルマの多くは、ラック&ピニオンという形式のステアリング機構を備えるが、Gクラスの場合はリサーキュレーティング・ボール式を備える。ボールナット式とも呼ばれるこの機構は、ハンドルを回す時にねっとりとした感触を伝えてくるのが特徴だ。
高速を走っているとズシリとした安定感と、ハンドルのねっとりとした感触に、思わずクルマに身を委ねてどこまでも進みたくなる。
改めてGクラスを走らせると、そこには最近のクルマでは感じない、ドライブするという豊かな時間を実感できる。そうしてしばし、思いを巡らせることになる。
本来は軍用に発祥を持つ究極の道具であるにもかかわらず、現代の路上で走らせると、そこにはそこはかとなく深い味わいが宿っていることに、時代が変わると感じ方も変わるのだなと、思えたのだった。