高所恐怖症の社長にはならない! 会社を楽しくする「登山家社長」を目指そう
私は常に目標を設定するなら「高い目標」にすべきと話しています。発起人として立ち上げた、モンスター朝会「絶対達成社長の会」に集まる経営者の皆さんにも、常にそのように呼びかけています。低い目標を設定して「絶対達成する!」などと朝から宣言されても盛り上がりませんから。
とはいえ「高い目標」を設定するとき、必ずその「意味」を問い掛けたくなります。何のためにその目標を達成しようとするのか? どんな意味・意義があるのか? と自問自答したくなるのです。しかし、180度発想を転換すれば、その意味もすぐに納得できるはずです。
たとえば現在「WBSCプレミア12」の第1回大会が、日本と台湾で開催されています。連日、日本ハムの中田翔選手が大活躍されていて、大いに盛り上がっています。おそらく日本人であれば、「プレミアム12」で日本代表に優勝してもらいたいと思うことでしょう。
しかし、どうして優勝してもらいたいのか? どうして参加している選手に頑張ってもらいたいのか? それを自問自答したことがあるでしょうか?
他者ではなく、自分が野球やテニス、ゴルフなどの大会に出るときも同じです。優勝を目指すでしょう。上位に入りたいと願うことでしょう。ゲームでも同じ。誰だって、少しでもハイスコアに近づくよう夢中になって遊ぶと思います。前回と同じスコアでいい、頑張ってもお金にならないんだから、と考えるなら、そもそもスポーツもゲームもやらないはずです。
より高みをめざし、それに日々邁進する理由は「楽しい」からです。その道程は決して易しい道のりではないでしょうが、それを成し遂げた先に、これまで見えなかった世界が広がっていると知っているから夢中になれるのです。ちょっとした遊びのスポーツ大会でも、ゲームでも、ついつい一所懸命になるのは、「楽しい」と思うからです。
「前回の大会は10チーム中8位だった。今回も8位を目指そう」
と言う少年野球のコーチがいたら、チームはまとまるでしょうか。団結するでしょうか。所属する少年たちは練習に励み、野球をする楽しさを覚えるでしょうか。誰もこのようなチームを応援したいとは思わないでしょう。
雇われている人ならともかく、雇い人である経営者が「現状維持」の目標を設定して良いはずがありません。いかにして従業員に「楽しい」と感じてもらえるか、多くの経営者が腐心しています。当たり前のことですが、社長である本人が「楽しい」と感じなければ、その思考に感化されることはありません。
スポーツやゲームと経営を同じにするな、という発想は論外です。単なる逃げ。そういう思考であるなら経営者などしなければよいのです。それこそ「高い目標」を設定することに自問自答する前に、なぜ企業を立ち上げたのか、なぜ会社を経営するのかについて自問自答したほうが良いでしょう。そちらのほうが、意味を見つけるのに苦労するはずです。
登山家がなぜ山に登るのか。山頂へ到達するまでに、かなりの苦労・試練があるのは誰もがわかっているのに、それをやめられないのか。その登山家心理と同じです。
高い目標を設定できない人は、いわば「高所恐怖症」なのです。経営者がその恐怖心に打ち勝つことができないのであれば、従業員もまた同様に「高所恐怖症」となっていくでしょう。高いところに登れば、当然にこれまで観てきたソレとは違う世界、景色を目の当たりにします。
なぜ、その世界を観たいのか? なぜまだ見ぬその情景に身を投じたいのか?
その理由は「好奇心」に決まっています。
恐怖心に打ち勝って、あくなき好奇心を満たすために「高い目標」を設定するのです。登山家の心理で経営をしていきましょう。このシンプルな考え方が楽しく経営をするコツであるし、従業員の方々に楽しく仕事をしてもらう秘訣と私は考えています。