札幌―室蘭間、約1時間40分で結ぶ特急すずらん号 JR北海道社長記者会見で乗車状況の質問相次ぐ
札幌―室蘭間を約1時間40分で結ぶ特急すずらん号は、2024年3月のダイヤ改正で自由席がなくなり全席が指定席化。加えて、窓口での往復割引切符の販売が廃止され、割引切符の販売はえきねっとに一本化された。えきねっとでの販売については、前日までにネット予約が必要なうえ、列車への乗車に当たっては紙の切符の発券が必要なことから、ダイヤ改正直後からSNS上には空席が目立つ特急すずらん号の車内の様子が相次いで投稿され、一方で、混雑する苫小牧や室蘭方面の高速バスも様子もSNS上での話題となっていた。
札幌―室蘭間については、ダイヤ改正前までは窓口で往復割引切符を購入すれば約5000円で往復できていたものが、当日購入では正規運賃しか選択肢がなくなり往復約1万円と2倍近い値上げとなった。こうしたことから企業によっては出張でJRの利用を控える動きも出ている。JR北海道が発表した特急列車の利用状況についても、4月と5月のゴールデンウィークともに前年の乗車率を割り込む結果となった。
5月のゴールデンウィーク明けの綿貫社長の記者会見では特急すずらん号の問題について記者から質問が相次いだ。地元紙に掲載されたJR北海道綿貫社長記者会見の一問一答を見ると、「今回の乗車率の数値で東室蘭―苫小牧間が前年割れしていることの受け止めは?」という記者からの質問に対して、綿貫社長は「すずらんは前年比80%ほど。全車指定席の影響が出ているとみている」、続けて「高速バスや普通列車に流れていると想定している」「割引切符を廃止したことも若干影響があるのかなと思っている」と回答した。
筆者も、先週の平日に特急すずらん号の札幌―東室蘭間を予約しているが、朝一便の札幌発東室蘭行は苫小牧駅までは窓側席が全て埋まる程度の予約状況であったが、苫小牧で大半の乗客が降りてしまい苫小牧から先は各車数名程度の乗車状況であった。こうした状況を認識しているのであれば、まっとうな企業であれば傷が浅いうちにすぐに売上状況を改善するための手を打つものであるが、JR北海道にはそうしたやる気があるのか気がかりなところである。
(了)