弾着観測ドローンから見た地対空ミサイルが命中する瞬間
6月5日、ウクライナ陸軍の第45独立砲兵旅団がフェイスブックに投稿した動画に「ドローンが敵の地対空ミサイルに撃墜される瞬間」が映っていました。砲兵戦の為の弾着観測用の小型固定翼ドローン(無人機)に向かってくる敵のミサイルがカメラの映像に収められています。
2022年6月5日にウクライナ軍が報告したドローンの被撃墜
第45独立砲兵旅団のFacebook(元は長い映像で被撃墜は42秒頃)
地対空ミサイルの上昇する様子から携行地対空ミサイルよりも大きな防空システムであることが分かります。垂直上昇していること、噴射煙の量が多いこと、周囲に他のユニットが見当たらないことから、この地対空ミサイルはロシア軍の短距離地対空ミサイル「トール」である可能性が高いでしょう。
トール地対空ミサイルは1両のみ単独でも戦闘可能な自走対空ミサイル車両です。最前線の地上部隊に随伴している運用が多いため、戦場でよく見かける兵器です。
参考:2017年12月5日にロシア軍が報告したトールの演習
撃墜されたウクライナ陸軍第45独立砲兵旅団が使用していた無人機の種類について言及は無く不明ですが、砲兵旅団用には小型固定翼ドローン「A1-SMフリア(А1-СМ «Фурія»)」が弾着観測用によく使われている機種になります。
なおこのドローンはウクライナ国産兵器です。製造会社の「Атлон Авіа(アトロン・アビア)」は同ドローン「А1-СМ «Фурія»」の英語表記を「A1-CM "Furia"」としています。ただし本来はキリル文字をラテン転写する場合は「С」は「S」になるのが基本ルールです。
またウクライナ語「Фурія」の意味は英語で「Fury」なので、「A1-SM "Fury"」と呼ばれる場合もあります。Fury(フューリー)はローマ神話の復讐の女神を意味し、過去に米英の戦闘機の名前によく使われてきました。