Yahoo!ニュース

「片づけなさい!」と言い続けると、こんな子どもが育ちます。

藤原友子小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

私は小中高の4人の子どもと夫と、いつもキレイじゃないけど、何かあればすぐ片づく家に生息し、だれかのマネではなく、自分の暮らしを育てるお手伝いをしています。

「片づけなさい!」という言葉、きっとほとんどのお母さんが言ったことがあるのではないでしょうか。

でも、はっきりと言えることは、「片づけなさい!」だけでは、片づけができる子は育ちません。

というのも、

私が、子どもの頃からあんなに「片づけなさい!」と言われ続けたのに、片づけができないまま大人になってしまったのです。

私には小学生から高校生までの4人の子どもがいます。人が動けばモノも動くので、日々散らかり放題。

片づかなくてイライラするお母さんたちの気持ちは、痛いほどよくわかります。もちろんその言葉は、子どもに片づけができるようになってほしい気持ちから出てくるのでしょう。

そこで今日は、「片づけなさい」を言い続けたら、どんな子に育つのか、「片づけなさい」を言わないのなら、どうしたいいいかについて、考えてみたいと思います。

片づけなくても確かに死ぬことはない

子どもの頃の私の部屋は、ぐちゃぐちゃで足の踏み場がないこともしょっちゅう。部屋が散らかっているために、いつも探し物をしていて、モノも管理できないため、教科書やノートが誰よりも早くボロボロになっていました。

小2の頃の家庭訪問では、「うちの子は片づけができなくて」と先生に相談する母の声を、ふすま越しに聞いた時のことは、今でも覚えています。

当時の私は毎週日曜日になると「片づけなさい!」と母に言われ、母があまりにもうるさいので、仕方なく片づけていました。

だけど、火曜日にはすっかり元通り。

机を使う時は、まず机の上のモノを動かし、スペースを確保することから始めていました。

その後、大人になっても状況は変わらず。私は念願の一人暮らしをし、母から「片づけなさい!」と言われなくなったことで、のびのびと散らかった部屋で過ごすようになり、最終的には「片づけなくても、死なないから大丈夫!」とまで思うようになったのです。

なんとしても我が子は、「片づけができる子」に育てたい!

その後、29歳で片づけができないことをばれぬまま、無に事結婚することができましたが、第1子の妊娠中に、散らかった部屋を見ながら、片づけができないことに不安を感じ始めました。

何とか自己流で片づけを進め、少しずつできるようになって真っ先に思ったことが、「我が子を片づけができる子に育てたい!」ということでした。

長女が生まれ、3歳になった頃には、私は母に言われたように「片づけなさい!」と言い続けました。

3度の食事の前、お出かけ前や寝る前に片づけタイムを設け、人一倍片づけに関して厳しく育てました。

しかし小学生になった長女の勉強スペースは、いつも散らかっています。

そして、私から「片づけなさい!」と言われた時だけ、机の上に空きスペースができます。そして、やはり昔の私のようにすぐに元の状態に戻ってしまうのです。

言えば言うほど長女はイヤな顔をし、面倒くさそうに片づけるようになりました。

そしてある日、「おもちゃを片づけなさい!」を言われた長女は、収納スペースにとりあえず突っ込み、押し込んで、最後には隠すという方法で、リビングを片づけていたのです。

親子2代で「片づけなさい!」と言い続けたのに、片づけができない子に育っていた現実に、私はショックを受けました。

一生懸命やっているのに、どうしてわかってくれないのだろう、どうしてできるようにならないのだろう……。

そこで痛感したのは、「片づけなさい!」と言うだけでは片づけのできる子は育たないということ。

残念ながら、育ったのは親が声をかけた時にだけ「とりあえず元に戻す子」。そして、言い続けることで反発心が生まれ、やる気をそがれた「片づけ嫌いの子」だったのです。

子どもの興味はどこだろう?そこにきっかけがある。

「片づけなさい」と言われ続けた子どもたちは、片づけに良い印象を持っていません。

これまで、私は地元の新聞社の企画で子育て中の家庭にお邪魔し、一緒に子どもたちと片づけをしてきましたが、

不要なモノを捨てるということから、はじめたことはありません。

その子たちの、今一番大事なモノ、今一番はまっていること、など子どもの興味の詰まったモノ大切にすることから始めています。

ビーズで作った飾りを、まとめて部屋の壁面に飾ることから始めたり、

友達との大切な思い出の写真を眺めることのできるスペース作りから始めたり、

大好きな野球の道具を、練習や試合に行くときのことを考えて、必要なモノの置き場を考えたり、

ひょっとしたら親が「いい加減にキレイにしまって!」「こんなにたくさんあるのだから捨てなさい」「いつまでとっているの?」「もういらないでしょ?」と思うモノかもしれません。

でも、子どもたちは、自分の大切なモノを飾ったり、キレイに並べたり、整えたり、つまり大切に扱うことが、そのほかの自分の身の周りを整えるきっかけにもなるのです。

毎日忙しいのに、部屋が散らかっているとイライラするものです。

今すぐ家庭の中から「片づけなさい」という言葉をなくしてほしいとは言いません。

ただ「片づけなさい」という時は、絶対に笑顔ではありません。

だから、心に余裕がある時だけでもよいので、「片づけなさい」ではなく、子どもが好きなモノ、好きなコトを大事にできている注目してあげてほしいと思います。

★関連動画の紹介★

① なぜ「片づけなさい!」がだめなのか。その理由について具体的にお話しています。

子どもの片づけはどこから始めるかについてお話ししています。

小中高4人の母/すぐ片づく暮らし

片づけのプロとして活動を始めたのに、自分の家は「片づけても、また散らかってしまう」という矛盾に悩む。家が散らかってしまうことを隠そうとしていたが、「いつもキレイじゃなくてもいい。何かあったときにすぐに片づく家にしておけばいい」と開き直り新たなメソッドを確立。 いつもキレイにしなくちゃいけない、もっと頑張らなくちゃいけない、そんなプレッシャーから解放され、もっと自由に、その人らしく生きるお手伝いを「片づけ」を通して行っている。著書『片づけられない主婦と片づけ嫌いの子どもを180度変える本』(マガジンランド)

藤原友子の最近の記事