サクラ前線のスタートは高知から
きょう(18日)は全国的に気温が高く、東京では約4か月ぶりに、気温が20度を超えました。また、南風が強まったため、関東地方と四国地方では春一番が吹きました。いずれも、昨年より17日遅い「春一番」です。
春一番は九州から関東にかけての8地方に発表されますが、今年これまで春一番が吹いたのは九州南部、中国、北陸、そして、きょうの関東と四国、あわせて5地方です。
春一番の発表は立春から春分までと期間が限定されているため、必ずしも毎年、春一番の発表があるとは限りません。ましてや、例年より早い、遅いも、あまり意味がないのです。今年の関東の春一番は統計史上(1951年以降)、3番目に遅いといわれているものの、期間を区切った気象現象に、特別な意味はないと思います。
今年の特徴をいえば、春一番をもたらす日本海低気圧よりも、本州の南海上を通過する南岸低気圧の方が目立っていることがあります。冷たい空気と暖かい空気を比べると、やや冷たい空気に分があり、少し専門的にいえば、上空の強い西風(強風帯)が平年よりも、まだ南に位置していることがいえます。
サクラ前線のスタートは高知から
全国(沖縄を除く)で、最も早くサクラが開花する場所を調べてみました。気象台の記録が現在まで残る場所を対象に、1953年から昨年までの61年間です。すると、高知が最も多く、これまでに16回(今年を加えると17回)、2番目以降を大きく引き離しています。暖かいと思われている鹿児島よりも、2倍以上多いのは不思議ですね。
高知のサクラが早く咲くのは偶然ではなく、サクラの開花(ソメイヨシノ)に適した気候だからです。サクラは秋に花芽を作って、冬のあいだは休眠しています。春になって成長を始めるためには、一定期間、寒さにさらされる(経験する)ことが必要で、冬が暖かすぎてはダメなのです。鹿児島が高知よりも遅いのは、冬の気温が高いからといえます。高知は冬が寒く、3月になって急に暖かくなるという、気温の変化がサクラの成長にはちょうどいいのでしょう。
なお、サクラ前線が四国からスタートする年は冬が寒く、一方、関東や東海地方からスタートする年は暖冬という傾向があります。これまで、サクラ前線が東京からスタートした年(1979年、1993年、2007年、2008年)は温暖化の影響で、近年が多くなっています。