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【NHL】ピッツバーグペンギンズがスタンレーカップ獲得!(チームは2度目ながら)初めての2連覇達成

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
スタンレーカップを獲得したクロスビー(Courtesy:@Thesis_94)

今季のNHLのチャンピオンを決める「スタンレーカップ ファイナル」は、昨夜(現地時間)再びナッシュビル(テネシー州)のブリヂストンアリーナに会場を移して第6戦が行われ、2-0 のスコアでピッツバーグ ペンギンズが勝利。

対戦成績を4勝2敗としたピッツバーグが、昨季に続く2連覇を達成しました!

▼最大のポイントは第2ピリオド序盤に!

昨夜のキーポイントは、ともに無得点で迎えた第2ピリオド序盤に訪れたナッシュビル プレデターズのビッグチャンス!

ナッシュビルの選手(黄色#9)が放ったシュートを、ピッツバーグのGKがキャッチできず、ゴール前にこぼれたところを見逃さず、ナッシュビルの他の選手(#10)が、パックを押し込みスコア!

だと思われましたが、二人のレフェリーのうち、シューターの背中側にいたレフェリーは、GKがキャッチしたと判断してしまった模様で、ホイッスルを吹いてゲームがストップ。

ラインズマンも加わって協議をしましたが、ゴールを認めませんでした。

▼アジアリーグでもプレーした元NHL選手が「喝!」

このジャッジには、NHLでプレーしたあと、アジアリーグの日本製紙クレインズにも在籍した タイソン・ナッシュ(現FOXスポーツ解説者)も苦言を呈しました。

「驚くほど早くホイッスルが吹かれた。どうしてそんなに早くホイッスルを吹いたのか理解できない。(ピッツバーグのGKの)マリーは1秒どころか、その半分の時間でさえパックをキープしていないのに」と、不可解なほど拙速なホイッスルに「喝!」を入れました。

▼スタンレーカップのためなら何でもアリ !?

ご覧いただいたシーンでは、ナッシュビルの選手やファンが激高している姿も見られましたが、それもそのはずで、第5戦終了後に掲載したクロスビーも大暴れ! 試合時間は60分なのに、両チームのペナルティは合わせて100分 !!で触れたシドニー・クロスビー(黒#87)が、倒れた相手選手の顔面をグローブで何度も突いたり、、、

ベンチ(画面奥で立ち上がった黒#87)からドリンクボトルをリンクへ投げ込んだのに対しては、、、

サスペンション(出場停止)はおろか、ペナルティすら課せられなかっただけに、ナッシュビルの選手やファンが、ジャッジに不信感を抱いてしまっている心情も、分からないわけでもありません。

しかし、スタンレーカップを手にするためなら、なりふり構わず「何でもアリ!」という心意気が必要不可欠なのかもしれません。

▼今季もクロスビーがMVP

その姿勢をリンク上で実践したのが評価されたのか(?)、今季のコンスマイス トロフィー(プレーオフMVP)に輝いたのは、キャプテンのクロスビー!

昨季に続いて今季も、ゴールやポイント数で上回るチームメイトがいましたが、上記の写真のとおり、ピッツバーグではマリオ・ルミュー(現チェアマン)以来となる、2年連続の受賞となりました。

▼歴史を変えたクロスビー

振り返ると今季のクロスビーは、9月に開催された「第3回・ワールドカップ」でも、カナダの優勝に貢献しMVPを受賞!

その際、当サイトに掲載した「アイスホッケー ワールドカップはカナダが2連覇! でもMVPのクロスビーは喜んでいられない!?」で紹介したように、第1回大会(1996年)のMVPマイク・リクター(当時30歳)と、第2回大会(2004年)のMVPビンセント・ルカバリエ(当時24歳)は、その後、一度も優勝の美酒を味わえずに引退しましたが、クロスビーはその歴史を自らの力で変えました。

さらに加えて、「カンファレンス優勝を果たしたあとに授与されたトロフィーに触ると、スタンレーカップを触ることができない」というジンクスどおりに行動するのをやめて2連覇達成と、NHLで伝わってきた長年にわたるジンクスまでも、クロスビーによって、これから変わっていきそうです。

▼歴史を変えたピッツバーグ

さらに加えて、ピッツバーグもNHLの歴史を変えたのを、ご存知でしょうか?

それは「初めての2連覇」です!

と言っても、NHLではモントリオール カナディアンズが5連覇したのを筆頭に、ピッツバーグも、前述したマリオ・ルミューが2年連続コンスマイストロフィーを受賞した1991年と92年に、2連覇を達成しています。

しかし、それでも「初めての2連覇」だと紹介するのは、「サラリーキャップ制が導入されてから初めての2連覇」を達成したからなのです。

労使交渉が決裂し、全試合がキャンセルされたシーズンの翌年(2005-2006シーズン)から、NHLではサラリーキャップ(チーム年俸総額制限)が導入されました。

年俸総額を超過しても、ぜいたく税と呼ばれる課徴金を支払えばOKというMLBと異なり、NHLのサラリーキャップは、必ず年俸総額を限度内に収めなければなりません。

そのため(長期契約を結んでいる選手もいますが基本的には)優勝に貢献したら年俸をアップするため、サラリーキャップとの兼ね合いから、優勝に貢献した主力の放出もやむなし。

しかしながら、その中で戦力を再構築して2連覇を達成したピッツバーグは歴史を変えたチームと言えるだけに、今季のNHLは語り継がれていくかもしれません。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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