バルサの黄金期を支えた「縁の下の力持ち」ブスケッツが出場機会を減らす理由とは?
セルヒオ・ブスケッツが、バルセロナで正念場を迎えている。ジョゼップ・グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)の下でトップデビューしたブスケッツは、以降、バルセロナのアンカーとして絶対的な存在であり続けてきた。リオネル・メッシをバルセロナの得点源とするならば、チームに軸を一本通すような選手がブスケッツだ。
■グアルディオラの言葉
「1タッチなら、君は世界一だ。2タッチなら、素晴らしい選手。3タッチした場合、凡庸な選手に成り下がる」
これはグアルディオラ監督がブスケッツに投げかけたという有名な言葉だ。このフレーズが、ブスケッツを端的に表現している。中盤の底に位置して、常に味方のサポートを怠らない。また、鋭い読みでインターセプトを行い、即座に速攻の起点になる。
バルセロナの黄金期においてはシャビ・エルナンデス、アンドレス・イニエスタと盤石の中盤を形成した。シャビ、イニエスタ、メッシが輝いた背景には、ブスケッツの縁の下の力持ちとしての仕事があった。攻撃時には壁役として現れ、守備時にはボール奪取から間髪入れずに彼らにパスを預ける。そうして「時間」と「空間」を創り出していた。
グアルディオラ、故ティト・ビラノバ、ヘラルド・マルティーノ、ルイス・エンリケ、エルネスト・バルベルデ...。歴代の指揮官は、誰もがブスケッツを信頼した。いつしか、ブスケッツはバルセロナで不動の存在となった。ヤヤ・トゥーレは定位置確保を求めて移籍し、ハビエル・マスチェラーノはセンターバックへのコンバートを余儀なくされた。バルセロナの「4番」のポジションは、ブスケッツを於いて他にいなかった。
■現代フットボールの傾向
陰りが見え始めたのは、今シーズンに入ってからだ。新加入のフレンキー・デ・ヨング、台頭するアルトゥール・メロと若い力に気圧されるように、ブスケッツは徐々に出場時間を減らしている。
バルベルデ政権で2017-18シーズン(リーガエスパニョーラ31試合出場/出場時間2603分/1試合平均84分)、2018-19シーズン(35試合出場/出場時間2718分/1試合平均78分)とプレータイムを確保してきたブスケッツだが、2019-20シーズン(9試合出場/出場時間655分/1試合平均72分)はフル出場したゲームが少なく、先発から外れる試合さえ出てきた。
現代フットボールの傾向として、中盤にはフィジカル能力が高い選手が起用されるようになっている。今夏、レアル・マドリーが狙っていたポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)、トーマス・トゥヘル監督に重宝されているイドリッサ・ゲイェ(パリ・サンジェルマン)はその筆頭である。
また今季のバルセロナは、アンス・ファティ、カルレス・ペレスらを積極的に起用している。そこからは、カンテラーノと若手選手を重視するというクラブ方針が垣間見える。それも、ブスケッツにとって逆風になっているかもしれない。31歳という年齢に、抗うことはできるのかーー。勝負の年は、幕を開けたばかりだ。