圧倒的な成果を生み出す「朝PDCA」とは?
なぜか近年になって、注目が集まるPDCA
PDCAとは、Plan(計画)・Do(実行)・Check(検証)・Action(改善)のそれぞれの頭文字をとったものです。
近年「鬼束PDCA」「孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきた すごいPDCA」といった書籍が次々にベストセラー化し、あらためてPDCAの考え方に注目が集まっています。
私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。当然、現場でPDCAサイクルをまわすことが主な仕事。PDCAの重要性を体で理解しています。組織でPDCAをまわすためには、役割分担がとても大事。誰がプランニングし、誰が実践し、誰が検証して、改善案を出すのか。バージョンアップしたプランを正しく徹底させる取り組みも重要です。
なぜならPDCAサイクルを「1回転」させることは簡単ですが、「2回転」「3回転」と……。何度も回転させるのにはコツが必要だからです。
ひとりでPDCAサイクルをまわすためには
組織でPDCAサイクルをまわすためには、役割分担が必要だと書きました。しかし個人の目標を達成させるためには、分担ができません。したがって、ひとりでするときは、時間で分担するのです。これを「タイムアロケーション」と呼びます。そしてDを除き、PCAをすべて「朝」に配分するやり方が「朝PDCA」です。
私はボランティアで、3年前の2015年から「絶対達成社長の会」という朝会を毎月主催しています。早朝7時から、達成意欲の高い経営者やビジネスパーソンを集め、自分の目標とプランを公表する「プレゼン大会」がメインイベント。東京ではじめ、3年で名古屋、大阪、福岡など、全国8か所に広がっていきました。
このように、意欲の高いビジネスパーソンが朝から集まり、勉強会などをする「朝活」は、全国で広まっています。なぜ朝なのか?
きちんと睡眠をとることができていれば、朝は思考ノイズが沈殿している時間帯です。目標に向けて正しいプランを立てるには、頭が整理されていなければうまくいきません。ですから、夜という時間帯は避けるべきです。
「今日はお客先で怒られた」「どうして部下にあんなことを言ってしまったのか」「今日もスポーツジムへ行けなかった。今日こそは行こうと思っていたのに」……などと雑念(ノイズ)だらけの頭では、正しく整理された計画を立てることができません。
それに、朝はストレス耐性が高い時間帯です。ちょっと無理かも、と思えるような実行計画を立てるにはこの時間帯をチョイスするほうが無難です。同じ意味で、検証するときも、改善案を出すときも「朝」にこだわることが重要です。
まとめると、朝を選ぶ理由は2つ。
● ストレス耐性が高い時間帯
● ノイズが少ない時間帯
PDCA対象は2つ
PDCAサイクルをまわす対象は2つあります。それが「プロジェクト」と「ルーティン」。期間限定の仕事は「プロジェクト」と呼びます。定期的に実践しなければならないことは「ルーティン」です。
1ヶ月後までに、企画書を作るという仕事は「プロジェクト」です。そのプロジェクトをタスク分解し、どのように計画的に仕事を処理するか、朝にプランニングします。また、計画どおりに実践したか朝にチェックし、計画を修正するならどうするかを考え、最初に立てた計画をメンテナンスします。
「ルーティン」は、単に定期的に実施する仕事ではありません。それならPDCAサイクルをまわす必要などないからです。習慣化していることまでPDCA対象にしていると、PDCAをまわすことが目的となってしまいます。煩雑になり、管理できなくなります。
意識できていないことを意識できるようになることが「ルーティン」です。たとえば、上司に報告・連絡・相談を毎日しなければいけないのに、習慣化できていない、というのであれば、毎朝プランニングし、翌朝どうだったのかをチェックします。できる日もあればできない日もあるでしょう。それなら、どうやって意識改善するのか、朝考える時間をもちましょう。
運動する習慣、ダイエットする習慣、見積もり作業を1時間以内で終わらせる習慣……など、すべて「ルーティン」です。習慣化してしまえば、PDCA対象からはずれます。習慣化するまで「朝PDCA」はつづけていきましょう。
PDCAサイクルの回転数を考える
PDCAサイクルは、よく「まわす」と表現します。「プラン → ドゥ → チェック → アクション」という一連のサイクルをぐるぐると回転させることに、PDCAの本来の意味があります。
先述したとおり、「1回転」しただけでは意味がありません。きちんと目標が達成するまで「2回転」「3回転」――とまわしていきましょう。
ここで意識したいのは「回転数」です。1回のプロジェクトでどれぐらいのPDCAサイクルを回転させたのか、その数字を記録するのです。PDCAサイクルの「アクション」を通過しないと回転していませんから、「回転数=改善数」とも言えます。
1つのプロジェクトを終わらせるのに4回PDCAサイクルをまわしたのであれば、「回転数=4」です。最初に立てた計画や改善案の精度が、この回転数でわかります。回転数をさげるためには、これらの精度をあげていく必要があります。もちろん、プロジェクトを期限内に終了できなければ測定不能。回転数以前に、PDCAが失敗です。
ルーティンは、習慣化までのサイクルです。習慣化するまでに8度、回転させているのであれば、「回転数=8」。回転数が小さいほうが、習慣化するまでの意志が強いと言えます。
なぜ「回転数」を意識するのか?
PDCAという言葉は、どちらかというと古典的な考え方です。しかし意外と現場では浸透しておらず、セミナーなどで「PDCAサイクル」の話をしても、「それは何の略称ですか」と質問してくるマネジャーがあとを絶ちませんでした。
ところが冒頭に書いたとおり、書籍などの影響もあって、今では企業の現場ですっかりおなじみになりました。いまどき「PDCAって何ですか?」と質問するようなビジネスパーソンは、まずいないでしょう。
とはいえ、言葉を知っていてもPDCAというツールを使いこなしていない方がほとんどです。うまくPDCAができない人は、難しく考えすぎている人がほとんど。どうプランニングすればいいのか、どう検証するほうがいいのか、そのための仕組みをどう設計すればいいのか、など。
雑念(ノイズ)が多いと、PDCAサイクルを高速でまわすことはできません。
意識するのは「朝」です。そして「回転数」。とくに慣れるまでは、回転させることに意識を向けましょう。
ごちゃごちゃ考えずにPDCAサイクルをまわし、目標を絶対達成できるよう「朝PDCA」を実践してみましょう。朝、会社に出勤する前、もしくは、はやめに出勤して15分でもいいので自分と向き合うことで、PDCAサイクルの精度がアップします。そして朝から頭の回転スピードもアップして仕事に取り組むことができます。