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立派な親と幸せな親

親野智可等教育評論家
(写真:アフロ)

Yさんという子育て中のママさんが「自分はダメ親です。どうしたら立派な親になれるでしょうか」と言いました。

Yさんには「自分は子どものしつけができてない。勉強でもいい指導ができない。親が自分でなければ、子どもはもっと伸びていけるのではないか。他の親御さんが立派に見える」などの思いがあるようでした。

同じような話は以前にも聞いたことがあります。多かれ少なかれ似たような思いを持っている親御さんは多いのではないでしょうか?

私はYさんに「ダメ親でいいじゃないですか。要は幸せな親になればいいんです。ダメ親でも幸せな親になれますからだいじょうぶです。逆に立派な親を目指すと危ないかも」と言いました。

立派な親を目指すと苦しくなる

私は本当にそう思います。みなさんも立派な親を目指すのはやめて幸せな親になりましょう。なぜなら、立派な親を目指すと2つの理由で息苦しくなるからです。

1つめ。立派な親を目指すと『世間』が判断の基準になってしまいます。そして、世間という他人からどう見えるかが常に気になるようになります。

そうなると、自分たちの本当の気持ちよりも世間の価値観を大事にするようになり、自分たちらしく生きられなくなります。

2つめ。立派な親を目指すと、万事において他の親や他の子と比べるようになります。比べると常に隣の芝生は青く見えて、自分もわが子もみすぼらしく見えるようになります。

そして、わが子が何かをがんばっても「他の子はもっとがんばってる」と思うようになり、わが子が何かできるようになっても「他の子はもっとできる」と思うようになります。

幸せな親なら苦しくならない

幸せな親ならこういうことになりません。その理由も2つあります。

1つめ。幸せというものは常に基準が『自分』の中にあります。ですから、自分やわが子がどうしたいかを考えればいいわけで、他人からどう見えるかなど気にする必要がなくなります。

その結果、自分たちらしく生きられるようになります。つまり、自分軸の生き方ができるようになります。

2つめ。幸せな親なら自分たちが充足していればそれでいいわけで、他の親や他の子と比べる必要もありません。

他の子と比べなければ、わが子のほんのちょっとの成長を素直に喜ぶことができます。

自分と子どもの笑顔を最優先に

ということで、立派な親より幸せな親がオススメです。世間を気にするのをやめ、自分を他の親と比べたりわが子を他の子と比べるのもやめましょう。

「しつけなきゃ」や「○○を直さなきゃ」も「自立させなきゃ」もやめて、「今日も子どもと楽しもう。親子ともども幸せでいよう」くらいの気持ちでいましょう。

そして、子どもとのおしゃべりや触れ合いやスキンシップを大切にし、一緒に遊んだりはしゃいだり大騒ぎしたりしましょう。

短所やしょうもないところには目を瞑り、わが子を丸ごと受け入れてかわいがりましょう。とにかく、自分と子どもの笑顔を最優先にして、明るく楽しく幸せな毎日にしましょう。

このような生活に心がけていれば親子関係は必ずよくなります。そうすれば、子どもの自己肯定感と他者信頼感も高まり、自分のペースでしっかり着実に成長していくことができます。

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教育評論家

教育評論家。本名、杉山桂一。長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。『子育て365日』『反抗期まるごと解決BOOk』などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Instagram、Threads、Twitter、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。オンライン講演も可。お問い合わせは親野智可等の公式サイトから

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