Yahoo!ニュース

【パラリンピック】平昌の銅メダリストは氷上から雪上にステージを変え、36歳で北京の金メダルを目指す!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
氷上から雪上にステージを変えて北京を目指すジョン・スンファン(写真:ロイター/アフロ)

 ピョンチャン(平昌)パラリンピックで銅メダルを獲得したパラアイスホッケー韓国代表のエースプレーヤーの ジョン・スンファン(FW・32歳)が、氷上から雪上に舞台を変えて、北京で金メダルを目指すとの意気込みを表明しました。

▼5歳の時に事故に遭う

 5歳の時に事故に遭ったジョン・スンファンが、パラアイスホッケー(当時の名称はアイススレッジホッケー)の試合を初めて目の当たりにしたのは大学生の時。

 韓国代表と日本の試合を観戦したのがキッカケとなり、パラアイスホッケー選手としての道がスタートしました。

 くしくも韓国は、自国での冬季オリンピック、パラリンピック開催へ向けた招致活動を、2010年大会(開催地はバンクーバー)から本格化していたことも追い風となり、冬季競技の強化にも注力。

 多くのチームメイトと同様に、江原道(カンウォンド=韓国は道州制)の公務員として採用され安定した立場を得た上で、1日10時間にも及ぶ練習や、海外遠征を続けた成果から、2017年の世界選手権で銅メダルを獲得するなどチーム力を高めていきました。

▼銅メダルを演出した氷上のスピードスター

 その中で、ジョン・スンファンは、パワーに長けた大型プレーヤーが揃うアメリカ、カナダの二強に対しても、スケーティングの速さを武器にゴールを決める ”氷上のスピードスター”として大暴れ!

 一方で、キャリアを積み重ねるごとに、プレーメーカーとしてCF(センターフォワード)の役割も担うようになり、ピョンチャン パラリンピックの3位決定戦では、ゴール裏から絶妙なアシストパスを出し(青#14)、銅メダルを勝ち取る決勝点を演出。

 パラリンピック開催前からテレビCMに出演するなど、多くの注目を集めていましたが、メダル獲得の立役者としてメディアが大きく取り上げたのも手伝って、韓国のスポーツファンからの注目度と人気が、一気に高まった模様です。

パラリンピックでの活躍でファンからの人気も高まったジョン・スンファン(Photo:Jiro Kato)
パラリンピックでの活躍でファンからの人気も高まったジョン・スンファン(Photo:Jiro Kato)

▼北京を目指す!

 紹介してきたとおり、自国開催のパラリンピックで銅メダルを獲得したにもかかわらず、ジョン・スンファンは満足していないようです。

 その証拠に、韓国のメディアが報じたところによると「2022年の北京パラリンピック出場を目指す!」と、意気込んでいるとのこと。

 ここまで聞くと、二大会続けてパラアイスホッケーのメダル獲得を目標に掲げていると、思われる方も多いでしょうが、ジョン・スンファンが北京での出場を目指している競技は、パラノルディックスキー

▼訓練生からのスタート

 本格的な競技歴はゼロとあって、まずは今月から訓練生として始動したジョン・スンファン。

 韓国パラノルディックスキーチームのキム・クゥワンレイ監督が、「(バイアスロン競技用に)射撃のライセンス取得が必要になるし、競技の特性についても学んでいく必要がある」と話しているように、文字どおり一からのスタートとなりますが、パラアイスホッケー韓国代表のエースプレーヤーの姿を、北京で見ることができるでしょうか?

▼Never Give Up

 「セールスポイントは?」

 以前に長野での国際大会のため来日した際、こんな問い掛けをすると、ジョン・スンファンから返ってきた言葉は、

「Never Give Up」

 氷上のスピードスターは、決してあきらめることなく、36歳になって迎える4年後の北京パラリンピックで、雪上のスピードスターを目指します。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

加藤じろうの最近の記事