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三浦春馬さん『ツーリスト』台北篇のロケ地「倉」閉店!オーナーが語った春馬さん撮影秘話

篠田博之月刊『創』編集長
『ツーリスト』台北篇のロケ地「城市草倉」、通称「倉」(許芬媛さん提供)

ドラマ『ツーリスト』台北篇ロケ地「城市草倉」が閉店

 まもなく2024年7月18日がやってくる。2020年のその日は、今日まで活動を続ける三浦春馬ファン、いわゆる春友さんたちにとっては、忘れられない悲しい日だ。

 7月7日の七夕にはまた春馬さんの映画が全国で特別上映される。あの日からもう4年もたつというのに、いまだに全国でそういう取り組みがなされるというのはすごいことだ。

 またこの6月は、来年4~6月の「キンキーブーツ」公演の概要が発表されるという、春友さんたちにとっては大きな出来事があった。これについては今後、随時情報をお伝えしようと思うが、その前に今回は台湾の話を紹介しよう。

 春馬ファンたちの活動は全国、いや海外にまで及んでいるのだが、春友さんが日本から大勢訪れ活発だったのが台湾だった。その台湾の複数の春馬スポットのうちの大きなひとつ、 春馬さんが主演したドラマ『ツーリスト』台北篇でロケが行われたお店「城市草倉」、通称「倉」が、なんとこの6月に閉店となった。

「城市草倉」店内と春馬さん寄贈の絵画(許芬媛さん提供。以下同)
「城市草倉」店内と春馬さん寄贈の絵画(許芬媛さん提供。以下同)

『ツーリスト』撮影後、ドラマで使われた絵画を、春馬さんがサインしてプレゼントした。その後、それを見ようと大勢の春友さんが訪れていたのだが、ついに閉店となってしまったのだった。

 今回、日本からわざわざ訪れていた春友さんたちに対して、店のオーナーからのお礼のメッセージと撮影秘話を、春友さんである許芬媛(きょぶんえん)さんが送ってくれた。とても貴重な内容なので紹介しよう。

「城市草倉」オーナーからのメッセージ

 まずその許芬媛からのメールだ。「城市草倉」オーナーからのメッセージも含まれている。

《台湾出身の許芬媛です。三浦春馬さん主演ドラマ『ツーリスト』台北篇のロケ地に使った喫茶「城市草倉」、通称「倉」が閉店することになりました。台湾で唯一春馬さんのサインが見られる大切な場所がなくなる、本当に寂しくて悲しいことです。閉店のことを知ったたくさんの春友さんが一目でも春馬さんのサイン入りの絵を見たいと、遠い日本から海を越え訪れたことを「倉」のオーナーさんから聞きました。

 そして6月の初め頃にオーナーさんから私宛にメールが届き、春馬さんを愛したファンの方々にも知ってほしいと書いてありました。全編中国語でしたので、私が翻訳しました。

 春馬さんの撮影の様子などを教えていただいたので、たくさんの春友さんにも読んでほしいと思い、オーナーの陳さんと王さんのご好意と許可を得て公表することにしました。

 お2人からは「ファンの皆様にご満足いただければ幸いです」というメッセージもいただいています。》

「倉」オーナーの陳さん王さんと許芬媛さん(右)
「倉」オーナーの陳さん王さんと許芬媛さん(右)

『ツーリスト』台北篇撮影の舞台裏

 そして以下、彼女が「倉」のオーナーさんとやりとりした内容をQ&A形式でお伝えしよう。

《Q.映画の撮影日はいつでしたか?

A.確か2018年1月21日です。この絵は撮影の翌日、春馬さんが宿泊したホテルで、春馬さんにサインを書いてもらって、店に届けてくださいました。その絵のサインの日付は2018年1月22日なのです。

Q.撮影はどのようにして決まったのでしょうか?

A.台湾側のスタッフが撮影場所を選定中、当店の前を通りかかって、雰囲気がぴったりと思ったようです。写真を撮って、日本の監督に薦め、監督は写真を見て、ここだと決めたそうです。

Q.撮影前に三浦春馬さん、(共演した)池田エライザさんのことを知ってましたか?

A.映画『恋空』『永遠の0』は観ました。でも日本の芸能人の名前は詳しくないので、すぐ三浦春馬さんとはわかりませんでした。池田エライザさんは全く知らなかったです。誰が撮影に来るかは、来られてから初めて知りました。》

Q.三浦春馬さんの印象はいかがですか?

A.三浦さんは非常に礼儀正しく、恥ずかしがり屋で親切な人です。待ち時間でもずーっと微笑んでいました。とてもフレンドリーでした。

Q.撮影を見ていて感じたことは?

A.撮影の間、少しの雑音、例えば冷蔵庫の音や猫の鳴き声でも、すぐ撮影は中断されました。でも暫くして再開されると、俳優の皆さんの表情や動作はすぐに前の状態に戻っていました。それを見ていて、やっぱり彼らはプロの俳優さんだと思いました。

 たった一つのカットでも現場ではいろんな角度を何回も繰り返して、俳優の皆さんも同じ動作、同じセリフを何度も繰り返して演じていました。撮影には忍耐が必要だと思いました。

Q.撮影当時、あなたたちと俳優の皆さんの交流はありましたか?

A.ないです。撮影現場はかなり厳しい雰囲気で、食事の時以外は夜までずっと撮影してました。

Q.撮影時の印象、様子、スタッフの人数などを覚えていますか?

A.もちろん覚えています。いずれのシーンもすべて私たちの心の中に鮮明に残っています。画面では出演者が少ないように見えますが、実際の現場ではたくさんの人がいました。エキストラとスタッフを合わせると少なくとも60~70人くらいいました。店の中には20~30人くらいで、他の人たちは外で待っていました。

 カメラが撮影を始めると呼吸も止まるように思えるほど、非常に慎重で、かつ真剣でした。屋外で道路閉鎖の申請もありました。場面によっては出入り口全体を覆うために大きな黒い幕が使用されることもありました。

 スクリーンに映る映像はほんの数分でも、撮影は朝の6時か7時ごろから始まり、真夜中まで続きました。本当に長い撮影でした。

 ラストのカットは追跡場面での撮影で、夜の12時を過ぎても大きな音がするので、近隣の住民が警察に通報し、警察が注意しに来ました。撮影がすべて終わった後、私たちは安堵のため息をつき、みんな本当に疲れていると感じました。》

三浦春馬さんのサイン
三浦春馬さんのサイン

春馬さんの訃報をどのように知ったか

《Q.三浦春馬さんの訃報をどのようにして知りましたか?

A.ニュースで知りました。今でも本当に信じられない気持ちです。

 近年、春馬さんを惜しむファンが相次いで訪れて、彼を偲びます。毎年、台湾と日本のファンが彼の誕生日を祝いに来ます。

 時には日本人のお客さんが一人で来て、彼のサイン入りの絵を見ながら静かに泣いていたこともありました。春友さんたちのグループが来てとても喜んでくれて、改めて三浦さんとのつながりを感じたと話してくれたこともありました。

 数年経った今でも、言葉や距離の壁を乗り越えて、ファンが彼に会いたいと、わざわざ遠く離れたこの場所に来て、彼を偲んでいます。

 きっと三浦さんは皆さんにたくさんの力と感動を与えてくれたと思います! このような特別な縁を繋いでくれた三浦さんに感謝します。きっと彼も、ファンの皆さんが元気に過ごしているのを見てとても喜んでいることと思います!

Q.サイン入りの絵は今後どうなるでしょうか?

A.多くのファンは絵が売られるのではないかと心配していますが、心配しないでください。この絵は私たちにとってとても大切な贈り物です。

 私たちは、この絵を大切に収蔵します。今後、もし機会があれば、またこの絵に皆さんを会わせてあげることがあるかもしれません。

 謝謝 三浦春馬

 遠方から来てくれた日本の友達、本当にありがとう! お元気で!》

 このほか、『創』には7・18を前にしてたくさんの春友さんからメッセージや想いが届いているが、またの機会に紹介しよう。

 そしてもうひとつ、ここで紹介しておきたいのは、この5月に春友さんから届いた以下のメールだ。dekoさんこと銀屋純子さんが「『日本製』届け隊」として、全国の図書館に三浦春馬さんの『日本製』を寄贈する活動を続けてきたことは知られているが、今回メールを送ってきたマレイ明美さんによると、その蔵書を図書館にずっと置いてもらうためには、それが市民への貸し出しなどに利用されている実績が大切で、そのためには全国の春友さんたちの協力が必要だという。まずは投稿を紹介しよう。

図書館から『日本製』をなくさないために

《春馬ファンなら『日本製』を購入し、読まれた方も多いだろう。

 2020年4月5日に発行されたこの本は、わずか発売2週間で緊急重版され、その後も何度も重版され、現在出ているのは2022年2月1日発行12刷目である。私が初めて『日本製』を知ったのは2020年7月4日放送の日本テレビ「世界一受けたい授業」でだった。

 我が家の土曜日の夕食時では毎週普通に観ていた番組だった。「へぇ~春馬くん、俳優以外にこんな本もだしてるんだ。凄いね」。当時は、そんな印象だった。まさかこの2週間後にあんなショックなことが起こるとは……。

 あの当時、『日本製』は、注文してもなかなか入荷せず、その年の10月にやっと私の元へも届いた。手にすると、まるで辞書のようにずっしりと重みがあり、開いてみると細かい字がぎっしり詰まって、その取材量の多さと内容の濃さに驚いた。

 つい先日、ヤフーオークションで図書館リサイクル本の『日本製』を、目にしてしまい非常にショックを受けた。

 現在、日本全国の公共図書館には、たくさんの『日本製』が蔵書されている。図書館自らの選書や利用者からのリクエストでの購入、そして寄贈によるものである。

 図書館蔵書検索サイト「カーリル」を使ってみると、都道府県ごとの蔵書先や貸し出し状況もすぐわかる。残念ながら『日本製』は、沢山の図書館に蔵書されていても借りられていない所が多い。

 このままこの状態が続き、貸出履歴がなければ、いずれはリサイクル本や廃棄に回されてしまうのだ。図書館の収容スペースには限りがあり、新しい本や寄贈本が入ってくるなか、いくら良い本でも借り手がなければ図書館側でもそうせざるを得ないのだろう。

 図書館に蔵書された『日本製』のうち、寄贈本がどれだけの割合を占めるのかは定かではないが、今まで多くの方からたくさんの本が届けられたと思う。その中でも日本全国47都道府県に400冊以上も寄贈された、『創』でもお馴染みの春馬くんの鉛筆画家のdekoさんの「日本製届け隊」の活動にはとても感銘を受けた。図書館ごとに収書方針や寄贈のルールも異なり、大変だったに違いないのに、いつも感謝の気持ちを忘れず、春馬さんに恥ずかしくないようにと、心がけられたその真摯な姿勢には尊敬と感謝しかなく、今後この寄贈された本を含めたくさんの『日本製』を、一冊も無駄にすることなく末長く図書館で読み継がれていくには、どうすればよいのだろうかと考えた。そしてここは、全国の春友さんと協力しあって『日本製』を見守っていけることができたらと、思った。

 既に図書館で定期的に借りたり、身近な人に薦めてつなげてくれてる方もいるが、大半は、このような図書館の仕組みをご存知ではないので、まずは「カーリル」で最寄りの図書館に蔵書されているか調べて貸出状況を見てほしい。

 全国に居住する春友さんたちが各々の図書館の『日本製』を見守ってくれれば、今後リサイクル本や廃棄は、回避できるのではないだろうか。この投稿を読んでくれた方が「日本中の人に知ってもらいたいから学校の図書室や図書館においてもらいたいですよね」と語っていた春馬くんの想いを繋げていってくれることを切望し、期待したい。》

 カーリルのサイトは下記だ。

https://calil.jp/

 銀屋さんの活動には多くの春友さんが敬意を表してきたし、それをみて同様の活動を行う春友さんたちも複数いた。確かにせっかく寄贈した本が長く置いておかれることも必要で、マレイ明美さんの提案は耳を傾ける価値があると思う。

 7・18へ向けては創出版から待望の『三浦春馬 死を超えて生きる人Part5』も刊行予定だし、全国の春友さんがそれぞれの想いを抱き、春活をすると思う。そうした情報はまた随時、このヤフーニュースでも紹介していきたい。

 最後に、この記事と同じタイミングで春馬さんについて別の記事も公開したのでぜひご覧いただきたい。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8afb0de9d23e3bbb7d0512eaacecfbba4e19b517

大騒動となった都知事選での三浦春馬さんポスター事件。いったいどういう経緯だったのか

月刊『創』編集長

月刊『創』編集長・篠田博之1951年茨城県生まれ。一橋大卒。1981年より月刊『創』(つくる)編集長。82年に創出版を設立、現在、代表も兼務。東京新聞にコラム「週刊誌を読む」を十数年にわたり連載。北海道新聞、中国新聞などにも転載されている。日本ペンクラブ言論表現委員会副委員長。東京経済大学大学院講師。著書は『増補版 ドキュメント死刑囚』(ちくま新書)、『生涯編集者』(創出版)他共著多数。専門はメディア批評だが、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも10年以上にわたり接触。その他、元オウム麻原教祖の三女など、多くの事件当事者の手記を『創』に掲載してきた。

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