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「なんか違う」「何かが物足りない」が口癖の自分を変える方法とは?

横山信弘経営コラムニスト
何か物足りない毎日……(写真:アフロ)

なぜ「今の自分を変えたい」と思うのか

口ぐせは「なんか」です。「何か」です。「なんか物足りない」「何かが違う」「なんか変えたい」「何かがほしい。何かわからないけれど、何かがほしい」……。このように、「なんか」「何か」と、得体のしれない何かを探し求めている人がいます。

何か大きな夢があるわけでもない。明確な目標があるわけでもないし、やりたいことがあるわけでもない。にもかかわらず、今の自分がイヤ。今の自分ではない「何か新しい自分」に変わりたいという悩みを抱えている人が増えているのです。

ビジネスをするうえでのリソース(資源)は、一般的に「ヒト・モノ・カネ」で構成されている、と言われます。人間が生活するうえで必要なリソースも同様に「ヒト・モノ・カネ」の切り口で考えると整理しやすいでしょう。「ヒト・モノ・カネ」というリソースが、どれだけ足りていて、どれほど不足しているかで捉えるのです。

たとえば「ヒト」という切り口。SNSがこれだけ普及すると、友達に困ることも相対的に減ってきたと言えます。「モノ」に関しても同じ。車や家電品の販売データを統計的に分析すればわかりますが、物質的豊かさを求める人も減っています。若い人の就労意欲を調査すれば、がむしゃらに働いてお金儲けしたいという人もマイノリティになってきました。つまり、一般的に心を満たすリソース「ヒト・モノ・カネ」は、それなりに多くの人は手に入れてしまった、と考えてもいいのです。

しかし活力の原動力は、「飢え」や「渇き」です。足りないものがあるから、その不足分を足そうとして人は能動的に活動をはじめます。脳の「空白の原則」が働きますから、空白を埋めたくなるという心理が働くのです。

現状に不足分がないと活力が湧き上がってきませんから、当然「満たされない気持ち」に満たされます。この現状を打破したいのですが、現状に取り立てて不足分がないため、現状を変えたい、自分を変えたいと思っても、その原動力が見当たらないため堂々巡りを繰り返します。

誰にも共感されない

満たされているからこそ、満たされない。足りているからこそ、物足りなさを感じる。……このような心情は、おそらく多くの人に共感されないでしょう。

「今のままでいいじゃない」

「そんな悩みがあるってことは、今が幸せな証拠だよ」

と、大抵は言われ、まともに相手にされないことでしょう。もしくは、

「何かやりたいことでもないの?」

「何か新しい目標でも決めて、がんばったら?」

と言われるのがオチ。欲しい物がないのに、「お父さんが誕生日プレゼントで何か買ってあげるから、欲しい物を言いなさい」と言われ続けているのと同じです。

欲しくもないのに「クマのぬいぐるみが欲しい」とでも言ったら大変。そのぬいぐるみで遊んでないとお父さんから「せっかく誕生日に買ってやったのに、どうして遊ばないんだ? クマさんが可哀想だろう」と責められるからです。ですから、「何も要らない」と言ったほうが得策だと子どもは覚えるのです。

自分の心に嘘をついて、自分のやりたいことを無理やり見つけようとするのに、多くの人は疲れています。しかし、それでも満たされない心を満たそうとして、自分を変えたいと願うのです。

人を変えるのは「ヒト」である。

「何か新しい自分」になるためには、「何か新しいこと」をスタートさせることが大事です。そのためには「何か新しい人」との出会いが最も効果的と言えます。ヨガをやってもいいし、陶芸をはじめてもいい。ただ、自分ひとりでやるのではなく、真剣に取り組んでいる人たちと一緒にすることをお勧めします。

やりたいことが明確にある人と過ごすことで影響を受けます。「感化」されるのです。これが集団になっていくと「集団同調性バイアス」がかかってきます。いい影響を受け、「何か新しい発見」を得られる可能性が高まるのです。

気を付けたいのは、どんな集団に身を置くか、です。常識的に見て、健全な集まりに関わるほうがよいでしょう。お金がほしいわけでもないのに、今の自分を変えたいからといって、女性の下着や健康食品を扱ったネットワークビジネスに夢中になる人がいます。新興宗教に心を奪われる人もいます。誰にも理解されない自分の心情に共感してくれる、数少ない仲間をそこで見つけるからでしょう。

ネットワークビジネスや新興宗教に力を注ぐことを否定はしませんが、今、自分の周囲にいる家族や友人、ビジネスパートナーがそこそこ理解してくれるような健全な集まりに参加することを私はおススメします。

「何か新しい自分」に変わりたいと願うのであれば、「何か新しい人」「何か新しい集り」との出会いを探してみてはいかがでしょうか。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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