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新K-POP事務所「TITAN」 TWICEやSHINEE等の制作陣による世界オーディションに注目!

TITAN提供

2023年が終わろうとしている。

K-POP界ではNewJeansのさらなる躍進が目立った1年だった。K-POPグループ別で「全世界での公式MVのYouTube年間再生回数」は4位。1位のBLACK PINK、2位BTS、3位TWICEに次ぐ順位で、2020年以降デビューの「第4世代」では堂々の1位だった(K-POPに関するSNSデータを基にトレンド傾向を分析するサイト「K-POP RADAR」による)。

2022年デビューの彼女たちの2年めも続いた活躍により、韓国では女性グループの流れが「ガールズクラッシュからイージーリスニング(聞きやすい、耳あたりのいい音楽)に変わってきている」とさえ評されている。

このグループ、ミン・ヒジン氏のプロデュースによって生まれたグループだということはよく知られたところだ。ミン氏はかつてSMエンターテイメントで少女時代、f(x)、Red Velvetなどのビジュアルを担当した。その後HYBEに移籍し、グループ全体の取締役として自身のレーベルを統括する。

個人的な話で恐縮だが、2010年前半にソウル出張のたびに市内のCDショップに行って(教保文庫光化門店)、彼女の手掛けたアルバムを買いまくっていた。なんとなく目につくアルバムを買うと、ことごとく彼女のものだったのだ…。これを後に知る。いわゆるジャケ買い。そうさせる彼女がスゴい。もちろんアルバムは聞くし、そのグループが好きになっていく。

誰がプロデュースするのか、という点がK-POPの人気のひとつの軸であることは間違いない。TWICEもITZYもJ.Y.PARKの息がかかっている。制作者の意図を想像しつつ「ああそう出てくるか」などと語り合ったりするのもK-POPの楽しみだ。

またまた個人的な話になるが、最近はSTAYCが興味深い。TWICEの「TT」など初期楽曲のほとんどを手掛けた作曲家ブラックアイド・ピルスンによるプロデュースのグループ。「ティーンフレッシュ」を標榜しながら、同世代の女性たちに「今のままでいいの?」とメッセージを発している。「ああ確かにサビのところの歌詞、こうだな~」と制作サイドの考えを読み解いていくのだ。

SMの前CEOとK-POPトップ振付師らがタッグ

その流れにおいて、K-POP界でとんでもない試みが始まろうとしている。

11月29日にソウルで発足記者会見を行ったK-POPの新事務所「TITAN(タイタン) CONTENT」。

そこに登壇した創設メンバー4人の顔ぶれがスゴい。

左上ハン・セミン氏、右上カン・ジョンア氏、左下リア・キム氏、右下イ・ギョム氏。写真=TITAN提供 ※写真は登壇時のものではありません
左上ハン・セミン氏、右上カン・ジョンア氏、左下リア・キム氏、右下イ・ギョム氏。写真=TITAN提供 ※写真は登壇時のものではありません

ハン・セミン氏(理事会議長)…SMエンターテインメント入社後、経営企画、財務の畑を歩み、同社の海外市場進出の際にはグローバルパートナーシップと投資の面で陣頭指揮を執った。2017年にSMの共同代表に。以降はSMの子会社SM C&Cの代表を経て、エイストーリーの代表に。同社はドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を制作したコンテンツ制作会社。

カン・ジョンアCEO(最高経営責任者)…SMエンターテインメントのアーティスト企画総括者として長年活躍した。同社時代には東方神起・少女時代・SHINEE・SUPER JUNIOR・f(x)のほか、近年はIST ENTERTAINMENTでTHE BOYZなども発掘・育成。

リア・キムCPO(chief performance officer)…2014年にダンススタジオ「1MILLION」を設立。SM、YG、JYPでダンストレーナーとして活動し、TWICE、パク・ジェボム、2NE1、Wonder Girls、MAMAMOO、ソンミなどの振付を手掛けた。かのTWICE「TT」も彼女がクリエイトしたもの。

イ・ギョムCVO(chief visual officer)…ファッション雑誌「DAZED KOREA」の編集長としてSEVENTEEN・GOT7・THE BOYZなどのビジュアルを担当。

では、このメンバーが集まり何をしようとしているのか。

2024年からグローバルオーディションをやろうとしている。それも、本社をアメリカ・ロサンゼルスに置き、展開しようとしている。

「数十年来の経験と専門知識が溶け込んだTITANのみの最先端育成システムを通じて、参加者とともに次世代のスーパースターになるためのストーリーを描き、実践する予定です」(リア・キムCPO/11月29日の会見にて)

グローバルオーディションで世界からタレントを発掘…日本にも「関係ある話」

世界中からタレントを発掘し、育成するのだ。2025年には最初の新人を公開予定で、さらに2028年までに多国籍ボーイグループ2組、ガールグループ2組、男女ソロ各1名をデビューさせることを目指している。

TITAN提供
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逸材を集めたところで、人気が出るかは定かではない。しかしプロデュースする側の姿がはっきりと見える場合、その確率はぐっと高まるのではないか。

合わせて、賢明な日本のK-POPファンたちは気づくはずだ。「アメリカで何かやったって、私たちには関係ないでしょ?」

そういう話でもない。

アメリカの音楽専門メディア「Billboard」は、TITANの今後の歩みについてこう記している。

「TITANは、Web3・メタバース・AIなどの新技術を活用したプラットフォーム事業も並行して進める。そうなると、韓国の大手ではないK-POPアーティストたちも、グローバルファンと簡単に出会えるプラットフォームの役割を果たせるようになる。既存の韓国オリジナルのK-POP制作システムを、アメリカ本社のK-POP会社が世界のファンと繋げる。そういう役割を果たせていけるだろう」

Former SM Entertainment CEO Launches New U.S.-Based K-Pop Company

2023年現在、HYBEが運営するプラットフォーム「Weverse」に他社のアーティストも参画しているが、TITANはこれを「Web3・メタバース・AI」という領域でやろうとしている。2019年末に世界で5Gが実用化されて以降、「バズりそうでなかなかバズらない」分野でもあるが… TITANはK-POP史上始めてアメリカ(ロサンゼルス)に本社を置くことにより、グローバルなスケール感でこれに挑む。すでに韓国では国内総資産2位のSKグループ系列であり、音楽プラットフォーム「FLO」を運営する「Dreamusカンパニー」が出資を決定している。

先日、HYBEがアメリカでオーディションを実施し、「韓国人のいないK-POPグループ」のデビューが決まったが、TITANは「そもそもの本社をアメリカに置く」試みを行う。昨年6月にすでに韓国法人を設立、11月末に韓国支社をスタートさせた。来年1月にはロサンゼルス本社オフィスを開設する予定だ。

TAITAN提供
TAITAN提供

最初の取り組みであるグローバルオーディションは、来年1月と2月にアメリカ、カナダ、オーストラリアの主要都市で行われ、2月から3月にかけてはアジア(東南アジア、東アジア)で行われる。日本では大阪と東京で行われる予定だ。

リア・キムCPOは、オーディションに対する思いをこう口にしている。

「世界中に才能ある人材が多くいることは知っています。今回のグローバルオーディションは、そういった参加者たちに世界の舞台で彼らの芸術性とカリスマを披露する、前例のない機会を提供することになるでしょう」

K-POP最強の目利きが世界を対象に人材を選抜し、育てるこの試み。この成功の矢先には…日本のファンももっと「Web3・メタバース・AI」でK-POPを楽しめる日がやってくる。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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