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【オートバイのあれこれ】レースを席巻した空冷グリーンモンスター

Rotti.モトエンスー(moto enthusiast)

全国1,000万人のバイクファンへ送るこのコーナー。

今日は「レースを席巻した空冷グリーンモンスター」をテーマにお話ししようと思います。

ここ最近トレンド化している旧車/絶版バイクのなかでも、とくに高い人気を誇るカワサキの空冷Zシリーズ。

今回はその空冷Zの系譜において、レースシーンで活躍したモデルをご紹介しましょう。

Z1000S』(『KZ1000S』)です!

▲1981年にE・ローソンがZ1000JレーサーでAMA覇者となったことを記念し製作された
▲1981年にE・ローソンがZ1000JレーサーでAMA覇者となったことを記念し製作された

絶版バイク好きの人や古くからのバイクファンであれば、すぐに「エディ・ローソン」「AMAスーパーバイク」といったワードを連想したのではないでしょうか。

Z1000Sは端的に言うと、AMAスーパーバイク選手権(アメリカのロードレース選手権)において、エディ・ローソン氏とともにチャンピオンを獲得した『Z1000J』レーサーの市販バージョンです。

▲ワークス仕様のZ1000Jを駆るローソン。Z1000Sはこれの市販版だ
▲ワークス仕様のZ1000Jを駆るローソン。Z1000Sはこれの市販版だ

言い換えれば、AMA仕様の市販レーシングマシンということ。

もっとも、プロレーサーのローソン氏がライディングした車両はカワサキ直々のワークスチューニングが施された唯一無二の特別仕様だったわけですが、Z1000Sはそれにかなり類似した市販モデルだったのです。

ちなみに、このZ1000Sと同時に生産された公道用市販モデルが、一般的に「ローソンレプリカ」として広く知られている『Z1000R』ですね。

▲こちらが公道用として市販されたZ1000R
▲こちらが公道用として市販されたZ1000R

Z1000Sは、1気筒につき2本のスパークプラグが備わるツインプラグ式シリンダーヘッド、CRキャブレター、KERKER(カーカー)製の集合マフラー、そしてスタビライザー付きのスイングアームなど、パワーユニットからシャシーに至るまで、あらゆる部分がレース用の設計とされていました。

外観だけを見比べれば、ストリートモデルの1000Rとあまり違わないように思える1000Sですが、実際のところ1000Sと1000Rは中身が全く異なっており、その設計に共通性はほとんどありません。

1000Sのピークパワーは135ps/11,000rpmと、当時の大排気量空冷2バルブエンジンにしてはかなりの高回転型。

1000Rが102ps/8,500rpmでしたから、1000Sはやはりレース専用のカリカリチューンドマシンだったと言えるでしょう。

▲元がZ1000Jのエンジンなのは1000SもRも共通。ただし、Sは中身が完全に異なる
▲元がZ1000Jのエンジンなのは1000SもRも共通。ただし、Sは中身が完全に異なる

車体のほうも、車重が222kgあった1000Rに対し1000Sは198kgと大幅に軽く、こうした数字を見れば見るほど、1000Sが「1000Rとは似て非なる存在である」ことが伝わってきます。

1000Sはサーキット専用のレーシングマシンであり、一般ライダーにはほとんど縁の無いバイクでしたが、一方で公道版の1000Rは人気を博し、1982年の初期型(Z1000R1)に続き、’83年には2型(Z1000R2)、そして’84年にはスタイリングデザインのみを踏襲して排気量を上げた『Z1100R』が発売されました。

▲Z1100R。1000Sは世間的に馴染みが薄いものの、公道版の「ローソンレプリカ」は人気を博した
▲Z1100R。1000Sは世間的に馴染みが薄いものの、公道版の「ローソンレプリカ」は人気を博した

現在、Z1000R/1100Rは「角Z」の一角を担う空冷Zモデルとして高い人気を誇り、市場へ出回っている個体もプレミア化が進んでいるようです。

画像引用元:カワサキモータースジャパン

モトエンスー(moto enthusiast)

バイクを楽しむライター。バイク歴15年で乗り継いだ愛車は10台以上。ツーリング/モータースポーツ、オンロード/オフロード、最新バイク/絶版バイク問わず、バイクにまつわることは全部好き。

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