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キム・ヨナの愛弟子にして後継者。フィギュア世界選手権に臨む韓国16歳の実力は?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
イム・ウンス(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

3月20日からさいたまスーパーアリーナで開幕するフィギュアスケートの世界選手権。

今日ショートプログラム(SP)が行われる女子シングルには、日本から紀平梨花、宮原知子、坂本花織らが出場する。

2月の四大陸選手権を制した紀平を筆頭に、世界ランキングでも上位を占める彼女たちに期待が集まっているが、個人的には韓国から出場する若きスケーターにも注目している。

抜群スタイルの「ポスト・ヨナ」

イム・ウンス。2003年2月26日生まれの16歳だ。

今季シニアデビューしたばかりだが、昨年11月のグランプリ(GP)シリーズ・ロシア大会で銅メダルを獲得。韓国女子選手がGPシリーズでメダルを獲得するのは、2009年のキム・ヨナ以来9年ぶりの快挙だけに大きな注目を集めた。

(参考記事:女子フィギュアで9年ぶり快挙を達成したイム・ウンス、「ポスト・ヨナ」の素顔

もともとキム・ヨナに憧れてスケートを始め、ジュニア時代から国際大会で活躍してきたが、今では「ポスト・ヨナ」と報じられるほどの期待株に成長した。『スポーツソウル』とのインタビューではキム・ヨナと同じ言葉を口にするなど、本人もまんざらでもない様子だ。

そのキム・ヨナとの共通点も話題になっている。

例えば、抜群のスタイルだ。「フィギュアをするために生まれてきた体型」とされる長い手足は、キム・ヨナを彷彿とさせると言われている

キム・ヨナは現役引退後、ジュエリーブランドの広告モデルなどに引っ張りだことなっているが、イム・ウンスもそれにも負けず劣らずスタイルの良さが関心を集めているわけだ。

(参考記事:【PHOTO】本当にキム・ヨナ!? “フィギュア女王”の色香漂う優雅な姿

またイム・ウンスは現在、キム・ヨナと同じマネジメント会社であるオールザッツスポーツ社に属している。

同社には、キム・ヨナ以来13年ぶりにジュニア・グランプリファイナルに出場した“天才少女”キム・イェリムも属するが、イム・ウンスへの期待は大きい。

『スポーツソウル』とのインタビューでは、「ヨナオンニ(お姉さん)は、さまざまな経験をもとに多くのアドバイスをしてくださる。大きな助けになる」とも話していた。韓国で伝説的存在となっている“フィギュア女王”の愛弟子でもあるわけだ。

ちなみに、イム・ウンスは昨年からアメリカでラファエル・アルトゥニアン氏から指導を受けている。

アルトゥニアンコーチは、男子世界王者のネイサン・チェンや、女子の本田真凜らを教える指導者だが、過去にはキム・ヨナとライバル関係にあった浅田真央を指導したこともある。そんなところにも、キム・ヨナとの不思議な因縁を感じなくもない。

ジュニア選手に敗北

ただ、今年に入ってからは目立った成果を残せていないのも事実だろう。

世界選手権の韓国代表選抜を兼ねて行われた1月の総合選手権大会では、ジュニア選手のユ・ヨンに敗れて2位で大会を終えている。

ユ・ヨンはイム・ウンスと同じくキム・ヨナを見て育った注目株のひとりで、年齢制限によってイム・ウンスが繰り上げで世界選手権出場を決めた形だ(韓国女子の出場枠は1つ)。

(参考記事:いずれ紀平梨花のライバルに!? 韓国女子フィギュアをにぎわす“ヨナ・キッズ”たち

また、2月に行われた四大陸選手権でも、期待通りの結果を残すことはできなかった。

SPでは4位に入ったがフリーで失速し、最終順位は7位。大きな国際大会の経験を積めたことを前向きに捉える見方もあるが、「演技途中でミスをしても集中を切らさないことが今後の課題」(『SPOTVNEWS』)とも指摘されている。

だからこそ注目したいのが、今日から始まる世界選手権でもある。

韓国メディアは「イム・ウンス、本日フィギュア世界選手権デビュー」(『朝鮮日報』)「イム・ウンス、世界選手権に挑戦状…トップ10が目標」(『オーマイニュース』)「イム・ウンス、キム・ヨナ以降の世界選手権最高成績に挑戦」(『SPOTV NEWS』)と期待を寄せているが、はたしてシニアデビュー当初から注目を集めてきた“ポスト・ヨナ”は、大舞台で実力を示すことができるか。

フィギュアファンの関心は日本勢とロシア勢の争いに集中している印象だが、イム・ウンスがそこに割って入るダークホースになれるか注目だ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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