新型コロナウイルスの株式市場への影響は
厚生労働省によると、3日から横浜港沖に停泊しているクルーズ船で、10人がウイルスに感染していたことが確認されました。
さて、新型コロナウイルスへの懸念から様々な国で中国本土など特定の地域からの渡航禁止を出しています。
例えば、私が住むシンガポールでは2月1日23:59から、14日以内に中国本土への渡航歴を持つ、すべての新規入国者は、シンガポール入国又は、トランジットは許可されなくなりました。
また、死者が出たフィリピンでは中国に加え香港、マカオへの渡航歴も含まれています。
JETROのサイトでは主要国の入国制限措置が一覧になっています。
各国で入国制限の動きが拡大、北京市などでは春節明けの柔軟な勤務形態を奨励
米航空会社が続々中国便を停止したほか、ANAとJALも含めて、中国便の運航を運休や減便する航空会社も増えてきました。
また、グローバル企業の多くでは、武漢をはじめとした中国店舗の一部を休業させています。例えば、コーヒーチェーンのスターバックスは中国本土の店舗の半分余りに当たる2000店舗を休業しています。
新型肺炎流行でスタバは中国2000店舗休業、アップルは供給網混乱想定
様々な経済活動が抑制されている中、株式市場への影響はどのように考えればよいのでしょうか。
まず中国市場ですが、中国政府が市場への大規模な資金供給を行うと共に国内証券会社に自己勘定での株売り制限をかけています。その影響もあって市場も落ち着きを取り戻しています。
恐怖指数(VIX)とは、シカゴ・オプション取引所が、S&P 500を対象とするオプション取引の満期30日のインプライド・ボラティリティを元に算出し、1993年より公表している指数。S&P 500が下落する場合はVIXは上昇する傾向があり、VIXとS&P 500のパフォーマンスは負の相関関係にあります。
リーマンショックの時や米中貿易摩擦から市場に緊張感が走った2018年末と比べると恐怖指数(VIX)は落ち着きを取り戻しているのが分かります。
不透明さは残るものの、その影響は限定的と今のところ市場は物語っているのではないでしょうか。今後、どこまで広がるか予測が付かないものの、中国政府の更なる資金供給もありうるかもしれません。米国も利下げの余地を残していますし、トランプ氏の再選に向けてあらゆる経済対策が行われる可能性があります。
日本の個別銘柄は?
さて、日本の個別銘柄を見ると、マスク関連銘柄やテレワーク系などは上昇しています。反対に、インバウンド銘柄や航空会社を始めとする観光関連は下落しています。
ヤフーファイナンスでも1週間のダイジェストを見ることができます。
今週の【話題株ダイジェスト】 川本産業、中京医薬、昭和化など新型肺炎関連の物色続く (1月27日~31日)
ウィルスによって上昇した株、下落した株を覚えておくことは大切です。SARSの時もテレワーク系は注目をされましたが、また同じようなウィルスが突発的に広がることは繰り返し起こりうるからです。
マスク関連銘柄など今から買うには遅いですが、値段が落ち着いたら買っておいて次回に備えてもよいかもしれません。
また、私が取材をした天才投資家のジム・ロジャーズ氏も観光産業は長期的には伸びると言っているので、観光関連株も下がり過ぎたら検討するのも一つかもしれません。
株式投資で成功をしたければ、有事にも冷静に判断をし、市場の動きをパターン化させて記憶しておくことが大切です。