ローソンがau経済圏になっても「dポイント」は使えるのか
2月6日、三菱商事、KDDI、ローソンの3社が資本業務提携契約を締結し、KDDIがローソン株式の公開買い付けを実施する予定であることを発表しました。
このままいけばローソンは本格的に「au経済圏」に入ることになりますが、いま使える「dポイント」の行方に関心が高まっているようです。
KDDIの技術でコンビニを進化させる
KDDIによるローソン株式の公開買い付けは2024年4月に始まる予定で、最終的には三菱商事とKDDIがローソンの株式を50%ずつ保有する共同経営を目指すとしています。
KDDIのローソンへの出資比率はこれまでの2.1%から50%に高まるものの、2月6日に3社が開いた記者会見からは「KDDIがコンビニ経営に乗り出す」という印象は受けませんでした。
KDDIが示したコンセプト動画では、リモート接客を用いた金融や医薬品、スマホのサポート窓口といったサービスを紹介。他にもAIやドローンといったKDDIの技術を用いて、コンビニを進化させるビジョンを示しています。
また、1月に発生した令和6年能登半島地震の復旧作業が続いていることを踏まえ、非常時の防災拠点についても言及。日常における便利さに加えて、ライフラインとしての役割も引き続き期待できそうです。
店舗数はローソンが約1万4600、KDDIが約2200とのことから、ローソンにauショップのような役割を期待する声もあります。しかし、KDDIの高橋誠社長は「スマホを売りたいと思っているわけでは決してない」と語っています。
KDDIの役割については、「我々に小売業の知見はないが、価値を出すために通信を使っていただくことについてはプロである」(高橋氏)としており、ローソンのDXに伴走していく印象を受けます。
一方、ローソンは2024年1月にデリバリー事業を強化していく方針を発表しており、3月には店舗の商品を最短15分で届けるサービスを始める予定となっています。
こうしたデリバリーでは、注文する側と届ける側、そして商品の在庫がスマホを通してしっかり連動していることが必要となるため、まさにKDDIの通信やデジタル技術を活かせるサービスといえそうです。
KDDIとしてはデータも活用していく構えです。ローソンの店舗を訪れる客は1日約1000万人とのことから、その購買データをKDDIの約3100万人の契約者とあわせてAIで分析していく、といったことが可能になるとしています。
経済圏争いに目を向けると、今後はオンラインとオフラインの連動がさらに増えていくと予想されます。KDDIが全国に実店舗を展開するローソンを活用することで、au・Ponta経済圏をどう盛り上げていくか注目といえるでしょう。
dポイントはどうなる?
ところで、ローソンはポイントサービスとしてPontaポイントに加え、dポイントにも対応していることから、SNS上では「dポイントはどうなるのか?」という懸念が持ち上がっています。
ローソンにはNTTドコモも出資しているものの、KDDIが最終的に50%を保有するとなれば、ドコモは株式を手放すことになると予想されます。ただ、高橋氏は「ドコモと一戦交えるつもりはない」としています。
またローソンの竹増貞信社長は、「基本的にはお客様が選ばれるものだと考える。ドコモやPayPayについても、お客様がお困りにならないようサービスを今後も提供していく」と回答しています。
その上で、「au PAYに強力なサポートが入ると期待している」(竹増氏)、「こういう枠組みになったのでPontaは強化はしていきたい」(高橋氏)という発言もありました。
このようにdポイントカードを続けるかどうか直接的には言及しなかったものの、現時点ではdポイントを継続していくニュアンスが感じられます。
dポイントがたまる・使えることを理由にローソンを定期的に使う人は一定数いると考えられることから、もしdポイントをやめれば、dポイントに対応しているファミリーマートなど他のコンビニに流れる可能性があるといえます。
ただ、KDDIとしてはなるべく多くの買い物をauやPontaの会員情報に紐付けていきたいはず。「ローソンではdポイントよりPontaのほうがおトクだ」と消費者に思わせるような施策を打ち出していくのではないでしょうか。
追記:
2024年2月8日、NTTの2023年度第3四半期決算説明会の質疑応答において島田明社長がこの件に言及しました。
ドコモが保有するローソン株については「2%を保有しているが、その扱いについては決めていない」、ローソンにおけるd払いやdポイントについては、「KDDIと話したわけではない」とした上で、「継続していただけると思っている。なるべく幅広いところで使っていただけるよう努力していきたい」とコメント。d払いやdポイントを引き続き提供していきたいとの意向を示しています。