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藤井聡太名人、防衛2連覇か? 豊島将之九段、巻き返すか? 5月26日から名人戦七番勝負第5局

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 5月26日・27日。北海道紋別市・ホテルオホーツクパレスにおいて、第82期名人戦七番勝負第5局▲藤井聡太名人(21歳)-△豊島将之九段(34歳)戦がおこなわれます。

 七番勝負は藤井名人3連勝のあと、豊島九段が1勝を返しています。

 先後が替わり、第5局の先手番は藤井名人です。先手番で驚異的な勝率を誇る藤井名人に対して、ここまで毎局意欲的な序盤作戦で臨んできた豊島九段が、今回はどのような秘策を用意しているのかが注目されます。

 第5局で藤井名人が勝てば防衛、2連覇を達成します。一方、豊島九段が勝てば、シリーズは第6局へと続きます。

 八冠をあわせもち、タイトル戦でも8割を超える勝率を誇る藤井名人。特に2日制での戦績は圧倒的で、昨年8月の王位戦七番勝負第4局、佐々木大地七段に敗れて以後はずっと勝ち続け、12連勝中でした。豊島九段はその連勝を止めたことになります。

 藤井名人の過去の対戦成績は藤井25勝、豊島12勝。豊島九段は名人戦第4局の勝利で対藤井戦の連敗も12で止めています。

 藤井名人の今年度成績は4勝3敗です。

 藤井名人は名人戦第5局のあと、叡王戦五番勝負第4局も控えています。こちらは伊藤匠七段の挑戦を受け、1勝2敗とカド番に追い込まれています。

 5月23日におこなわれた王将戦就位式では、次のように語っていました。

藤井「叡王戦はスコア的には苦しい状況になってしまっていますけど。やるべきことですとか、臨む上での気持ちというのは、それほどなにか、変えることではないかなと思っているので、いままで通り全力を尽くして指したいというふうに思っています」

 王将就位式では自身のリクエストにより、記念品としてエアロバイクが贈られました。

藤井「やはり、普段なかなか運動することが、これまで少なかったので。そういう機会を作った方がいいかなということを考えていて。せっかくの機会ですので、今回の記念品としてエアロバイクをいただこうというふうに思いました。(1日どれぐらい漕ぐ予定?)今までやったことがないので、ちょっとどれぐらいできるかわからないんですけど。除々にトレーニングの負荷を上げていければいいかなというふうには思っています。(きっかけは?)直接的なきっかけがあったというわけではないんですけど。やはり最近、けっこう棋士の方も、ランニングであったり、やっぱり運動されている方が多いという印象もありましたし。ランニングマシンかエアロバイクかというのを、ちょっと少し、迷ってはいたんですけど。確か谷川(浩司)17世名人がエアロバイクを使われている話をどっかで聞いたことがあったので。それを参考にしてエアロバイクというふうに、最終的に決めたという感じです。(谷川17世名人は詰将棋を解きながらエアロバイクを漕いでいる)自分は(鉄道の先頭車両から前方の風景を撮影した)前面展望の動画とかを見ながらやろうかなと思っていたんですけど。その話を聞くと、詰将棋を解きながらやるべきかと、ちょっと思い直しました。運動することが直接的に、すぐに将棋にいきるというふうには思っていないんですけれども。普段からそうやって運動しておくことが今後、長い目で見たときに、対局においてもやはり少し効果は期待できるのかなとは思っています」

 豊島九段は今年度、6連敗から2連勝と巻き返してきました。

 豊島九段は藤井王座への挑戦権を争うトーナメントではベスト8に進出。公式戦通算600勝を達成し、史上62人目の「将棋栄誉賞」受賞者となっています。

 本局がおこなわれるのは北海道紋別市です。

 本局の立会人は屋敷伸之九段。副立会人は野月浩貴八段と広瀬章人九段。3人とも同じ北海道の札幌市出身です。

 紋別市は勝浦修九段の出身地。野月八段と広瀬九段は勝浦門下の兄弟弟子です。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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