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今も表示され続ける 著名人をかたる詐欺広告をめぐる動きと今後 #専門家のまとめ

多田文明詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト
(写真:當舎慎悟/アフロ)

著名人をかたる広告により、投資詐欺被害に遭う人が続出しています。警察庁発表の令和5年SNS型投資詐欺の被害総額は約277億9千万円ですが、あくまで1年間の数字です。さかのぼれば、被害がどれだけになるのか。想像するだけで恐ろしくなります。投資詐欺への誘導の多くは、メタ社のFacebookなどのSNSの広告が契機になっています。自らも詐欺広告に悪用された前澤友作さんらが国に働き掛けて、規制に向けてようやく動きつつあります。これまでの経緯をまとめます。

ココがポイント

▼今年配信された投資広告の半数以上がなりすましとのことです。最近は森永さんの病状を悪用しての広告もあり、悪質化しています。

メタの投資広告、半数以上が著名人なりすましか 1位は森永卓郎氏、2位に堀江貴文氏(産經新聞)

▼前澤友作さんらが、著名人をかたる詐欺広告に対してのプラットフォーム側の規制強化を訴えましたが、被害の甚大さは深刻です。

ZOZO創業者前澤友作氏 ニセ広告詐欺自民に規制強化訴え(フジテレビ)

▼メタ社も声明を発表。しかし詐欺被害を生み出したことへの謝罪もなく、他人事のような姿勢に大きな反発が巻き起こっています。

著名人になりすました詐欺広告に対する取り組みについて(メタ社)

▼被害を出さないためには、詐欺広告は絶対に表示させない。通報があれば、利用者の目線にたって即座に削除する対応も必要です。

自民、メタに広告停止検討を要請 著名人なりすましSNS詐欺被害(共同通信)

エキスパートの補足・見解

メタ社が声明を発表した後にも、前澤氏の写真が勝手に使われた広告が私のFacebookに表示されています。

この状況は深刻です。被害者から奪われたお金で、新たな詐欺の広告が出されて、次の被害者が出る。これだけの社会問題になっても、投資詐欺につながる広告が出続けるということは、詐欺行為に手を貸しているといわれても仕方のないものです。
ここ数年、詐欺グループは広告費用を捻出してでも、詐欺でお金を騙しとろうとしている傾向が続いています。そのほとんどがSNSの広告から詐欺サイトに誘導されての被害です。長年にわたり、多大な被害を生み出してきた危機感をメタ社はもって、詐欺は絶対に許さないという毅然とした対応が今こそ必要です。

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト

2001年~02年まで、誘われたらついていく雑誌連載を担当。潜入は100ヶ所以上。20年の取材経験から、あらゆる詐欺・悪質商法の実態に精通。「ついていったらこうなった」(彩図社)は番組化し、特番で第8弾まで放送。多数のテレビ番組に出演している。 旧統一教会の元信者だった経験をもとに、教団の問題だけでなく世の中で行われる騙しの手口をいち早く見抜き、被害防止のための講演、講座も行う。2017年~2018年に消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」の委員を務める。近著に『信じる者は、ダマされる。~元統一教会信者だから書けた「マインドコントロール」の手口』(清談社Publico)

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