広い範囲でさわやかな秋晴れから全国的な雨、その後に本格的な寒気が南下して北海道や本州の高い山では雪
広い範囲でさわやかな秋晴れから全国的な雨
11月9日は、大きな高気圧に覆われ、ほぼ全国的に秋晴れとなり、最高気温は、全国的に平年並みか高くなりました。
ただ、日本海北部から間宮海峡に向かっている前線を伴った低気圧の影響で、北海道では雲が多く、東シナ海から日本の南海上で顕在化する前線の影響で九州から紀伊半島では午後から雲が広がり始め、夜から雨が降り始めました(図1)。
ただ、10日は、日本海北部の低気圧はオホーツク海に入って発達し、この低気圧からのびる寒冷前線が北日本から西日本の日本海側を通過する見込みです(図2)。
また、東シナ海で前線が発生し、10日にかけて前線を伴った低気圧が東シナ海から日本の南に進む見込みです。
西日本や北日本は10日、東日本では10日から11日にかけて、低気圧や前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込むため、大気の状態が非常に不安定となる見込みです。
このため、関東甲信~北海道では日本海側から雨が降り始め、午後は太平洋側でも雨が降る見込みです(図3)。
雷雨となる所もありますので、落雷や竜巻などの激しい突風、降ひょう、局地的な非常に激しい雨に注意してください。
発達した積乱雲の近づく兆しがある場合には、建物内に移動するなど、安全確保に努めてください。
それだけに、11月9日のさわやかな秋晴れは貴重でした。
今年の秋から初冬の気温の推移
11月9日で一番気温が高かったのは、沖縄県・鏡原の30.0度で、この1地点だけが最高気温が30度以上の真夏日となりました。
このほか、83地点(気温を観測している914地点の約9パーセント)で最高気温が25度以上の夏日となり、20地点(約2パーセント)で最低気温が0度未満の冬日となりました(図4)。
ほぼ全国的に雨となる11月10日ですが、沖縄県の12地点程度で真夏日に、沖縄や九州南部の40地点ほどで夏日となる見込みです。
その他の地方も、南から暖気が入っている影響で気温は、平年より高いところが多くなりそうです。
ただ、この雨の後はこの時季としては強い寒気が南下し、西高東低の冬型の気圧配置となって季節は一気に冬に向かう見込みです。
11月11日の冬日は110地点程度(約12パーセント)、12日の冬日は200地点(約22パーセント)程度と見込まれており、両日とも20地点程度(約2パーセント)と見込まれている夏日を大きく上回っています。
10月下旬に冬日が夏日を上回っていましたが、一時的で、11月に入ると再び夏日が大幅に増えましたが、ここへきてようやく冬がきたといえそうです。
強い寒気の南下
寒気の強さを示すのに、上空約5500メートルの気温が使われます。
上空約5500メートルで氷点下30度なら平地でも雪の可能性があり、氷点下36度なら大雪の可能性があるからです。
週末から週明けの上空約5500メートルの気温分布予想をみると、11月11日(土)夜には、氷点下36度以下の領域が北海道北部に、氷点下30度以下の領域が津軽海峡付近にまで南下してくる見込みです(図5)。
このため、西高東低の冬型の気圧配置となり、最高気温は平年を大きく下回る見込みです(タイトル画像)。
そして、来週にも再び強い寒気が南下してくる見込みです(図6)。
これからは、周期的に強い寒気が南下し、各地から初雪や初氷、初冠雪などの冬の便りが届くと思われます。
記録的な暑さといわれた今年ですが、初冠雪に関していえば、平年より早いのが15座、遅いのが12座と、平年より早い山が若干多くなっています。
今週末の寒気南下で初冠雪を観測する山があったとしても、平年並みの観測ということができそうです。
また、北海道や本州の標高の高い山では雪が降る見込みで、札幌など多くの地点で初雪を観測しそうです(図7)。
最高気温は平年より大きく下がりますが、最低気温は、これまで暖かい日が続いていたこともあり、下がって平年並みの所が多そうです。
ただ、これまでの暑さの感覚から、平年並みであっても、非常に寒くなったと感じられると思います。
記録的な暑さの年でしたが、立冬を境に記録的な暑さも終焉し、今週末の雨を境に晩秋の気温へと、冬に向かって遅ればせながら進んでいます。
立冬の次は、小雪(しょうせつ:雪が降り始める頃で、今年は11月22日)、大雪(たいせつ:雪が盛んに降りだす頃で、今年は12月7日)、冬至(とうじ:太陽高度が一番低くなる冬の真っただ中で、今年は12月22日)と続きます。
タイトル画像、図2の出典:気象庁ホームページ。
図1、図3、図5、図6、図7の出典:ウェザーマップ提供。
図4、表の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。