逃げる兵士に容赦ない発砲…北朝鮮兵士「JSA帰順」の一部始終(写真17枚)
22日、韓国の国連軍司令部は13日に軍事境界線のJSA(南北共同警備区域)で起きた、北朝鮮兵士による韓国入りの瞬間をとらえた動画を公開した。動画を詳細に分析する。
韓国に向け疾走…銃撃の瞬間をとらえた動画
この兵士の名前をオ氏。年齢は24歳。まず、国連軍が公開した7分弱の動画を元に当時の状況を詳細に振り返ってみたい。写真はすべて動画を筆者がキャプチャしたものだ。
オ氏はこうして韓国軍に救助された後、米軍航空医務後送部隊「ダストオフ(DUSTOFF)」のヘリで応急処置を受けつつ、京畿道の圏域外傷センターに指定されている亜洲大学病院に運ばれた。そこで「銃傷治療では韓国一」とされる名医イ・グクチョン教授の下で治療を受けることになる。
北朝鮮の休戦協定違反は2件
この日、記者会見を行った国連軍のチャド・キャロル公報部長(大佐)は、映像を見せた後で、状況を追加で説明した。
今回の事件は国連軍司令部のオーストラリア、ニュージーランド、韓国、米国で構成された特別チームにより調査され、スウェーデンおよびスイスの中立国監視委員会が調査の過程を観察したという。
そして、この調査により北朝鮮が「停戦協定を2つの点で違反した」ことが明らかになったとした。
停戦協定とは1953年7月27日に国連軍と中朝間で結ばれたものだ。1950年から続いた朝鮮戦争の戦闘行為を止めるものであり、休戦協定とも呼ばれる。現在も有効だ。
違反したのは「一つ目は北朝鮮側が軍事境界線を越えて射撃を行った点で、二つ目は北朝鮮兵士が軍事境界線を越えた点」がそれだ。
停戦協定の第1条6項では「双方はあらゆる非武装地帯(南北それぞれ2キロ)内で、もしくは非武装地帯から非武装地帯に向けてどのような敵対行為も敢行できない」としている。
また、続く7項では「軍事停戦委員会の特定の許可無く、いかなる軍人や民間人も軍事境界線を通過することを許可しない」とある。
今回、北朝鮮側はこの2点を明確に違反したことになる。
これを受け国連軍司令部は22日、「板門店にある北朝鮮とのチャネルを通じ、北朝鮮の停戦協定違反を通報するとともに、国連軍の調査結果を伝え、今後このような違反事項を防止するための会談を要求した」という。
また、今回の「不確かで曖昧な事件を、葛藤をエスカレートさせずに収拾したJSA警備大隊所属の韓国軍大隊長の戦略的な判断を支持する」とした。
一方、この兵士オ氏は順調に回復して、K-POPを好む素朴な一面も見せている。オ氏の病状と、この事件が喚起した様々な議論については明日の記事でまとめる。(続)