韓国人の10人中6人が政府の「原油埋蔵発見」に懐疑的?「徳川埋蔵金」のような「夢」で終わるのか?
「浦項市の迎日湾沖に最大で140億バレルの天然ガスと石油が埋蔵されている可能性がある」との尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の6月3日のビックリ仰天発表から10日が過ぎた。
有望な埋蔵場所は慶尚北道・浦項市の近海でガスと原油の内訳は、ガスが75%、原油が25%となっている。埋蔵規模が140億バレルならば、韓国は世界第15位の産油国となる。
滅多にやらない記者会見を緊急に開き、大統領自らが発表するに至ったのはそれなりの裏付けと確信があったからこそであろう。聞けば、約20年前から探査と試掘を行ってきた産業資源部から昨年2月に資料の分析を依頼された世界最高水準の深海技術評価専門企業(米国のアクトジオ社)がお墨付きを与えたことが決め手となったようだ。
埋蔵量が140億バレルならば、産業資源部の試算では仮に全国民(約5100万人)が消費したとして、ガスは29年分、石油は4年分に匹敵する量になる。金額に換算すると、140億バレルの経済効果は2000兆ウォン(約230兆円)に上ると推定されている。
これだけのビッグニュースにもかかわらず不思議なことに韓国のメディアの反応は良く言えば、冷静、悪く言えば余りにもクールだ。
例えば、3大TVネットワークの一つ、「SBS」は夜8時のニュースでは「大統領の発表後、何社かの株は上がったようだが、探査もボーリングもしていない段階ではまだ不確実な要素が多いというのが専門家らの指摘である」と伝えていた。
また政府系と称されている「朝鮮TV」ですら夜のニュースでアンカーが「仰々しい内容だが、朴正煕(パク・チョンヒ)政権の時にも騒動があっただけに今回は落ち着いて見守り、成功を祈願するのが正解である」とコメントしていた。
朴政権の時の騒動とは、1976年の年頭記者会見で朴正煕大統領(当時)が「浦項の迎日湾に原油が埋蔵されている」と発表したことを指している。この発表に当時、国民は歓喜に浸ったが、1年後に経済性がないことがわかり、産油国への夢はハプニングに終わった。
尹大統領の発表から10日経った今、各メディアには「推定量と実際の埋蔵量との間には大きな差がある。ボーリングしてみなければ、資源の存在や採算性を確認できない」「最初のボーリングから生産に至るまで10年はかかる」「1回のボーリングに1000億ウォンかかり、10回はやらないと採算性が確認できない」「探査の成功率は20%しかない」「米国のアクトジオ社は実体のないペーパーカンパニーではないか」等等、大統領の発表に水を掛けるような「否定的な」記事が散見されている。
こうしたことが影響したようで、世論は段々と懐疑的となり、それが最近の世論調査に現れた。
世論調査会社「JOWON C&IIがインターネット新聞「ストレートニュース」の委託を受け、6月9日から10日にかけて約2千人を対象に行った世論調査では「期待している」が「大いに期待している」(23.1%)を含め36.6%なのに対して「期待していない」は「全く期待していない」の47.9%を含め60.2%もあった。
また、世論調査会社「メディアトマト」が「ニューストマト」の委託を受け去る6月8日から9日にかけて全国成人男女約1千人を対象に行った世論調査でも「大いに期待している」が26.2%なのに対して「期待していない」は60.1%(その他「わからない」が13.7%)となっていた。
韓国政府の期待に反し、現状では残念なことに国民の10人中6人が「原油発見」に期待をかけてないことがわかった。
韓国の「原油埋蔵量」が「徳川幕府埋蔵金」のような類の「伝説」で終わるのか、それとも本当に出るのか、その結果を知るには10年は待たなければならないようだ。