今の季節としては強い寒気が南下 観測が減っている初冠雪や霜のたよりも
寒冷前線の通過
今週は、全国的に時季外れの陽気が続き、西日本を中心に30度を上回って始まりました。
10月4日(火)も、東京の最高気温が30度と、真夏日になる所が多いのですが、寒冷前線が日本列島を通過することから、午後は北海道や東北北部で気温が下がり始め、午前より午後のほうが低い気温となる見込みです(図1)。
前線の通過により、激しい雷雨を伴い、日本海側を中心に天気の急な変化や落雷、竜巻などの激しい突風に注意が必要となります(タイトル画像参照)。
5日(水)は東・西日本でも風の冷たくなる地域があり、寒冷前線に伴う雨を境に季節が一気に進む見込みです。
初がつく現象
気象観測において、初冠雪、初雪、初霜、初氷と、「初」がつくものは、最低気温が氷点下となる「冬日」とともに、秋真っ盛りから冬の到来を告げるものです。
山頂が雪で白くなったのが気象台等から初めて見えることを、その山の初冠雪といいます。
その初冠雪が早いということは、冬の訪れが早いことを意味していますので、初冠雪が平年より早いところが多かった昨年、令和3年(2021年)は、秋が非常に短かったといえるでしょう。
今年、令和4年(2022年)は、現時点で初冠雪を観測したのは甲府地方気象台が9月30日に平年より2日早く観測しただけです(表)。
ただ、寒冷前線通過後、週末にかけて、今の季節としては強い寒気が南下してきますので、各地で平年より早い初冠雪の便りが届くかもしれません(図2)。
となると、今年も昨年と同じく秋が非常に短かったということになります。
初冠雪や初霜などの目視観測
初冠雪や初霜などの観測は、観測者が目視で行っていますので、測候所が無人化されると観測がなくなります。
約100カ所の測候所が無人化され、目視観測は約50カ所の気象台等で行っていますので、初冠雪の観測地点数は、昔の約3分の1となっています。
初冠雪を観測している山の数で言うと約半分になっています。
観測者がいない山の初雪はわかりにくいので、気象台などから遠くの山を観測し、山頂付近が白く見えるようになったときを初冠雪としていますが、山は方向によって積雪の状態が違い、また雲がはれるときの気象も違いますので、観測する場所によって平年日が異なっています。
例えば、現在の富士山の初冠雪は、甲府地方気象台のみで行っていますが、昔は、河口湖測候所や三島測候所、御殿場基地事務所でも行っていました。
昭和55年(1980年)頃の平年値でいえば、甲府が10月5日に対し、三島が10月3日、御殿場が9月28日、河口湖が9月27日と差がありました。
つまり、富士山から一番遠い甲府地方気象台では、雲によって富士山頂が目視できないことが他の観測所より多いことから、冠雪の確認が遅れることを意味します。
とはいえ、毎年同じ条件で長年の観測ですので、統計的には気候変動の傾向がでてきます。
昨年、富士山の甲府地方気象台から見た初冠雪は9月26日ですが、甲府気象台は9月7日に初冠雪を発表しており、それを取り消しての再発表でした。
というのは、富士山頂では9月20日が一年で一番気温の高い日(日平均気温が最高の日)となったため、この日以降で最初に冠雪を観測した日が初冠雪となるからです。
非常に珍しいケースで、富士山以外ではまずない現象です。
気象庁以外でも、山頂が白くなったことを独自に観測し、発表している所があります。
例えば、富士山では、山梨県富士吉田市富士山課が、令和4年9月30日に富士山の「初雪化粧」宣言をしています。
タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁ホームページ。
表の出典:気象庁資料をもとに筆者作成。