サッカー北朝鮮代表を支える強力な「中国」公式スポンサーの存在…突然、会見場に並べた商品配慮への意識
サッカー朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表は6日、中立地のラオスで行われたW杯アジア2次予選でシリアを1-0で下した。これで北朝鮮は11日のミャンマーに勝利し、シリアが日本に引き分け以下なら最終予選進出が決まる。
6日のシリア戦後の両監督の会見には、現地カメラマンは数人いたが、取材する記者は筆者1人という事態。会見場で待っていると北朝鮮のシン・ヨンナム監督と決勝点を決めたチョン・イルグァンが現れたのだが、実はこの時、珍しい光景を目にしていた。
一緒に入ってきた北朝鮮代表チームのスタッフがバッグからいくつかの商品を取り出し、テーブルに並べ始めたのだ。よく見るとサッカーで使用する用品ばかり。見ると中国の「WAYXI」というメーカーで、「アイスパック」や「冷却スプレー」などの商品を取り扱っているようだ。それらをずらっと並べ終えるまで待っていた。そのスタッフは監督にも「ウェアのロゴが見えるようにお願いします」と伝えていた。
スタッフに聞くと「すべて代表チームの公式スポンサーですから」と教えてくれた。今回の試合は北朝鮮のホーム扱い。そのためメディアでスポンサーの露出を少しでも増やそうという意識が徹底されていることに驚かされた。北朝鮮代表の会見でこんなシーンを見たのは初めてだった。
今年1月には中国スポーツメーカーとサプライヤー契約
ちなみに今年1月、北朝鮮代表の男女チームは、中国・湖南省に本社を置くスポーツメーカー「茵浪(インラン)スポーツ」とサプライヤー契約を結んでいる。ユニフォームやベンチコートについている「INLA」のロゴがそれだ。
【参照】:“気になる”サッカー女子北朝鮮代表のベンチコート「INLA」ロゴの正体は?
これだけと思ったが、アイシングや応急措置用の用品もサポートを受けているとあって、そうした用品・用具には困らない状況にあるのがよく分かった。
ここ数年は国連の対北朝鮮制裁の影響で、表選手が着用するユニフォームにはロゴがなかったのだが、それらも今は解消。オフィシャルの用具や用品のサポートも十分に受けられるとあって、細かい部分での心配をすることはなくなった。
そうした下支えが、代表チーム強化の一端になっているとも感じた。シリア戦に勝利し、11日のミャンマー戦に勝てば、最終予選進出の可能性も見えてくる。
もちろん北朝鮮代表チームとしては、そうして結果を残すことが、スポンサーへの恩返しにもなる。ハード面からのチーム内の改革は、監督や選手の意識を少しずつ変えているのだと感じた会見場での一場面だった。