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“気になる”サッカー女子北朝鮮代表のベンチコート「INLA」ロゴの正体は?

金明昱スポーツライター
昨年の杭州アジア大会でも北朝鮮代表選手のユニフォームにロゴはなかった(写真:ロイター/アフロ)

 なでしこジャパンと女子朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表のパリ五輪アジア最終予選の第1戦が24日、サウジアラビア・ジッダで行われる。平壌での開催予定が白紙になり、そこから会場の選定が難航していたが、最終的にサウジアラビアに決まった。

 21日の夜には北朝鮮選手たちが経由地の中国・北京に到着した様子を日本のメディアが一斉に報じていた。すでに昨日の夜にはサウジアラビアに到着していると思われるが、ニュース映像を見て気になったのは、北朝鮮選手たちが着用していた黒のベンチコートのロゴだ。星のマークとローマ字で「INLA」と書かれていた。

 調べてみると、中国・湖南省に本社を置くスポーツメーカー「茵浪(インラン)スポーツ」のロゴ。「INLA」はおそらく茵浪の英字「INLANG」から取ったものだろう。

 同社は今年1月24日、サッカーの北朝鮮男子・女子代表チームの公式スポンサーになったことを発表。中国の各サイトも「湖南茵浪体育有限公司と北朝鮮サッカー協会は戦略的協力協定を締結し、正式に男子・女子サッカー代表チームの公式スポンサーとなった」と伝えている。

 筆者が知る限り、男子代表は今年に入って中国で合宿をしており、中国スーパーリーグのクラブチームとも強化試合を行ったと聞いている。女子も中国で合宿していて、女子北朝鮮代表選手たちは丹東から北京まで列車で移動し、そこから空路でサウジアラビアへ出発したという情報もある。

 いずれにしても中朝のサッカー交流は今も盛んなわけだが、これもパリ五輪最終予選やW杯アジア2次予選が行われることも関係していると思う。

北朝鮮サッカー協会と茵浪体育のサプライヤー契約の調印式の様子(写真・「撞球亭」記事キャプチャー)
北朝鮮サッカー協会と茵浪体育のサプライヤー契約の調印式の様子(写真・「撞球亭」記事キャプチャー)

“新たなサプライヤー契約”だからこそ負けられない?

 過去に北朝鮮代表は2000年シドニー五輪で「FILA」、2006年ドイツW杯アジア予選では「アディダス」のユニフォームを着用して試合に出ていた。元Jリーガーの鄭大世や安英学が出場した2010年南アフリカW杯では、イタリアのスポーツブランド「Legea(レゲア)」と契約を結んでいる。

 以降は、国連の対北朝鮮制裁の影響もあってか、ここ数年は北朝鮮代表の選手たちが着用するユニフォームにはロゴがなかった。長らくサプライヤー契約がなかったのは男女代表ともに頭の痛い問題だったに違いないが、中国メーカーとの契約でユニフォームの問題は解決された。

 選手たちにはニュース映像で見られたベンチコートほのか、練習着やユニフォームなどの用品が支給されるようになったわけだが、「茵浪スポーツ」側も「両国間のサッカー協力の新たな幕開けであり、国家ブランドとしてのステージに立つ重要な一歩」と位置付けている。

 おそらく今回のパリ五輪最終予選の第1戦が、北朝鮮代表の新ユニフォームのお披露目となる。そんな背景も絶対に負けられない理由になるのかもしれない。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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