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兄弟のホームラン記録あれこれ。今年その一つを塗り替えたシーガー兄弟は、将来すべてを制覇するかも

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロビンソン・カノー(左)とカイル・シーガー Jun 16, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

2016年に、シアトル・マリナーズのカイル・シーガーは30本塁打、ロサンゼルス・ドジャースのコリー・シーガーは26本塁打を放った。14年前にジェイソン&ジェレミー・ジアンビが記録した兄弟シーズン合計61本塁打(41本&20本)には及ばなかったものの、カイル&コリーが成し遂げるまで、同じシーズンに揃って25本塁打以上を打った兄弟はいなかった。

これまでは、ブレット&アーロン・ブーンの各24本塁打以上が最も多かった。ブーン兄弟は、揃って25本塁打以上にあと一歩まで迫った。2002年はブレットが24本塁打、アーロンが26本塁打。翌年はブレットが35本塁打を打ったものの、今度はアーロンが24本塁打にとどまった――その代わりというわけではないが、アーロンはリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ第7戦の11回裏に、ワールドシリーズ進出を決めるサヨナラ本塁打を放った。

シーガー兄弟はこれからも打ち続けるだろう。カイルは29歳。レギュラー1年目の2012年に20本塁打を打つと、そこから4年続けて本数を増やし、30本塁打に到達した。コリーは22歳。2016年は満票で新人王に選ばれた。ホームランに限らず、彼らの前途は洋々としている。

史上初の「兄弟ともに200本塁打以上」はメルビン(トロント・ブルージェイズ)とジャスティン(デトロイト・タイガース)のアップトン兄弟(164本&221本)になりそうだが、「兄弟ともに300本塁打以上」の一番乗りはシーガー兄弟(126本&30本)ではないだろうか。

ちなみに、アップトン兄弟が100本目の本塁打を打ったのは、2人とも2012年8月3日だった。球場は別々ながら、弟ジャスティンの100号から兄メルビン(当時はB.J.)の100号までは、1時間も経っていなかった。また、アップトン兄弟とジャスティン・バーランダー(タイガース)の婚約者、ケイト・アップトンは他人だが、2013年には、3人でアトランタ・ブレーブスのユニフォームを着て、スポーツ・イラストレイテッド誌の表紙を飾った。

シーガー兄弟は、ハンク&トミー・アーロンが持つ兄弟合計768本塁打(755本&13本)の通算記録も超えるかもしれない。

アーロン兄弟に次ぐのは、ディマジオ兄弟の合計573本塁打だ。これは、ビンス(125本)、ジョー(361本)、ドム(87本)の3人で記録した。シーガー兄弟も2人だけではない。カイルとコリーの間にはジャスティンがいて、まだメジャーデビューはしていないが、2016年はマリナーズ傘下のA+で、80試合に出場して13本塁打を放った。

同じ兄弟であっても、揃って成功できるとは限らない。ケン・グリフィーJr.(630本塁打)の弟クレイグは、メジャーデビューすることなく、マイナーリーガーのままキャリアを終えた。ホゼ・カンセコ(462本塁打)と双子のオジーは、メジャーリーグで24試合に出場したに過ぎず、本塁打は1本も打てなかった。ただ、シーガー兄弟の次男はまだ24歳だ。兄や弟のようにはなれなくても、メジャーリーグでバットから快音を響かせ、兄弟合計ホームラン記録を塗り替える一端を担う――その可能性はある。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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