舌で味わうシックな春。気品漂う名古屋の「中生菓子」と一緒に楽しむお茶の時間は大人の贅沢。
伏見駅のほど近く、繁華街の入口に佇む「むささきや」さんは、創業1928年。軒先には鮮やかで香しい季節の花が飾られているほか、歴史を感じられる佇まいの店内では、生花が爽やかに季節を彩ります。
格式高い雰囲気は漂いますが、お菓子をひとつからお茶と一緒にいただける喫茶スペースもご用意されているので、ちょっと一息つきたいなという用途にもおすすめです。
むらさきやさんのショーケースで見つけた中生菓子という見慣れない言葉。半生菓子のことかな…と思いつつ、小柄ながらも直感で美味しそうと思うお菓子たちを購入。
今回はむらさきやさんの季節の「中生菓子」をいただきました!
そぼろ状の練り切りであっさりとしたこしあんを挟み焼き色をつけた「菜種焼き」。ほんのり香ばしいといいますか、慣れ親しんだものをこういった形で食べるのは新鮮。ほっこりとする落ち着く味わいです。
黄金色の羽を広げ、軽やかに羽ばたく焼き印が目に飛び込んでくる「蝶」。とろりとした求肥は弾力も兼ね備え、それがまた中の瑞々しい小倉あんとのコントラストになって、咀嚼するたびに混ざりあっていく感覚がまた良き。
「小倉山」は、しっかりと噛み締めながらいただく、やや力強さを感じるお菓子。羊羹のねっとりした食感の中で、芯の求肥にあたると「お!」とラッキーな気分。大胆さをも感じられる小倉あんです。
青々とした生命力すら覚えるような香り高い蓬が練りこまれた草練切「わらび」には、大島あんが大正解。力強い蓬に、黒糖の華やかさとタフさを添えて。彩が緑だけといえども、口の中では春爛漫。不思議なお菓子です。
一般的な練り切り等の生菓子に比べると幾分小ぶりではありますが、多方面からの信頼の厚さが伺えるような代物ばかりでした。
次にお伺いする際は、歴史情緒漂う店内でお茶とお菓子をいただきたいと思います。
<むらさきや>
愛知県名古屋市中区錦2-16-13
052-201-3645
月~金 9時から17時
土 9時から15時
日・祝 定休日
地下鉄東山線「伏見」駅より徒歩3分