今週末にナッシュビルで開催されるNFLドラフトの全体1位指名候補は二刀流選手
2019年度のNFL新人ドラフトが4月25日から27日(日本時間26日から28日)までの3日間に渡って開催される。
NFLのドラフトは1965年から2014年まではニューヨークで開催されていたが、2015年からはシカゴ(2015、16年)、フィラデルフィア(2017年)、ダラス(2018年)と場所を変えて行われ、今年はテネシー州ナッシュビルで開催される。
ドラフトの開催都市がスーパーボウルやメジャーリーグの球宴同様に立候補制となったことで、ここ数年はイベントの規模も増し、ドラフトだけではなく、ファンが楽しめる巨大体験型アトラクションなども併設され、ドラフト開催都市を訪れた人たちが満喫できる一大イベントとなっている。
ドラフトのホストチームであるタイタンズは、本拠地のニッサン・スタジアムの広大な駐車場を開放して、様々なアトラクションを設置。ドラフト候補生が『コンバイン』(NFL全球団幹部の前で行うテスト)で行う40ヤード走や垂直跳びを計測できる身体系アトラクションや、スーパーボウル・トロフィーやスーパーボウル優勝記念指輪の展示などフットボール・ファンが喜ぶイベントを無料開放している。
ドラフトに関するイベントはニッサン・スタジアムだけでなく、ナッシュビルの街を上げて行われている。
ダウンタウンはNFLドラフト一色に染められ、ダウンタウン内でも様々なイベントを開催。『ミュージック・シティ』の異名を誇るナッシュビルだけに、ドラフト期間中は数多くのコンサートが開催されて音楽でもファンを楽しませる。
また、チームとファンを繋ぐ存在であるチアリーダーもフル稼働して、タイタンズ・チアリーダーのメンバーたちは、様々なイベントに参加して、NFLドラフトとファンの距離を縮めている。
今年のドラフトは25日のドラフト1巡目、26日は2巡目と3巡目、最終日の27日は4巡目から7巡目までが指名され、全部で254人の選手が指名される予定。
NFLではドラフト指名権のトレードが認められているので、今年のドラフトではニューイングランド・ペイトリオッツとニューヨーク・ジャイアンツはそれぞれ12個の指名権を持つ一方で、シアトル・シーホークスとシカゴ・ベアーズは5個の指名権しか持っていない。
昨年のドラフトはクオーターバック(QB)が1巡目で5人も指名を受けたが、今年はQB不作のドラフトと言われている。
今年の目玉はディフェンシブライン(DL)で、ニック・ボサ(オハイオ州立大学)、クイナン・ウィリアムス(アラバマ大学)、エド・オリバー(ヒューストン大学)、ジョシュ・アレン(ケンタッキー大学)らのDL選手がトップ10で指名されると予想される。
関連記事: トップ10で4人のQBが指名を受ける!2018年NFLドラフト1日目
全体1位指名権を持つアリゾナ・カージナルスはDLの選手ではなく、オクラホマ大学のカイラー・マレーの指名が濃厚。
昨季の大学ナンバー1選手に送られるハイズマン賞に輝いたマレーは、大谷翔平も真っ青の二刀流選手。
2018年のメジャーリーグ・ドラフトでオークランド・アスレチックスが1巡目全体9位で指名して、466万ドルの契約金を手にしてプロ野球選手として契約を結んだ。
当初はアメフトのキャリアを諦めて、外野手として野球をプレーすると言っていたが、その後に気が変わって今年のNFLドラフトの対象選手となると宣言。野球選手ではなく、アメフト選手としての道を選ぶことを決意した。
身長178センチ、体重88キロのマレーは、NFLのQBとしてプレーするには身体が小さ過ぎると懸念する声も多いが、昨季は4361ヤードを投げて、42タッチダウンを記録。走りでも1000ヤードを超え、12ラッシング・タッチダウンを決めた。
体格的には、先日にシーホークスと4年総額1億4000万ドルのNFL歴代最高年俸で契約延長を結んだラッセル・ウィルソンとほぼ同じで、カージナルスはマレーのサイズには目をつぶって、この二刀流選手にチームの将来を託すのではと言われている。
マレーの父親はプロ経験こそないが、強豪のテキサス農工大学でQBとして活躍し、叔父のカルビン・マレーは1989年のMLBドラフトで1巡目指名を受け、外野手として3球団でプレー。祖母は韓国人で、カイラー・マレーはアジア人の血を受け継いだアスリートだ。
マレーが全体1位で指名を受ければ、アスレチックスから得た5倍に当たる2341万ドルの契約金を手にするが、果たしてマレーはいの一番に名前を呼ばれるのだろうか?
マレーが歴代初めてMLBとNFLの両方のドラフトで1巡目指名選手となることだけは確かなことだろう。