Yahoo!ニュース

核合意への道/イラン・アメリカ関係の軌跡(3)-ビル・クリントン

高橋和夫国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

ラフサンジャーニーの対米関係改善の努力は、それでも続いた。イラン政府はワシントンで広告代理店と契約を結んでイランのイメージの改善に努め始めた。また1993年に発足したクリントン政権へのシグナルとして、イランの海底油田の開発利権をアメリカの石油会社に与えようとした。この会社とイラン政府との交渉は、アメリカ国務省にも伝えられており、両者の新しい関係への第一歩となるものと期待されていた。ところが突然にホワイト・ハウスが大統領令を発して、この契約を止めた。1995年3月のことであった。翌1996年の大統領選挙での再選を目指していたクリントンは、イランに甘いと共和党に攻められるのを警戒していた。そこで先手を打っての対イラン経済制裁の大統領令による発動であった。これで共和党もクリントンがイランに甘いとは批判できなくなった。しかし、アメリカ国務省が見守る中で進められたアメリカの石油企業とイランとの契約交渉はつぶれてしまった。国務省もラフサンジャーニーも面子を失った。

この記事は有料です。
高橋和夫の中東・イスラム・国際情報のバックナンバーをお申し込みください。

高橋和夫の中東・イスラム・国際情報のバックナンバー 2015年8月

税込275(記事8本)

※すでに購入済みの方はログインしてください。

購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。
国際政治学者/先端技術安全保障研究所会長

国際情勢をわかる言葉で、まず自分自身に語りたいと思っています。北九州で生まれ育ち、大阪とニューヨークで勉強し、クウェートでの滞在経験もあります。アメリカで中東を研究した日本人という三つの視点を大切にしています。映像メディアに深い不信感を抱きながらも、放送大学ではテレビで講義をするという矛盾した存在です。及ばないながらも努力を続け、その過程を読者の皆様と共有できればと希求しています。

高橋和夫の最近の記事