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「偉大なる挑戦」「失敗にも笑顔」 韓国メディア 羽生結弦の北京冬季五輪を称える報道相次ぐ

(写真:エンリコ/アフロスポーツ)

羽生結弦の北京冬季五輪でのチャレンジに、韓国メディアも称賛の声を寄せている。

10日のフリー演技を終え、国内最大の通信の聯合ニュースは「フィギュアキング羽生の偉大なる挑戦…クワッドアクセル失敗にも笑顔」という見出しの記事を掲載した。

原稿の冒頭で「日本のフィギュアスケート男子シングルのスーパースター」として羽生を紹介し「偉大な挑戦は成功で終わることができなかったが、頭を垂れることはしなかった」と記した。

平昌五輪後の4年間を「五輪3連覇なるか、そして”ライバル”ネイサン・チェンとの対決に注目が集まっていたが、羽生本人は4回転半ジャンプのトレーニングに専念した」とも。

10日の演技については「最初の4回転半ジャンプの失敗が次のジャンプにも影響を及ぼし、再び転倒した」。それでも「すべての演技を終えた後、観客席に向かって笑顔で挨拶した」と。

写真:ロイター/アフロ

その他、地上波「SBS」は

「羽生、4回転半挑戦…”自分の力の全てを注いだ”」

とし、ネットメディア「OSEN」は

「クワッドアクセル失敗にも明るかった日本の羽生”これ以上努力できないほど努力した”」

と本人のコメントを含めた見出しでチャレンジを称えた。

「デイリースポーツ韓国」は「歴史的瞬間、羽生のクワッドアクセル挑戦」と、ジャンプの瞬間をメイン写真に掲載し記事を構成するほどだった。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

これらの反応は確かに「韓国メディアを席巻」というものではない。国内最大ポータルサイト「NAVER」の北京冬季五輪特設ページ内のアクセスランキングでは、当然のごとく自国選手の動向が上位に入っている。

ただしフィギュアスケートのコーナーでは10日夕方の「リアルタイムアクセスランキング」で羽生の動画ニュースが2位に入った。20時時点では自国のチャ・ジュヌァン関連が3万9000アクセスだったのに対し羽生は3万。高い関心度がうかがえる。

元々、羽生結弦は韓国でも高い人気を誇る選手だ。平昌五輪で金メダルを獲得した際には「朝鮮日報」が「フィギュアの王者羽生結弦に韓国も揺れる」との記事を掲載。国内ポータルサイトで「平昌五輪の競技日の午後には、羽生の名がずっとリアルタイム検索ランクングで1位だった」と紹介した。またキム・ヨナと同じブライアン・オーサーコーチの指導を受けてきた縁なども紹介している。

確かに韓国でも女性人気があり「疲れた時には羽生結弦で」というタイトルの個人ブログも存在したりする。のみならず、今回のチャレンジは韓国男性からもリスペクトを集める存在であることも感じさせる。冒頭の「聯合ニュース」の記事には、男性からのコメントが「共感度ランキング(いいね! 多い順)」の上位に入った。

「金メダルを2度獲得し、すべての視線が集中する選手としてプレッシャーも大きかっただろうに、五輪という大きな舞台で、誰も、それも本人も成功させたことのない技術にトライしたその勇気は、たとえ失敗だったしても拍手を受けるに値する

「本当に、挑戦自体がカッコいい。無難にやってもそのまま1位だったろうに、その技術を練習し、一番大きな舞台で挑戦したのは本当に素晴らしい。日本の選手ではあるが、カッコいいことにはカッコいいと言わないと。チャ・ジュヌァンも頑張った~」

「すごいな~羽生。引退しないでどうか」

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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