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立憲民主の赤野たかしさん( @takashi_akano )は責任もって競艇業界のクビを取って欲しい

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

立憲民主党の神奈川県議会議員である赤野たかしさん(@takashi_akano)が、元日早々に意味不明なことを言っていて休日気分が吹っ飛びました。以下、タウンニュースからの転載。

カジノに協力はNO

https://www.townnews.co.jp/0101/2021/01/01/556812.html

県は横浜市のカジノ誘致について「市の判断を尊重し、全面的に協力」としていますが、私はこれまでも「市に協力すべきでない」と強く県に申し入れてきました。

私が反対するのは、政治家となる前、競艇の収益金をもとに公益・福祉事業などを行う日本財団で働いていたからです。競艇は公営競技であり、「運営の厳格さ」が求められ、八百長行為は死活問題。一方でカジノは「客をだまして成り立つビジネス」。事前に払戻率もはっきりしません。

カジノへの賛否はそれぞれの政治信条に基づいて主張をして頂ければよろしいと思うのですが、ボートレース業界の中枢である日本財団から政治の世界へ転身した赤野たかしさんは、自身の出所であるボートレース業界に関して「『運営の厳格さ』が求められ、八百長行為は死活問題」などと評しながら、一方のカジノを「客をだまして成り立つビジネス」などと糾弾していらっしゃいます。ただ、この方、日本財団出身をえらくアピールしている割に、最近のボートレース業界の動向にはあまり詳しくいらっしゃらないのでしょうかね?

ボートレース業界では、昨年一月、公営競技史上最悪といわれる八百長事件が発生し、元トップ選手の一人であった西川昌希氏が逮捕される事件が発生しました。以下、当時の事件を報じた朝日新聞からの転載。

ボートレースで八百長した疑い、元競艇トップ選手ら逮捕

https://www.asahi.com/articles/ASN185Q6ZN18OIPE011.html

競艇で不正に順位を落とした見返りに舟券購入者から現金300万円を受け取ったとして、名古屋地検特捜部は8日、元競艇選手の無職西川昌希容疑者(29)=東京都練馬区=をモーターボート競走法違反(競走の公正を害する行為、収賄)の疑いで、西川容疑者の親族で塗装会社員の増川遵容疑者(53)=津市=を同法違反(同、贈賄)の疑いで逮捕し、発表した。2人の認否は明らかにしていない。

西川氏はその後、自身の起こした八百長行為に悪びれることもなく昨年末には暴露本を出版。ボートレース業界の八百長行為に反社会的組織が深く関与していること、そして西川氏自身の起こした八百長問題をボートレース業界が業界ぐるみで隠蔽し、もみ消しを図っていたことなどを赤裸々に描いています。

競艇と暴力団 「八百長レーサー」の告白

西川 昌希 (著)

(書影はアマゾンから転載)

更に最悪なことには、西川氏はボートレース業界に巣食う八百長行為は自分のみに留まらないことを、その後のメディアインタビューにおいて繰り返し告白している状況。以下、昨年11月に報じられたNEWSポストセブンからの転載。

収監八百長ボートレーサー告白 手を染める人間は他にもいる

https://news.yahoo.co.jp/articles/4c0502793c2beb4d109e3309716af89ee7b7a3b1

「ボート界には今も八百長が存在します。俺の不正にも共犯者がいたし、誰が、いつ、どのレースで八百長をしたかも、具体的に証言できます」 取材に応じた西川氏は、髪を短く刈り込み、坊主頭になっていた。

要は、ボートレース業界こそ現在進行形で業界に内在するドロドロの八百長行為が露呈し、炎上しまくっている業界であるわけで、冒頭でご紹介した立憲民主党の赤野たかしさんは撚りによってこのタイミングで「競艇は公営競技であり、『運営の厳格さ』が求められ、八百長行為は死活問題」など主張しながら、他業界を「客をだまして成り立つビジネス」などと糾弾しているわけであります。

今回、赤野たかしさんは日本財団出身の議員として「八百長行為は死活問題」などと堂々と胸を張って宣った訳ですから、現在進行形で八百長問題が発覚し、あまつさえその不正を業界全体で隠蔽を図ったボートレース業界のクビを己の議員生命をかけてきっちりと取って頂きたい。それくらいの責任を示した上での、他業界に対する「客をだまして成り立つビジネス」批判であるべきでしょう。果たして、彼は自ら放った放言の責任をキッチリと取れる議員なのか、今後の赤野たかしさんの言動を引き続きウォッチし続ける所存です。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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