年末年始は気象情報に注意 当初のスケジュールにこだわらず、早めに切り上げる勇気を
年末年始寒波
クリスマスの頃から強い寒気が南下し、北日本や北陸地方を中心に暴風が吹き荒れ、大雪となりました。そのクリスマス寒波は峠を越したといっても、次の「年末年始寒波」が南下する見込みです。
12月30日の夜には朝鮮半島付近で低気圧が発生し、発達しながら東進する見込みです(図1)。
このため、北日本や北陸地方では低気圧に向かって一時的に暖気が入ります。12月としては記録的な大雪が降っており、雪崩注意報が各地で発表となっていますが、雪崩の危険が現在よりも高まります(図2)。
そして、この低気圧が通過後は西高東低の冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が南下し、再び暴風や大雪の可能性があります。
警報級の激しい現象は直前にならないとはっきりしないことが多いのですが、新潟地方気象台で、4日先の平成30年1月2日に暴風雪と波浪の警報を発表する可能性があると発表しています(図3)。最新の資料が入ると、これ以外の期間、これ以外の警報も、可能性があると発表になるかもしれません。
冬山の雪崩
今年の年末年始だけでなく、冬季に西高東低の冬型の気圧配置が強まったり、発達した低気圧が通過すると、東日本や北日本の山岳地帯では暴風雪となり雪崩が発生します。
雪崩には積もった雪が全て崩れる全層雪崩(底雪崩)と、新たに降った雪の層だけが崩れる表層雪崩(新雪雪崩)がありますが、冬の山で多いのは表層雪崩です。
積雪の表面が融け、それが凍結したあとに大雪が降ると、特に発生しやすくなります。
クリスマス寒波によって大雪がふり、年末の低気圧により暖気で表面が少し溶け、その後の「年末年始寒波」によってお大雪が降るという予想は、表層雪崩に十分な注意が必要であるという予想です。
平成3年(1991年)の山岳遭難
山岳遭難の多くは、天候の急変や雪崩によるものす。ゴールデンウィークのときもそうですが、年末年始の休暇を利用した山登り中の遭難が少なくありません。
平成3年(1991年)は、1月4日から西高東低の冬型の気圧配置が続き、次々に寒波が南下していました。
北アルプス(飛騨山脈)では10 日頃まで吹雪が続いたため、多くの登山者から救助要請がなされましたが、死者・行方不明者19名という山岳遭難が発生しています。
暖冬で雪の少ない年でも、多かれ少なかれ、年末年始の山岳遭難は発生しています。
今年は、雪の多い年で、例年以上に気象情報に注意し、安全第一で行動する必要がある年末年始です。
ゆとりのないスケジュールが事故をよぶといわれています。
山登りだけでなく、今冬の年末年始の行動は、気象情報に十分注意し、当初のスケジュールにこだわらず、早めに切り上げる勇気を持つことが大事です。安全第一です。
図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。