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独ジャーナリスト直撃 「W杯で日韓に喫した敗北をどう見る?」 韓国は「地獄のようにプレー」…日本は?

試合会場のヴォルフスブルクにはドイツ代表チームの専用バスが。筆者撮影

9日の日本ドイツ戦の試合前日会見で、相手監督のハンス・フリックに直接ドイツ語で聞いてみた。「日本、どう思いますか?」と。

彼の答えはこうだった。

「非常に興味深いチームだと思う。W杯でも負けたし、非常にバリエーションに富んだプレーをする鍛錬されたチーム。過去数年で非常に良い発展をした。明日は楽しみだ」

なんか足りない…もっと細かい話を聞きたいのだが。

まあ前日会見での監督があれこれとは喋らない。そういったことも予想がついた。

会見前に、現場にいたドイツの著名なスポーツジャーナリストに話を聞いておいた。ブルクハルト・フーペ氏は、ARD(ドイツ公共放送連盟)のTVおよびラジオのレポーターで、1990年代末以降、特にブンデスリーガの試合中継などにも関与。また2014年と17年にはアイスホッケーの中継などでドイツスポーツジャーナリスト協会からヘルベルト・ツィンマーマン賞を受賞している。

ブルクハルト・フーペ氏。筆者撮影。
ブルクハルト・フーペ氏。筆者撮影。

独ヴォルフスブルクの現場にて、英語で話を聞いた。

――先のワールドカップで、日本はドイツに勝ちました。あの試合について、ドイツ人の考えを聞きたいです。

壊滅的な出来事でした。日本がワールドカップでドイツに勝つとは。誰も予想していませんでしたね。ドイツは最初の55分間あるいは60分間、本当にうまくプレーしていましたが、日本の選手は自分たちを信じていたと思います。そこが両チームの違いでした。ドイツは本当に自分自身を信じていなかった。だから最後には日本が勝つに値したと思います。

――同じアジアの国、韓国も2018年ロシアW杯でドイツに勝ちました。

私は日本の選手が、韓国の選手よりも優れた技術教育を受けていると思います。いっぽうでこれはもはや興味深いことなのですが、ドイツはアジアのチームに二度負けた。これが事実なのです。

――ドイツは世界で3度の世界チャンピオンとなった国。日本や韓国のようなアジアの小さな国の発展をどう見ますか?

日本の選手は、ドイツでますます人気になってくると思います。多くのチームが少なくとも一人の日本人選手を持ちたいと考えている。なぜなら、常にそのスキルに頼れるからです。例えば日本の選手は夜中の3時に電話して「OK, キミはバイエルン・ミュンヘンでプレーするんだ。全力でキミのことが必要なんだ」と言ったとしても、彼は起きて全力でプレーします。それが彼らのマインドセットであり、サッカーにとってかなり良いことだと思います。

かのドイツ戦でゴールを決めた浅野拓磨もブンデスリーガ所属
かのドイツ戦でゴールを決めた浅野拓磨もブンデスリーガ所属写真:ロイター/アフロ

加えて彼らは優れた技術と戦術の教育を受けています。そして、あまり怪我をしない。健康な生活を送っているようですね。確かに大きな才能ではないかもしれない。それでも小さなことを正確に行える。ブンデスリーガのクラブはそんな選手たちに依存できるのです。

―2018年の韓国はどうだったでしょう?

はい、当時、少なくとも一人か二人の韓国の選手がブンデスリーガでプレーしていたと思います。そんな韓国はロシアでの試合では、韓国は次のラウンドに進む可能性が非常に低かった。1パーセントくらいでした。しかし、彼らは地獄のようにプレーしました。彼らはそういったプレースタイルを望んで、本当に非常に多くの努力を注いだ。それが彼らとドイツとの違いでした。

2018年ロシアW杯グループリーグ最終節後の韓国(赤)とドイツ(緑)
2018年ロシアW杯グループリーグ最終節後の韓国(赤)とドイツ(緑)写真:ロイター/アフロ

―それにしても日本がドイツに勝つとは想像できませんでした。日本は1960年代からあなたの国にサッカーを学んできた。そう思っています。

時代は変わっているのです。今日では、ドイツが日本に対してプレーする場合、その試合に勝つ保証はありません。ドイツ代表はそういった状況の変化をチェックし、日本のようなチームに対して真剣にプレーする必要があります。日本は世界中のどのチームにも勝つことができます。私はそう思います。

国際親善試合ドイツー日本@ウォルフスブルクは日本時間10日午前3時45分にキックオフとなる。

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吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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