HYBE内紛 「5月17日に注目」…ストレートに「5月31日ミン・ヒジン氏解任」には行かず
4月22日に勃発した「HYBE内紛」。5月31日に開催予定のADOR臨時株主総会に向けた攻防が続いている。当座の対立構図はこういったところだ。
スピーディーに解任へ持っていきたいHYBE・パン氏側 v.s 対抗しようとするADOR・ミン氏側。
これに関し、先週金曜日・10日に新たな動きがあった。
5月10日の午前、ミン・ヒジン氏が自ら代表を務めるHYBEの子会社ADORの取締役会議が開催された。
ミン氏ほか、彼女と彼女の前職SM Entertainment時代から一緒に仕事してきた2人の同社取締役が参加したものと思われる。3人は現地メディアでは「ミン・ヒジン師団」と呼ばれるほどに固い結束で知られる。各メディアは場所について「ソウル市内某所」とし、詳細は明らかにされなかった。
ここで何が決まったのかと言うと、上記に示した31日に開催予定のADOR臨時株主会議に「ADOR取締役たちが出席する(招集・開催に応じる)」という意思決定だった。もともとHYBE側から「開催しなさい」と指示されてきた会議でもある。
これがストレートに開催の運びとなれば、「ミン・ヒジン氏解任」は確定的だ。なぜならADORの最大株主はHYBEで、持ち株率は80%。これだけでも勝負あり。
ADORにとって31日開催予定の臨時株主総会は、例えるならば”有罪が決まっている裁判”に出席するようなものだ。単に会社の手続き上正式に解任を通告する場に他ならない。
「17日の動きが今後のキーに」
ただし、31日の臨時株主総会開催はストレートに行くとは限らない。これが本稿で言いたいことだ。
ADORとミン・ヒジン氏側には一つだけ秘策がある。
取締役会議が行われた10日から遡ること3日。5月7日に裁判所に対して申請を行ったのだ。
「議決権行使禁止仮処分申請」
おカタい言葉だが「HYBEが自分を解任ができないようにしてほしいという申し出」を行ったということ。
理由は「HYBEにかけられている背任の疑いは不当」だから。ADOR側が徹頭徹尾主張しているのはこの点だ。
そしてこの件に関する裁判所の審問が17日に行われる。つまり31日の「大一番」に向け、17日に一つのヤマがあるということ。審問はHYBE・ADOR双方の代表が出席して行われる。HYBE側はこの話し合いに応じる姿勢を見せている。
仮にここでADOR側の主張が認められれば31日の株主総会も形骸化することになる。事実上、解任決定を通告する場なのだが、その解任自体を裁判所に止められる状態になるからだ。
現地メディア「YTN」は17日のこの審問を「今後の分岐点」というほどに重要な機会だとしている。
「議決権行使 仮処分が分水嶺…HYBE‐ミン・ヒジン プレゼンテーションで総力戦」
来たる17日、裁判所で(仮処分申請に対する)尋問が行われ、両側ともプレゼンテーションを通じて裁判部の説得に乗り出す予定であることが分かった。既にHYBEとミン代表側は、いずれも経営権紛争を主に扱ってきた大型法律事務所の弁護士を選任している状況。仮処分の結果によっては株主総会の結論も覆らざるを得ないため、両側とも総力戦に乗り出す見通しだ。
ミン代表側はHYBEが株主間契約で約束した5年の任期を保障すべきだという点を強調し、経営権奪取を試みて業務上背任を犯したというHYBEの主張を弾劾することに注力する見込みだ。
認められなければそのままミン氏とADORの2人の取締役はその任を解かれることになる。
じつのところ韓国でも17日のこの審問について、独自で追加を内容してまで大きく報じているのはこの「YTN」のみ。筆者の韓国メディアの友人が匿名を条件で教えてくれたが、「近頃この内紛について、現地メディアにはHYBEへの忖度が出始めていて、どちらが有利かはっきりとは言いづらい傾向」にあるのだという。
審問は会議室で、スクリーンにプレゼンシートを映し出す形式で行われるという。今週金曜日、17日の動きに注目だ。