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TikTokで人気衰えず! IVEの「After Like」は 韓国語で何を歌ってる?

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v2022年8月22日のリリースから約9ヶ月。今でも日本で愛されるK-POPの名曲がある。

IVEの「After Like」

TikTokを通じて「聞いたことある曲」としての位置づけではないか? 「レコチョク」のTikTokヒット曲ランキングには今でも流行っている楽曲として紹介されている。

韓国でも公式MV再生回数が2億回を超えた楽曲として高く評価される。音楽批評家のキム・ヨンデ氏やキム・ユナ氏は昨年末の「K-POP RADAR」主催の討論会で「グループの認知度加速を一気に2倍速にした」「ディスコ調の曲によって、大衆性も示せるグループとしての圧倒的な力を示した」などと絶賛を惜しまなかった。

ではいったい、この歌が一体何を歌っているのか。彼女たちが伝えたいものは何? 日本語版が音楽番組などで公開されているが、ここでは韓国語版について分析を。事務所側の公式曲紹介をおりまぜつつ大研究する。「制作サイドが伝えたい内容」を中心に。

「飛び込んできて」…前作の「続編」としての位置づけも

この曲「AFTER LIKE」のタイトル通り「LIKEの後はどうなるの?」という内容を歌っている。反語的に「LOVEに決まってるでしょ?」という。それも堂々と自分の強さを主張しながら歌う2010年代後半から主流の「ガルクラ(ガールズクラッシュに)」スタイルで。

事務所発表の楽曲公式説明にはこう記されている。

「Z世代のIVEが自己愛をもに、自信に溢れた愛の態度を要求する曲」

「愛の前では誰よりも正直でどっしりと構えた少女を描いた歌詞」

「私が多彩な魅力を見せるから、もう心ではなく行動で示して、と伝える楽曲」

確かに歌詞は冒頭から「また、分からないでしょ? 私の気持ち あの空の天気みたいに変わるのか私を私さえ全てはわからないから」(ト モルジ ネマウミ チョナルシチョロム パッキルチ ナル ナチョジャ タアルスオプスニ)と「自分が中心」というスタンスから始まる。

さらにその後は「で、それがどうしたの? 大事なのはあなたが私にハマったこと」と強気の姿勢。

サビ前のブリッジ部分では「ただ好きっていうんじゃないの What’s after ‘LIKE’?」(クニャンチョッタヌンゲアニャ)と歌う。ここでも自己愛あふれる強気のスタンスだ。あなたは私のことが分からないかもしれないけど、私は猛烈に好きだ。そう伝えている。

  • 公式MVを観た本人たちのリアクション動画

そして迎える「What's after LIKE?」が繰り返されるサビ部分。ここはほとんど英語で歌う。ここもいわば「自己愛」的な要素か。こちらからは照れくさいから英語で言う。だからあなたはLOVEと言いなさいよ、と。唯一、韓国語が出てくる部分でこれが表現されている。

「Lの次はOその次に私はyear...」(Lタウム ト Oタウム ナン)。

当然「LOVEでしょ」と。

2番の歌詞でも「私のグラフは上がって下がる(気ままに生きている)」「何度もめんどくさい質問しないで(直接LOVEと言って)」「ここは私とあなたのスペース(私がいてあなたがいる。ここの主人公は二人なの)といった内容を伝える。LIKEの次に来るべき「LOVE」という文字をボカしながら伝える、ちょっとした言葉遊びを交えながら。

  • 公式MVのリメイク映像

こういった内容、事務所側の公式資料によると彼女たちの前作「LOVE DIVE」の延長線上としても面もあるのだという。両者と共通して「愛する勇気があるならいつでも飛び込んできて」と訴えているのだ。

見た目がとんでもなくかわいい反面、歌っている内容は強気。彼女たちならではの魅力が伝わってくる楽曲だ。男性からしたらかわいいんだけど…正直…ちょっとめんどくさい存在かもしれない。それはそうとしてひとまずは韓国の同世代の女性の感情「自分が中心でありたい」を代弁する。そんな楽曲だ。

韓国トレンドの流れでいうと「ニュートロ」

ちなみに音楽的な要素でいうと、この楽曲が韓国で2019年頃からトレンドキーワードとなっている「ニュートロ」の流れに乗っているという点はよく知られるところ。

【韓国トレンドキーワード】 NEWTRO(ニュートロ) 絶対に抑えておきたい「韓国っぽ」の素のひとつ!

韓国のMZ世代が「自分たちが生まれる前の時代のコンテンツを今風に復刻するもの」。「AFTER LIKE」は韓国では「ディスコを基盤としたディープハウスジャンルのジャズファンク曲で、1970年代から1980年代の印象をも与える」と評される。

  • 制作陣が「サンプリングした」という1978年のグロリア・ゲイナー(Gloria Gaynor)のヒット曲「I Will Survive」

若い世代からすると新鮮で、アラサー以上にとっては「懐かしい感じ」。大ヒットには両ターゲットを虜にした音楽的要素ももちろんあるのだ。

最後にひとつ、この「AFTER LIKE」韓国語風の英語では(つまり現地では)「エプト ライク」と発音される。現地でこの楽曲の話をする場合にはご注意を。AFTERの読み方は韓国語学習のうえでも「難解」のランクに入るものだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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