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韓国で今月バズった日本関連動画 "飲食店での日本語モノマネ" 「おきゃくさま~」「さとうくん~」

(提供:イメージマート)

1月が終わろうとしている。

韓国では日本旅行が大きなブームとなっており、大手ホテル予約サイト「ホテルスドットコム」ではこの冬の韓国人の行き先のベスト10のうち、じつに5都市が日本なのだという。

そういったなかでYouTube上で大きくアクセス数を伸ばしている動画がある。日本の旅行時のエピソードを語ったものだ。

「衝撃的な日本の飲食店での経験」

1月23日の時点で292万アクセスを記録。1月に韓国で観られた日本関連動画の2位だ(韓国でのトレンドを調べるビッグデータサイト「SOMETREND」による/29日現在)。

2位の「済州島に暮らす日韓カップルの日常」の190万アクセスを大きく上回っているゆえ、このランキングは変化がなさそうだ。ちなみに1位は335万ビューの「日米露の戦車・潜水艦のスペック比較」。

SOMETREND 該当ページよりスキャン 筆者編集
SOMETREND 該当ページよりスキャン 筆者編集

なぜ、ここで2位の動画を取り上げるのかと言うと…その背景が最近の「韓国での日本への関心」をよく表しているからだ。

該当の動画は韓国で約17万人の登録者がいるアカウント@paperlogy(ペーパーロジー)に1月6日にアップされたもの。本人が自国で「有効なパワーポイント資料作成」に関する講演活動を行うなかで、その際のトーク内容がアップされたものだ。

一人でステージに立ち、マイク片手にこんな話を始める。

該当YouTubeページのキャプチャ
該当YouTubeページのキャプチャ

日本で食堂に入ってカバンを置いたんですね。床にこうやって。そうして注文しようとメニューを見ていたら…あっちのほうから…

「ええ~お客様ちょっと待って」

と(女性スタッフが)やってきたんです。

そしてテーブルの横で膝をつくんです。膝をつくのは日本の文化だということを知っているでしょ?

この時、@paperlogyは何が起きたんだ? と当惑したという。

いずれにせよテーブルの横で膝をついているので、「なんでそんなことしてるんだろう?」と驚いていたんです。何か僕が間違ったんじゃないかと思って。「え? え?」と相手に聞き返すなかで僕に向かって言った一言が…

これが@paperlogy本人を驚かせた。

「お客様、カバンを床に置かれたらお客様のカバンが汚れますので」

そして「佐藤くん、佐藤くん」と若いスタッフを呼んでカゴを持ってきたんです。「これに入れてください」と。

今考えてもその行動は少しオーバーだったと思うんですけど、気分の悪いものではありませんでした。客本人だけではなく、カバンにまでケアをしてくれたということなので…。

画像はイメージ 筆者撮影
画像はイメージ 筆者撮影

日本での丁寧な接客に感動、と思いきや…話はストレートなものだけではなさそうだ。

韓国スポーツ紙の元デスクが言う。

「日本での丁寧な接客のエピソードは結構、韓国人にも知られている類のものです。逆に丁寧すぎて恐縮してしまうという話もあるくらいで」

では何故韓国で人気が?

「よく見ると、この動画のハッシュタグには『タナカ』とハングル文字で書かれています。ここが韓国でバズったポイントでしょう。今、韓国でブレイク中の『韓国に来た日本人ホストのモノマネ』をする韓国人芸人のことです。時折、有名な日本語のフレーズを挟みながら、日本人風の韓国語の母音やイントネーションを強調するキャラクターのことです」

該当ページスキャン
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今回の動画の人気はその流れがあるのでは、という。

「いっぽう今回の『衝撃的な~』の動画では、韓国人が『すみません~』『ちょっと~』といった『日本語のモノマネをしているのが面白い』ということだと思います。率直なところ、韓国でもちょっと世代で反応が分かれる内容ですね。若い人は面白いのかもしれませんが、私のような50代にはちょっと分かりづらい。日本の人が見たら悪い気がするのでは、とも思うのです」

  • "タナカ"を見た日本人女性の反応を伝える動画

韓国ではこの「日本語っぽい韓国語を話す動画」のお笑いがちょっとしたトレンドだ。超人気ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」出演で知られる女優のチュ・ヒョニョンが、別のお笑い番組で披露した「韓国にオーディションを受けに来た日本アイドルのモノマネ」も非常によくウケている。

一般的に日本語が母語の場合、韓国語の母音の発音やイントネーションに難しさがある。逆に韓国語が母語の場合、日本の"ず""つ""ぜ"などの発音が困難。合わせて「ひらがなをハングル式の音」で読んでしまうため、こちらでもやはり独特のイントネーションが生まれる。

誠に僭越ながら筆者自身も「日本語が下手な韓国人のモノマネ」が大得意だ。しかし以前は日本からも韓国からも「面白いけど、やりすぎ」「韓国人を怒らせると思う」との声を聞いてきた。どの国にも「外国人が話す自国語が面白い」あるいは「自国人がぎこちなく外国語を話す様子が面白い」というお笑いは存在するだろうが、日韓間でもこれが通用する時代が来るか。

  • "タナカ"と"中川家の韓国料理店のおばちゃんのものまね"を見た日韓両国の反応を比べる動画

(了)

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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