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えっ? 尹錫悦政権が高校生の風刺画にガチ抗議? 逆に「支持率低下の焦り」を悟られる

韓国全国学生まんが公募展より引用

お題は「ユン・ソクヨルチャ」。

ヨルチャとは「列車」の韓国語読みだ。韓国の尹錫悦大統領の「悦」の字が列車の「列」の字と同じ読み。

「きかんしゃトーマス」を比喩したような先頭車両には尹錫悦大統領の顔。運転席にはお騒がせ美魔女の金健希(キム・ゴニ)夫人と思しき顔が。「大統領を操っている」と言わんかのよう。続く乗客車両には刀をもった検事たち。尹錫悦大統領が検察総長だった点をもじっている。この列車から逃げまとう民衆…

作者は韓国の高校生。今年7月から8月にかけて韓国で行われた「全国学生まんが公募展」にて金賞を受賞した作品だ。タイトルからしてイケてるし、何かと話題の大統領夫人が運転する姿も絶妙。爆走機関車をしっかりと強調しながら、民衆は白黒に。強調したいポイントもしっかり描かれている。そりゃ賞を獲るよね、という作品だ。

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ところが、この作品が4日朝の地上波各局ニュースで報じられるなど、物議を醸している。

なんと受賞を巡って政府の文化体育観光部(省)が、主催の「韓国漫画映像振興院」に厳重注意を行ったのだ。4日、各メディアへのプレスリリースを通じて表明した。

「振興院が中高生を対象に主催した全国学生漫画公募展において、政治的なテーマを露骨に含めた作品を賞に選定し、展示したことは学生の漫画の創作欲求を鼓吹しようとする行事の趣旨にかなり反しており、遺憾。厳重注意する」

同公募展は、文化体育観光部の後援の下で行われている。本作が受賞した金賞よりも上位の「本賞」は「文化体育観光部」として授与される。それゆえ「後援承認の取り消しを検討する」としている。

まあ、「後援しているイベントで大統領への強い皮肉を謳う作品に賞を与えるとは何事?」という言い分もアリといえばアリだが…

大統領候補時には「ウ・ヨンウの女優」のインタビューにも応じ…

はたして「表現の自由」は? 尹錫悦政権は「セコい」のか。

これを巡って、早速4日に国会の法制司法委員会で審議が行われた。

議員が賛否分かれる議論を行うなか、参席した法院行政所長はこう発言した。

「見る限りでは、国民の批判・批評、表現の自由の範疇内ではなかと思う」

いっぽうでこの作品、2019年にイギリスで発表された風刺画のパクリではないか、という疑惑も提起され…。地上波「MBC」は「議論は続いていくだろう」と報じている。

また、ニュースを報じた「JTBC」のYouTubeの該当ニュースコメント欄ではこのコメントが読者から多くの「いいね!」を得た。

「政権が始まってあまり日が経っていないのに、早くも表現の自由の抑圧か? メディアもコントロールしようとするんじゃないのか?」

今年5月10日に発足した尹錫悦政権だが、半年も経たないうちに支持率が30%前後に大きく低迷している。物価高や中小企業対策の甘さ、検察出身者に偏重した人事、政権与党内の権力抗争など課題は山積み。

ちょっと余裕がなくなったか? これを証明する動画が存在する。

尹錫悦大統領は2021年10月(ちょうど1年前だ)、国内流通大手が運営する「クーパンプレイ」という新進のスマホアプリ内の番組に出演。後に大人気ドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」の主人公の親友役でも知られる女優、チュ・ヒョヒョン扮するネタ上のキャラクター「チュ・インターン記者」のインタビューを受けている。

――風刺についてどう思いますか。

「いいことだと思います。数年前、アメリカのオバマ大統領を盛大にイジっている番組を大変楽しく拝見しました」

――だとしたら大統領当選後にも私たちの風刺を応援してくれますか?

「それは応援、というよりか番組の権利ですから」

この時は「とてもいいおじさん」の雰囲気も出ていたのだが。変わってしまった、ということか。大統領就任演説でも「自由」を強調した尹大統領の今後はどうなっていくだろうか。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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