【支持する12.3%】10月のサッカーA代表監督支持率。「やりたいことが伝わらない」不満多く

日本時間13日のコートジボワール戦での森保一監督(写真:ロイター/アフロ)

10月のサッカー国際Aマッチウィークでの代表監督支持率は12.3%――。

筆者の依頼により「Yahoo! みんなの意見」にて15日まで実施した調査での結果だ。

Q:10月9日にカメルーン戦、13日にコートジボワール戦に臨むサッカー日本代表。森保一監督の選手起用、戦術を支持しますか。

支持しない

78.8%(14,132票)

支持する

12%(2,154票)

わからない/どちらでもない

9.2%(1,652票)

出典:「Yahoo!ニュース みんなの意見」
  • 「Yahoo! ニュース個人」のオーサーである筆者が「Yahoo! ニュース」編集部に依頼し調査。
「Yahoo! みんなの意見」より実施画面をキャプチャ
「Yahoo! みんなの意見」より実施画面をキャプチャ

今回が第1回の調査ゆえ、以前の統計との比較はできないが「12.3%」という支持率は高いとは言い難い。過去、2010年南アW杯直前に「ゲキサカ」が実施した「岡田武史監督支持率調査」では「6.9%」という結果もあったが。

投票のほかに、コメント欄に意見の投稿が寄せられた。

■支持する(不支持であっても支持する点を含む)

・面白い試合だったとは言えないが、3バックも4バックも機能しており、ディフェンス面は評価できる。

・ハイプレスのサッカーは良かった。

・まずは支持する気持ちがあるから、結果を残してほしい。

・カメルーン相手の3バック、コートジボワール相手の4バックは相手に合わせた戦いだった。

・伊東純也、中山雄太の発掘・起用。

・今回は相手が強かったのも確か。もう少し見守る。

■支持しない

・スタイルが見えない。

・何をしたいのか分からない。

・ワクワク感・躍動感がない。

・監督のビジョンが見えない。4年間を見通した時、今は若い選手のコンビネーションを高める時期では?

・監督の戦術的指示がないように見える。

・コンセプトがよく分からない。

・交代枠を使わない/交代の判断が遅い。

・カメルーン戦の柴崎岳の起用。バックパスが多かった。

・カメルーン戦での久保建英の先発起用を期待したが。

また、どちらにも解釈できる意見には「監督は誰でも批判されるもの」といったものがあった。

不支持の背景を探る

言わずもがなだが、A代表監督として臨んだ2019年11月19日のベネズエラ戦、その後のE-1選手権、翌2020年1月の五輪代表監督として2020年1月のAFC U-23選手権での不振によるマイナス評価を脱しきれていない。

また、今回の不支持理由で多く挙がった「やりたいことが伝わらない」という点には様々な側面がある。

森保一監督の立場に立つのなら「非常に特殊な現状」という事情はある。10月にして今年はじめてのAマッチ。それも欧州組と試合に臨むのは2019年の11月19日のベネズエラ戦(●1-4)ぶりだった。また2022年カタールW杯本大会、21年にも予定されている同予選、同年の東京オリンピックがどう開催されるのかが不透明だ。

7日のカメルーン戦の前日、森保監督はこう話していた。

「状況次第で起用の仕方は臨機応変に変えていくつもりです。少しでも多くの選手にピッチに立ってもらいたい気持ち。23人の選手が全員ピッチに立てるという絶対的な保証はないが、少しでも多くの選手にピッチに立ってもらいたいです。チーム力を上げて、戦術面でも底上げができれば」

今月のAマッチウィークは、そもそもが「はっきりと方針を示して戦う」という点を徹底したのではなく、「多くを試す」という考えもあった。

ただし、この事情を差し引いたとしても、見る側にやりたいことが伝わらないのは由々しき問題だ。「やっていることが問題」という議論にすら至っていないのだから。2015年3月から2018年4月までのハリルホジッチ監督時代にも批判が集まったが、ここでは「縦にボールを早く入れる」というスタイルが果たして正しいのか、という論点があった。

10月の森保監督は、そこにも至っていないということになる。

常に「就任時の公約」に立ち返ろう

こういった現状で改めて記したい点がある。

「その監督が最初に何を言っていたのか」

これは、この先の支持率調査を通じて常に問いたい点でもある。

なぜ森保監督が選ばれ、この役職に就いているのか。原点に立ち返ることだ。実はこの点、大いに忘れられてしまうので。

サンフレッチェ広島監督時代には2012年から17年までの間で3度の優勝を果たした。2012年にはJリーグの表彰式で最優秀監督賞に選ばれ、「(前任者の)ミシャに感謝」と発言している。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の攻撃的スタイルに守備の安定を加えての結果だった。

つまりは前任者の要素に自身のカラーをプラスして、発展させるということだ。これが彼の監督としての最大の実績を築いた基盤なのだ。

森保監督はロシアW杯代表のコーチでもあった。前任者の成功ポイントに、自分の色を加えていく。今回の代表監督就任でも、少なくともこの点は期待されているはずだ(でなければ説明がつかない)。2018年7月26日の就任会見ではこう発言している。

2018年の就任会見時。筆者撮影
2018年の就任会見時。筆者撮影

―日本代表監督として一番大事にしたい部分は。

「ロシアW杯に西野ジャパンのコーチとして帯同して一番強く感じたのは、日本人のメンタリティー、日本人の身体能力の良さを生かしてやっていくことが大切だなということ。海外から学ぶことはまだまだたくさんあるが、日本人の身体的な能力、メンタリティーを生かして準備することが大事だと思っている。一体感のあるチームづくり、常に攻守ともに連係、連動して戦う。そういうチームづくりは絶対にやっていきたい

そこに何を加えようとしているのか。同日の会見ではこう続けた。

―戦術として新たに加えたい森保イズムはあるか。

「速攻もできれば遅攻もできる。守備ではハイプレッシャーをかけることもできれば、自陣でしっかり守備を固めて相手の思ったような攻撃をさせないということもしていきたい。つまり、いろんな対応力を持って戦うということ」

西野朗監督のチームは本人曰く「攻撃的でファンタジックなサッカー」だった。このサッカーを継承する森保一監督は、攻守で状況に応じた様々な戦いができるようにしたいという点がスタートラインだった。そもそもが過去の「考えて走るサッカー」や「ゾーンプレス」のような分かりやすいものではない。そういった事情もあるのだ。

過去には「所信表明」の内容が忘れられた事例も

「当初の狙いが何だったのか」がまずあり、「それが実現できているのか」あるいは「狙いが実態に沿って変化できているのか」という点を議論の軸に据え、サッカーファンに意見を問いたい。

この「当初の狙い」というのは本当に忘れられがちだ。

例えばアルベルト・ザッケローニ監督時代は「攻撃的サッカー」ともよく言われた。これが「ポゼッションすること」「自分たちのサッカー」とまるで伝言ゲームのように内容が転じていった。

彼自身のイタリア時代のイメージもあるだろうし、前任の岡田武史監督時代の「守備的サッカー」からの反動もあっただろう。しかし就任当初の会見を読み返すと、彼は「攻守のバランス」「バランスこそが大切」という点しか言及していない。いつの間にか評価のポイントがずれていったのだ。

久保の起用法は…森保監督はそもそも「保守系」

「ロシアW杯からの継承」を考えると、今回、長友佑都、岡崎慎司の二人が欠けた点は、監督の意図を実現するのにじつは大きな痛手だったとも言える。

また、今回は7日のカメルーン戦で久保建英がサブスタートだった点にも意見が寄せられた。これもまた監督の支持・不支持を見極める重要なポイントだ。どんなチームにも「新戦力発掘」という要素は欠かせない。しかし「世代交代」について、就任時の田嶋幸三会長と森保一監督の意見はじつは微妙に分かれている。

田嶋会長:「世代交代は待ったなし」

森保監督:「選手選考、世代交代に関しては、言葉ありきではなくて、やはりこの世界は競争があると思う。見せられる選手、走れる選手、実力がある選手が生き残っていく世界だと思う。世代交代はやっていかなければいけないと思うが、私自身、年代間の融合をしっかり図りつつ、新しい日本代表を築き上げていきたい」

「交代」もさることながら「融合」。就任時のこの会見では「ベテラン招集もある」としている。当然のことだ。「ロシアW杯のチームの継承」が森保監督誕生の大きな背景なのだから。

森保監督は政治で言えば「革新」より、「保守」という面もあるのだ。「保守系」は日本サッカーのこの時代に合わない、という意見が多いのであれば、これは監督自身のみならず、任命責任の領域に話に及ぶ。ぜひとも次の11月の投票時にご意見を。

今後の視点「中途半端」への厳しい目を

森保監督はまた、この10月の「ラージグループ(A代表、五輪代表候補のなかから選手を見極めていく)」という話をしがちで、これもまた「やりたいこと」をぼやけさせる。しかし最初の公約に戻るならいろんな対応力を持って戦う=遅攻、速攻、守備ラインの上げても下げても戦えるというサッカーが目指すものだ。

このやり方には「すべてが中途半端になる」という懸念がつきまとう。結局ストロングポイントが何なのか分からなくなる。イビチャ・オシム風に言うと「肉でもなく、魚でもない」いう状態だ。

韓国では先のロシアW杯でこんなことがあった。チームは4-4-2を採用して2017年11月10日に難敵コロンビアを2-1で降した。しかし当時のシン・テヨン監督はこれを深めることを行わず「プランBの準備」として3バックを度々試そうとし、大きな批判を浴びた。結局チームは、グループリーグ敗退決定後にドイツ相手に4-4-2を採用し、歴史的勝利を挙げたのだった。

森保監督のやろうとしていることは「保守系」であると同時に「複雑」だ。だからこそ「やりたいことが伝わらない」という評価は避けるべきものではないか。細かい機微や、どこまで細かい戦術を話すのかという葛藤はあるだろうが、監督側にも「少しでも理解されるよう説明する」義務がある。

コロナ禍にあっての「リスタート」でもあった10月のAマッチ。1回めの支持率調査結果は「論点の整理」も生んだように思う。

(今後、筆者は国際Aマッチウィークごとに「Yahoo!ニュース みんなの意見」で「支持率調査」を実施。支持率の推移からも「世論」を読み、情報発信します)