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大阪ダブル選中盤情勢 知事選は吉村氏優位に 市長選は松井氏一歩リード=JX通信社情勢調査

米重克洋JX通信社 代表取締役
選挙戦中盤に入り、両陣営が大阪市内にリソースを集中させている(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

投開票が1週間後の4月7日に迫った大阪ダブル選は、「維新対反維新」で1対1の構図となっている。報道ベンチャーのJX通信社では、先週の序盤情勢調査に続き、新たに29日から31日までの3日間、大阪府内の18歳以上の有権者を対象とした電話世論調査を行い、定性的な情報も加味して中盤の情勢を探った。調査の概要や実施方法は、本稿末尾の記載の通りだ。

府知事選は吉村氏優位に 小西氏は勢い欠く

大阪府知事選の中盤情勢は、大阪維新の会公認の吉村洋文前大阪市長が優位に立っている。自民党と公明党大阪府本部が推薦する元副知事の小西禎一氏は序盤から支持が広がっておらず、勢いを欠いている。ただ、有権者の2割台半ばが態度を決めておらず、なお情勢は流動的だ。

吉村氏は大阪維新の会支持層の9割弱、自民党支持層の3割台半ばを固めたほか、公明党支持層の約1割と無党派層の4割弱からも支持を得ている。また、小西氏を自主的に支援している立憲民主党支持層の約2割、共産党の支持層の1割からも支持を集めている。対する小西氏は、推薦を受ける自民党支持層で吉村氏と拮抗しているほか、公明党支持層からの支持も約7割弱に留まり、支持基盤を固めきれていない。無党派層からの支持も序盤から引き続き2割強に留まった。

大阪市長選は引き続き松井氏が一歩リード 柳本氏急追

大阪市長選では、序盤から引き続き大阪維新の会代表の松井一郎前大阪府知事が一歩リードし、自民党と公明党大阪府本部が推薦する柳本顕元大阪市議が急追している。有権者の約2割が態度を決めておらず、なお情勢は流動的だ。

松井氏は大阪維新の会支持層の9割弱、自民党支持層の約2割と無党派の2割強から支持を得ている。また、公明党支持層からも約2割の支持を得ている。対する柳本氏は、推薦を受ける自民党支持層の7割弱と公明党支持層の7割強のほか、立憲民主党や共産党支持層にも浸透している。また、無党派層からは約4割の支持を得ており、松井氏を上回っている。

序盤の情勢調査では「維新対反維新」の構図に合わせて、有権者が府知事・市長候補をセットで選ぶ傾向が見られたが、この傾向は中盤でも継続している。大阪市内で府知事選では吉村氏に投票するとした層の9割近くが市長選では松井氏に投票するとした。一方、府知事選で小西氏に投票するとした層は9割以上が市長選では柳本氏に投票するとしている。

こうした選挙情勢を反映してのことか、維新・反維新の両陣営では選挙戦中盤に入り、大阪市内にリソースを集中させる傾向が見られる。維新の府知事候補である吉村氏は、告示日以降大半の遊説日程を大阪市内でこなしているほか、小西氏・柳本氏の陣営では30日(土曜日)を大阪市内での統一行動日とした。こうした動きが功を奏するかどうかが、同時に行われる大阪府議選・大阪市議選の結果と合わせて注目される。

調査の概要:29日(金曜日)から31日(日曜日)の3日間、無作為に発生させた電話番号に架電するRDD方式で、大阪府内の18歳以上の有権者を対象に調査した。有効回答は全体で1185件(うち大阪市内で600件)だった。

JX通信社 代表取締役

「シン・情報戦略」(KADOKAWA)著者。1988年(昭和63年)山口県生まれ。2008年、報道ベンチャーのJX通信社を創業。「報道の機械化」をミッションに、テレビ局・新聞社・通信社に対するAIを活用した事件・災害速報の配信、独自世論調査による選挙予測を行うなど、「ビジネスとジャーナリズムの両立」を目指した事業を手がける。

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