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頭が悪いマネジャーの驚くべき真実 「マネジメント」の定義を知らない上司はこんなにたくさんいる!

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて筆者作成)

■ほとんどのマネジャーが「マネジメント」の定義を知らない

私の本業は「マネジメントの力で、組織の目標を絶対達成させるお手伝いをすること」である。だから「マネジメント」に関しては、あらゆる角度から言語化できる自信がある。

だからこそ言える。世の中のほとんどのマネジャーが「マネジメント」の定義を知らないということを。たとえばマネジャー研修で、

「あなたが考えるマネジメントとは何か?」

と質問すると、多様な答えが返ってくる。

・部下育成
・組織の活性化
・仕事の役割分担
・組織の運営
・組織目標の達成

実は「マネジメント」という言葉は、このように様々な解釈をされている。あなたが解釈する「マネジメント」とは何か? 正しいかどうかは別にして、「マネジメント」という言葉を自分なりに定義しているだろうか。

ちなみに、マネジメントは組織とは切り離して考えるべきだ。だからもちろん部下育成や組織の運営とは関係がない。「マネジメント」がつく言葉を挙げてみればわかるだろう。たとえばタイムマネジメント、タスクマネジメント、リスクマネジメント、ストレスマネジメント……といったものがある。

マネジメントと同義の「管理」ではどうだろう? 自己管理、時間管理、タスク管理、リスク管理、生産管理、在庫管理、健康管理……。このように多岐にわたる。

組織とは関係がなく、個人でもできるマネジメント・管理も多いことがわかるはずだ。

それでは、どのように「マネジメント」を言葉で表現したらいいのだろうか。そこで私が定義している言葉を紹介しよう。マネジメントとは、目標を達成させるためにリソースを効果効率的に配分することだ。

つまりマネジメントは「目標達成」のためのメソッドだ、ということである。あるべき姿、理想のゴールをめざすために仮説を立ててマネジメントサイクルを回すこと、それ自体がマネジメントなのである。

だから個人でもマネジメントスキルを身につけることは、とても重要なことだ。

■マネジメントは「出発地」と「経由地」と「目的地」で考える

目標を「目的地」と表現すると、わかりやすいと私は考えている。なぜなら「目的地」は一つしかないからだ。

どんな仕事であろうと、単純に分解したら、「出発地」から「目的地」をめざす登山のようなものだと受け止められる。とはいえ自分自身に「頑張れ」「もっと積極的に」「自分の頭で考えろ」などと精神論を繰り返しても、なかなか目的地にたどり着けないだろう。それどころか迷子になる可能性さえある。

だからマネジメントが重要なのだ。仮説で「経由地」を言語化し、目的地に到着するためにキチンと経由地を通っているか。定期的にチェックするのである。これがマネジメントの本質的な考え方だ。

出発地、経由地、目的地の3つは、必ず頭の中に入れておこう。

■マネジメントスキルを鍛えるために「目標管理シート」を使い倒そう!

組織のマネジャーであろうが、組織のメンバーであろうが関係がない。誰だってマネジメントスキルは必要であるし、いつだってそのスキル向上のためのチャンスはある。

では、どのようにマネジメントスキルを高めたらいいのか? すべてのビジネスパーソンが意識できるのは「評価」である。

多くの企業では「目標管理シート」を、個人個人の評価に活用しているはずだ。目標管理シートとは、目標管理制度(MBO)に基づいて成果や目標を管理するためのシートのこと。ここでも「管理」という表現が出ているように、自分自身の評価を最大化させるために管理(マネジメント)することが重要だ。

期限は1年間だ。この間に、自分が活用できるリソース(社内リソースを含む)を効果効率的に配分しながら目標達成をめざせばいい。そうすれば確実に評価は最大化するだろう。

そのためには、先述した3つの「地点」を意識するのだ。

(1)出発地
(2)経由地
(3)目的地

このうち、最もわかりやすいのが「目的地」である。評価者である上司としっかり合意形成しておけば、目的地が変わることはない。そのためには、できる限り定量的に表現しよう。

「スピーディなお客様対応を心がける」

「積極的な改善提案を出す」

といった定性評価は、印象によってずいぶんと変わってしまう。だから、

「年間5社の新規を開拓する」

「新商品の企画を月に1回提出する」

このように数字で表現しよう。定性的な表現で逃げたほうがラクかもしれないが、そのせいでマネジメントスキルは鍛えられない。だから定量的に目標を決めることから逃げてはいけない。

明確な目的地が決まったら、次は「出発地」を正しく認識しよう。

「年間5社の新規を開拓するには、自分にはどんなリソースがあり、どんなリソースが足りないのか?」

「新商品の企画を月に1回提出するには、自分にはどんなリソースがあり、どんなリソースが足りないのか?」

目標を達成できない人は、現状認識が甘い。目標だけを見据えてがんばろうとするため、何をどのようにすればいいかわからない。ガムシャラに努力するだけだから、評価されないと、

「私の努力を買ってください」

と言いだすようになる。これではいけない。単にマネジメントスキルが低いからそのようになるのだ。

評価者である上司などと対話し、達成するために足りているリソースと不足しているリソースを明らかにしよう。そうすることで、自分のどのリソースを活用し、足りない分のリソースはどのように調達するのか。マネジメントの基本である「効果効率的なリソース配分」ができるようになる。

■マネジメントスキルを鍛えたら「一石三鳥」を狙える!

リソースが正しく活用されているか、キチンと調達できているかは、しっかりと「経由地」を明文化していくことでチェックできる。

「年間5社の新規を開拓するために、毎月30社の新規開拓リストを作成して接触を試みる」

「新商品の企画を月に1回提出するために、週に1回業界情報を収集して月1回の社内勉強会で発表する」

このように、目的地をめざすにはどんな地点を経由すべきなのか。この経由地もぼかさず、明確に数字で表現しよう。そうすることでPDCAサイクルの「チェック」が正しくできるというわけだ。

私はこの方法でマネジメントスキルを身につけることを強くお勧めする。一石三鳥だからだ。評価を意識しながらマネジメントスキルを鍛えようとすることで、次に紹介する3つのメリットがある。

(1)目標が達成する
(2)評価が最大化する
(3)マネジメントスキルが向上する

さらに、上司との関係もよくなるという副次効果もある。やらない手はないだろう。ぜひ目標管理シートを使ってマネジメントスキルを鍛えてもらいたい。

<参考記事>

頭がいい人の「問いを立てる力」とは? 初心者が驚くほどコーチング技術を身につけられる秘策

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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