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【衝撃】日本の「ゼロ勉強社会人」は52.6% なんと1日の勉強時間は平均13分だけ

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて筆者作成)

■1日平均たった13分!社会人の勉強時間

衝撃のデータである。

総務省統計局が2016年に実施した「社会生活基本調査」によると、社会人の勉強時間は平均1日6分だった。

その6年後、2022年に実施した同調査によると、平均1日13分だったことが明らかに。

約6年の間で、たったの「7分」しか増えていない計算となる。勉強している人としていない人を混ぜていることを加味しても、あまりにも少ないではないか。

リスキリングという言葉が浸透しはじめたのは2020年の頃からだ。世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において「リスキリング革命」という言葉が使われたことがきっかけである。

とはいえ、日本人の勉強不足はいっこうに改善されず、日本政府も個人のリスキリング支援に5年で1兆円を投じると2022年に表明した。

そして同じ2022年は「人的資本経営元年」と位置付けられたのだが、本当に「日本人の勉強不足」は解消されていくのだろうか?

■日本の「ゼロ勉強社会人」は52.6%に!

別の角度で日本人の勉強不足について解説したい。欧米やアジア諸国を含めた調査を見ても、日本人が突出して「勉強不足」であることがわかる。

勤務先以外での自己研鑽に関する調査では、次のような結果となった(パーソル総合研究所の調査)。上位5つの項目を見てみたい。

<世界平均>

・読書(34.5%)

・研修・セミナー、勉強会へ参加(30.4%)

・資格取得のための学習(22.0%)

・通信教育・eラーニング(21.8%)

・語学学習(20.9%)

<日本>

・読書(23.2%)

・研修・セミナー、勉強会へ参加(11.6%)

・資格取得のための学習(15.9%)

・通信教育・eラーニング(7.1%)

・語学学習(9.9%)

<世界との差>

・読書(マイナス11.3%)

・研修・セミナー、勉強会へ参加(マイナス18.8%)

・資格取得のための学習(マイナス6.1%)

・通信教育・eラーニング(マイナス14.7%)

・語学学習(マイナス11.0%)

欧米のみならず、アジア諸国と比べても、すべての項目で大きくマイナスである。

さらに衝撃的なのは次のデータだ。

<世界平均>

・特に何も行っていない(18.0%)

<日本>

・特に何も行っていない(52.6%)

<世界との差>

・特に何も行っていない(プラス34.6%)

なんと日本では5割以上が「ゼロ勉強社会人」なのである。

■本当に読書してる? どれぐらい読書してる?

私が気にしているのは、どんな勉強をしているかではない。社内か、社外かも気にしない。

まず大事なポイントは「時間」である。

「時間よりも中身が大事だ」

と言う人もいるだろう。しかし、それはある程度の学習習慣がついてからの話だ。

勉強嫌いの学生に、

「勉強時間よりも、まずは勉強の中身だ」

と言う塾の講師はいない。

「何はともあれ、まずは勉強時間を確保しろ」

と指示するのが普通だ。運動部の練習とは違うのだから、どれほどの時間をかけても怪我はしないし、毎日10時間も15時間も勉強しない限り、病気になることもない。まずはクセ付けから始めるのだ。

だから「1日平均13分」という数字がとても気になる。日本人の「社外の学習状況」調査では以下のような結果だった。

・読書(23.2%)

・研修・セミナー、勉強会へ参加(11.6%)

・資格取得のための学習(15.9%)

・通信教育・eラーニング(7.1%)

・語学学習(9.9%)

こういうデータで気をつけなければならないのは、

「やっているか/やっていないか」

の二択になっているということだ。1年に1冊ビジネス書を読んだ人も「23.2%」に入っているかもしれない。

そう考えたら、「特に何も行っていない」と答えた人と、ほぼ同じではないか。1年に1冊ビジネス書を読むぐらいでは、何も身に入らない。研修やセミナーへの参加もそうだろう。

勉強は運動と同じだ。1年に1回ぐらい筋トレしたからといって、

「筋トレしてます」

とは言えないだろう。中身も大事だが、まずは量や時間を測らないと、本当の実態がわからない。

■社会人に必要な「ダム勉強」

私が奨励するのは「ダム勉強」だ。

ビジネスの世界では「ダム経営」という言葉がある。ダム経営とは松下幸之助氏が提唱した経営哲学の一つだ。

ヒト・モノ・カネに代表される経営資源に余裕を持って経営をすることだ。不確実性の高い現代において、ますますこの経営理論は重要性を増していると私は考えている。

社会人の勉強もそうだ。

目の前の仕事に一所懸命になることも大事だ。しかし、どんなに時代が変わっても、年齢を重ねて経験のない仕事に就いたときでも、スムーズに成果を出せるよう、知識資源、スキル資源を蓄えておくのだ。

そもそも、学習習慣がない人は脳が鍛えられていない。1年に1回ぐらい読書しても、脳の認知力や記憶力が衰えていたら、せっかく勉強しても身にならないものだ。

しっかりと勉強時間を確保して、ダム勉強を心がけてほしい。教育は社会人になるまで受けるものだが、社会人になってからは教育を受けるのではなく、みずから率先して勉強することを心がけたい。

社会人になってからは、ますます主体的に勉強時間を増やすことを意識すべきなのである。

<参考記事>

なぜ頭がいい人は脳の海馬を鍛えているのか? 認知力・記憶力をアップさせる4つの方法

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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