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【5700文字】大事なときに「本領発揮」できる部下の育て方(前編)

横山信弘経営コラムニスト
(提供:アフロ)

■自分の強みを見つける前に、置かれた場所で本領発揮せよ

仕事をするうえで、あなたはときおり本領を発揮しているか? 

あなたの部下は日ごろからじゅうぶんに本領発揮しているか?

本領と聞くと、多くの人は「強み」と混同する。どちらも、その人にしかない特別な能力、資質を指す言葉で、意味は似ている。しかし本領のほうが身近だ。特に会社員など、チームで仕事をする人にとってはそうだろう。

「私の強みは語学です」

と言っても、現在所属しているチームで本領発揮するときがなければ、チームにおいてその強みは意味がない。

採用面接で考えたら、その違いは明らかだ。面接で、

「あなたの強みは何ですか?」

とは聞かれるが、

「あなたの本領は何ですか?」

とは聞かれない。

つまり「強み」というのは主に就職や転職する際に、意識すべきアピール材料だ。

それぐらい「強み」は抽象的だ。普遍的で、長期的で、会社や業界を変えても通用するファクターである。

強みは「能力」だけではない。「経験」も含まれる。「知識」も「肩書」も「人脈」も、お金などの「資産」も含まれるだろう。

だからこの場合の「強み」は、アピールポイントのようなものだ。

「金融機関で20年務めてきました」

「インテリアコーディネーターの資格を持っています」

「IT業界のM&Aに関しては、知識も経験もあります」

「私はアジアを中心に、4か国で駐在していました」

「Twitterで7万人、Instagramで10万人のフォロワーがいます」

このようにアピールされたら、

「へえ、すごい」

「皆さん、いろいろな強みをお持ちですね」

と言いたくなる。

しかし、その強みがあることと、実際にチームで本領発揮できるかどうかは別だ。

「私は5か国語を話せます」

と言われたら、普通は

「凄いですね」

と返したくなる。しかしこれを言ったのが自分のチームのメンバーだったら

「だからどうした」

「うちのチームでは、5か国語話せても意味がない。それより、お客様から悩みを相談されたら、丁寧に応対することのほうが大事だ」

と思うリーダーもいる。

本領は「強み」と比べてはるかに具体的だ。そして

「今日のアイツは本領を発揮してたよ」

というように、具体的なエピソードを引用して使う。

どんなに能力が高く、経験が豊かで、素晴らしい資格や肩書を持っていたとしても、それらのリソースを使って本領発揮してくれなければ意味がない。

「自分の強みを見つけたい」

多くの人がそう言うが、私はそういう人に伝えたい。

「自分の強みを見つける前に、置かれた場所でまず本領を発揮せよ」

と。

■なぜ「強み」は幻想なのか?

自分視点で考えると、誰もが「強み」を持ちたがる。だから資格をとりたくなるし、いくつかの肩書を手に入れようとする。

「私は〇〇社団法人の理事をやっていました」

「来年から中小企業診断士をめざそうと思ってます」

とアピールしたがる人はロマンティストだ。それさえあれば、世の中で必要とされる人財になれるという幻想を抱いている。反対にリアリストは違う。実際に、このチームで自分の力が本領発揮できるかどうかを考える。

「今のチームでは、英語より雑談がうまいほうが貢献できる」

と考えたら、雑談スキルを磨いたほうがいい。そうすると、

「君の雑談力で、取引先の社長が大喜びしていた。まさに君の本領発揮だな」

と上司に褒められる。

そもそも、どこにいっても通用する「強み」など、ほとんど存在しない。

たとえば、こんな質問をしてみよう。

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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