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悩める中高年 「部下ガチャ」でハズレを引いたら、どうすればいいのか?

横山信弘経営コラムニスト
(写真:Paylessimages/イメージマート)

■「上司ガチャ」より「部下ガチャ」のほうがキツイ?

中高年サラリーマンは、悩みがいっぱいだ。不確実性の高い現代においても変わらぬ成果を求められるし、多様な価値観を持つ部下の育成も任される。

最近「親ガチャ」「上司ガチャ」という言葉がよく使われる。「親ガチャ」とは、どのような親のもとに生まれてくるかによって人生が決まってしまうという意味。「上司ガチャ」も同じ意味だ。子どもは親を選べないし、部下も上司を選べない。だからこんな風な言い方が流行るのだろう。「親ガチャ」や「上司ガチャ」に関する記事やニュースは、最近とくに増えている。

しかし、子どもが親を選べないのと同様、部下も上司を選べないというのはどうか。私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。現場に入るから実態を知っている。もちろん組織人である以上、部下が自分の上司を選ぶことは困難だ。しかし、どうしても上司と相性が悪いのであれば異動や転職という手がある。まだ20代、30代であるなら、いくらでも転職先は見つかる。子どもが親を選べないのとは、まるで事情が異なる。

いっぽう上司はどうか。上司は部下を選べるのかというと、そんなことはない。小規模事業者の社長でない限り、自分で採用し、みずから自分の部下を指名できるような人は、ほとんどいない。限られた選択肢の中で、

「AさんよりもB君かな。いや……B君だったらCさんのほうがいいか」

という感じで、選ぶとしても消去法だ。採用プロセスまで関わらないと、みずからの意思で部下を選んでいるとは言えないからだ。

また若手と異なり、40代、50代なら簡単には転職できない。相性の悪い部下をチェンジしてほしいと会社に要求しても、よほどの理由がない限り、

「部下を育てるのが君の仕事だろう」

とお叱りを受けるに決まっている。上司に対する部下の文句ならともかく、部下に対する上司の文句を、一般的に会社は受け入れないものだ。

■もし「部下ガチャ」でハズレを引いてしまったら

「部下ガチャ」でハズレを引いてしまったら、どうなるのか。まずは想定されるマイナス面を列挙しよう。

・ムダな仕事が増える

・自分の仕事ができなくなる

・以前より感情的な性格になる

・部下が成長せず自分の評価が落ちる

なぜ、こんなことが起こるのか。ハズレを引いてしまうと、教科書どおりのマネジメントがその部下には通用しないからだ。お互い合意をしたはずのこともやらないし、成果を出すまでみずから試行錯誤を続けないし。そんな姿勢では、どんなに指導しても、部下は成長しないだろう。部下に他責の習慣がある場合は、とくに苦労する。

「うまくいかないのは、自分の責任ではない」

と言い張るからだ。それほどメンタルが強くない上司だと、精神的な負荷が増え、メンタルがやられてしまうこともある。

こうなったら最悪だ。

■部下の指導記録は残しておく

しかも昔と異なり、世の中の上司たちは、それほど部下に関わっている余裕はない。昨今、経済同友会の夏季セミナーでサントリー新浪社長が『45歳定年制』を発言した。45歳定年制にするかどうかは別にして、

「個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」

という主張は、広く受け入れられている。つまり、どんなに実績があっても、早晩会社に依存する人材は必要とされなくなる。40歳になるまでに、キャリアの複線化を考えなければならない時代となったからだ。

だからこそ、こんな時期に、自分の仕事に集中できず、評価も落とし、リスキリング(学び直し)する意欲もわかなくなってしまったらマズい。部下に足を引っ張られるわけにはいかないのだ。そう考える中高年も多いだろう。

部下に正しく指導し続けたことが条件だが、それでも難しいと感じるなら、

「3年指導してきたが、私との相性が悪い」

と言って、部下を変えてもらうか。みずからの異動を申し出ることもあっていいと私は思う。

「なぜ部下でなく、上司の私が異動しなければならないのか」

とは考えないほうがいい。これまでの努力をアピールしたいだろうが、グッと我慢する。そして「不徳の致すところ」「私の努力不足です」と謙虚に申し出るほうがいい。部下の悪口や不満を披露したところで、自分の評価を落とすだけだ。

ただし、記録は残しておこう。

部下に指導したこと。その指導に対する部下の反応、その後の行動、そして成果が出るまでの努力のプロセス。それらをできる限り、事実として残しておくのだ。記録を残すことで、本当に自分が正しくマネジメントしてきたのか振り返ることにも繋がるし、それに、ここまでやったのにうまくいかなかったのだから、決して自分の責任ではないと潔く認めることもできるようになる。

繰り返すが、現代は「上司ガチャ」より「部下ガチャ」のほうがキツイ。部下側はそれほど準備しなくても別の選択をできる。だが、上司側は日ごろからの自己研鑽や自己マネジメントをしていないと行動レパートリーが減るからだ。なので、世の中の中高年サラリーマンは、じゅうぶんに備えをしておこう。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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