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相手に「ナメられない」話し方・接し方3つのポイント

横山信弘経営コラムニスト
(写真:アフロ)

■ナメた態度をとる人の心理的状態

「そういう言い方ってないと思うんだけど」

「は? なんで?」

親でも上司でも先生でもない人から、上から目線で話をされたり、軽く扱われたりすると、とても嫌な気持ちになる。相手の話は聞いているのに、こちらの話は聞いてくれなかったり、相手の要望は叶えようとするのに、こちらの期待には応えくれなかったり。このような態度で接せられると、相手にナメられているな、と感じるものだ。

人間は常に「安心・安全の欲求」を満たそうとする。自分に対してナメた態度をとる人は、普通に話をしていても、こちら側の話を無視していても、「安心・安全の欲求」が満たされていると言えよう。こちらがどのように感じていようとも居心地の悪さを感じない。したがって、相手にワガママを言っても、無理なことを頼んでも平気なのだ。

「どうして私はあなたの要望にこたえようとしているのに、あなたは私の願いを聞いてくれないの?」

と問い掛けても、

「別にいいでしょ。私の勝手じゃないの」

という反応をする。それを言葉で表現するかどうかは別にして、こちらがどんな反応をしようが、相手は平然としている。「安心・安全の欲求」が満たされてしまっているからだ。これではいつまで経っても「ナメられた」状態から解放されない。

では、どうすればいいのか?

ナメられないようにするには、相手の「安心・安全の欲求」を満たそうとしないことだ。相手の期待にこたえないようにする。そうすれば相手はペースを乱されたと感じ、動揺することだろう。

自分のペースに合わせようとするか、こちらのペースに合わせようとするか、どちらかだ。自分のペースに合わせたいと相手が思ったら感情をぶつけてくるかもしれない。こちらのペースに合わせるというのであればご機嫌伺いをしてくるだろう。

■ポイントは「無関心」「無表情」「無反応」

普段接しているなかで、実践してみよう。

たとえば相手の期待にこたえるような話し方は、感度を高め、正しいレスポンスをすることだと思う。相手が笑ってほしいときに、こちらが笑う。関心を寄せてほしいときに、こちらも関心をよせる。相槌を打ち、表情を豊かにして期待にこたえるような反応を示す。いっぽうナメられたくないのなら、この逆をやればよい。

つまり、

● 無関心を装う

● 無表情で聞く

● 無反応な態度で接する

要するにポイントは「無関心」「無表情」「無反応」だ。当然のことながら、いつも「無関心」「無表情」「無反応」でいると、そういう人だ、とレッテルを貼られるだけなので、ナメられたくないときにだけ、実践することが重要だ。

そして「安心・安全の欲求」が満たされず、相手が居心地の悪さを感じ始めたと思ったら、「5W1H」を使い、こちらのペースで質問をしていく。相手のペースがかなり乱れることは間違いないだろう。

A:「このビジネス書、なかなか参考になった。貸してくれてありがとう」

B:「そうなんだ。それならよかった(関心ある表情)」

A:「最近スマホばっかり観ているから、たまにはビジネス書も読まないとな」

B:「たしかに、そうだね(笑顔)」

A:「ところで明日の夜、どうしても彼女とデートする約束があるから、部長から言われている作業、代わってくれないかな。よろしく」

B:「……(無表情)」

A:「な、頼んだぞ」

B:「……(無反応)」

A:「聞いてる?」

B:「は?(無関心)」

A:「いや、だからさ、明日の夜、部長から頼まれてる作業があるって、言っただろ。あれ、どうしても代わってほしいんだよ」

B:「……(無表情)」

A:「……」

B:「……(無表情)」

A:「なァ」

B:「いつの話?(無表情)」

A:「だ、だから明日の夜だよ」

B:「何時から?(無表情)」

A:「ええと、夕方の6時からだよ、いや、7時からだったかな……」

B:「何が?(無表情)」

A:「え……。何が、って」

B:「だから、何が?(無表情)」

A:「何が、って……。部長から頼まれた作業だよ」

B:「いつ、部長から頼まれたの?(無表情)」

A:「え、いつって……。いつだったっけな……」

B:「……」

最初は調子を合わせてきたBさんだが、Aさんが頼みごとを押し付けようとした瞬間からBさんの態度は急変。このギャップにAさんは居心地の悪さを覚えるはずだ。

■ナメられない基本姿勢も大事

これまでは無理難題を押し付けても、Bさんはやってくれていた。なので、調子に乗って今回も押し付けてやれと考えていたAさんは調子が狂う。

結局、BさんはAさんの強引な頼みごとを引き受けることになるかもしれない。しかし、このような態度を繰り返せば、さすがにAさんはBさんに無理強いをすることができなくなるだろう。ナメた態度ができなくなる、ということだ。

頼みごとをするのであれば、それなりに理由を考えなければいけないとか。相手にメリットのあることを強調しないと難しいだろうと思うはずだ。もしも反対に態度を悪くし、

「なんだお前、最近調子に乗ってんじゃないのかァ?」

などと言ってくるのであれば、これはもうハラスメントか虐めである。「ナメている」の領域を超えている。しかるべき対処が必要だ。

もちろん基本姿勢として、自分がやるべきことをキッチリやっていることが前提である。やるべきことを「やっていない」「やるのが遅い」「やり続けていない」のなら、人間としてナメられて当たり前。それらができているのに、ナメられてしまう場合に使える、簡単な話し方・接し方を解説した。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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