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【在宅勤務】なぜ脳を錯覚させると仕事がはかどるようになるのか?

横山信弘経営コラムニスト
考えれば考えるほど、効率が悪くなる人……(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

■「恋の吊り橋理論」?

緊急事態宣言が発動され、在宅勤務をはじめたビジネスパーソンが多くいるだろう。しかし慣れない人が大半ではないか。たまに在宅のほうが効率のいい仕事ができる、という人もいる。が、そんな人はまれだ。ほとんどが、周囲の目のない環境での仕事に違和感を覚えている。

緊張感が乏しいことが原因で、サクサク仕事を片付けることができない人も少なくないだろう。

そこで「恋の理論」を活用した、仕事がはかどるテクニックについて解説しよう。

現時点では、意味がわからないだろう。だが、読み終わったころには理解できているはずだ。そしてすぐに実践したくなるだろう。現在、在宅で仕事をしている人は、ぜひ参考にしてほしい。

さて、まずは「吊り橋効果」という言葉から解説したい。

「吊り橋効果」とは、吊り橋の上のような恐怖を感じる場所に男女二人でいると、恋愛感情を抱きやすくなるという心理効果だ。嘘のようで本当にある現象である。

吊り橋の上にいるから「ドキドキ」するのか、それとも近くにいる異性を意識して「ドキドキ」するのか。脳は判別できないのだそうだ。これをカナダの心理学者が発見したのが、別名「恋の吊り橋理論」だ。

たしかにアクション映画を観ていると、最初はいがみ合っていても、危険にさらされているうちに主要人物の男女がどんどん恋に落ちていく様を見る。悪党に追い回される「ドキドキ感」が、そのような心理効果を作り出しているのだろう。

では、この「吊り橋効果」を利用し、仕事を気持ちよく片づけるためには、どうすればいいのか。

■「感覚」と「認識」の順番が逆?

そのことを解説する前に、「感覚」と「認識」についての前提知識を理解しておこう。

本来なら「感覚」というのは、「認識」のあとにくる心の動きだ、と多くの人が思い込んでいる。だから恋情というのは、

「この人に恋をしている」

という認識が先にあって、そのあとに、

「ドキドキ」

という感覚がくるもの、と考えるだろう。吊り橋の上に立っているから覚える「ドキドキ」と、恋の「ドキドキ」とを混同するはずがない、と。

しかし、実際は違うのだ。

「感覚」が先にあって、「認識」があとにくるのである。だから、異性と一緒にいてドキドキすることで、

「ひょっとして恋なのかしら?」

と気付く(認識する)のである。これはまさに「感覚」が先で「認識」があとの、典型例だ。

なぜ新型コロナウイルスの報道を見つづけていると、不安になってくるのか。それは不穏な映像や、報道に関わる人たちの曇った表情や暗い言葉に、不安材料がこれでもかと詰め込まれているからだ。

だからまず不安という「感覚」を覚える。そして「これはヤバい」という認識を持つのである。報道に触れれば触れるほど、不安な感情が湧き出てくるのは、このような原理があるからだ。

ということは、仕事をはかどらせるためには、はかどっているという「認識」よりも先に「感覚」を覚えればいい、ということになる。

■ 本当に「感覚的」でいいのか?

いや、ちょっと待て。本当に感覚的に仕事を処理していいのだろうか。誰もがそう疑問に思うだろう。

本来の理想は、こうだ。

・段取りや優先順位を考えて → 仕事を片付ける

・仮説を立てて → 仕事を片付ける

・任せられる仕事は任せ、自分がすべきことに集中して → 仕事を片付ける

論理思考力が高い人は、このように仕事を次々に片付けるだろう。

事前に仮説を立てたり、アウトライン(段取り)をつくったりもせずに仕事をスタートさせたら、手戻りが多くて、まるで思惑通りに仕事が進まないからだ。

そんなことは、百も承知だ。仕事を効率的に進めることを指南するビジネス書を一冊でも手に取れば、必ず書いてあることだ。

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントだ。だからわかる。実際はほとんどの人がそういった論理的なテクニックを駆使しようとせず、思惑通りに仕事を進められてもいない。

仕事をはじめるのも遅いし、期限通りに終わらせることもできないので、周囲から文句言われてばかりだ。文句が言われれば言い訳をしたくなるし、そもそもこんな仕事をなぜ自分がやらなくちゃならないんだという愚痴が出てくる。

だいたいオフィス勤務であっても、大概の人がこんな有様なのに、このような人たちが在宅勤務になったらどうなるのか。

以下のようになってしまうだろう。

・段取りや優先順位を考えようとするが途方に暮れて → そもそも段取りとは何かがよくわからないので、だらだらネットサーフィンして学ぼうとして → よくわからないので、結局はいつもの通り非効率的なやり方で仕事を片付ける

・仮説を立てようとするが、そもそも仮説って何かがわからなくて → いろいろ考えるのだがわからなくなって → この仕事を片付けることを先送りする

・任せられる仕事は任せようとして → 誰かに電話をしたりメールをしたりするがなかなかうまく任せられず時間だけを浪費して → 結局は自分で仕事を片付ける

在宅勤務になって、「さあ論理的にやろう」と決意してもムリだ。ふだんから感覚的にやっているので、ちょっとした決意ぐらいでは、そう簡単に思考パターンは変えられない。

だから自分を錯覚させるために、「はかどっている」という感覚を味わうのだ。感覚思考の人はそのほうが手っ取り早い。

■嘘から出た実(まこと)

では「吊り橋効果」を使って仕事をはかどらせるには、どうしたらいいのか。

簡単だ。本当は、はかどってもいないのに、「仕事がはかどっている」という感覚を覚えればいい。それだけである。

吊り橋効果もそうだ。

本当は恋情を抱いてもないのに、たまたまそのような感覚を覚えるから錯覚する。錯覚であるのに、だんだんと本物の恋に発展するのだから「嘘から出た実(まこと)」と言える。

だから、周囲の目がないのをいいことに、思いついた仕事をどんどん片付けてしまおう。組織の目的に沿っているか沿っていないか関係なく、とにかく仕事という仕事を取捨選択することなく、思いつくままに片付けていくのだ。

片付けて、片付けて、片付けまくる。

グズグズ言わない。グダグダ考えない。ゲーム感覚で、思いついた仕事、無意味だと思うような頼まれごとも、とにかく片付けまくるのだ。

そうしていると、本当は順調に仕事が片付いているわけでもないのに、

「仕事がはかどっている」

という感覚だけは手に入る。

そうなればこっちのものだ。仕事がはかどっていると感じているのだから、だんだんと調子に乗ってくる。

仮説もなし。アウトライン(段取り)もなし。優先順位など考えず、思い付いた仕事からどんどんやっていく。すると、夕方になるころには、結果的にやるべきことがスッキリ片付いている、という期待した成果が手に入る。

在宅勤務だから、誰にも「無駄なことをしている」という事実がバレない。それがいいところだ。誘惑の多い在宅勤務。仕事をはかどらせるために、自分の脳を騙すのも一つの手だ。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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