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「たった1%の営業」しかできていないテレアポの秘訣とは?

横山信弘経営コラムニスト
話し方よりも大事なテレアポの秘訣とは? (写真はイメージ)(写真:アフロ)

■ ある社長の苦悩

「大きな投資をしてイベントを開催したけれど、まったく成果に繋がっていない」

と、先日ある社長から愚痴を聞かされました。「なんでこうなるんだ」と社長は憤っていましたが、イベントを開催し、成果が出ない理由は決まっています。来場者の数が少なかった、来場者の属性が想定と違っていた、イベントのテーマが悪かった――といったことではない。

案の定、その社長は否定します。「そう、そうじゃないんだ」と。ですから、私はズバリ言いました。

「イベント後のフォロー、キチンとしていないですよね」

「その通りです! どうしてわかったんですか?」

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。支援先は営業組織。とくに新規開拓をおろそかにしがちな成熟企業に、現場指導に当たることが多い。

「社長、私が言うことを守れば、すぐにでも改善できます」

「喋り方のコツとか、あるんですか」

「喋り方は、そう簡単に変えられませんよ。誰でもすぐにできて、効果が高い方法があります」

そう言うと、社長は身を乗り出して話を聴きはじめました。

■ スキルよりも成果が先

目標を絶対達成させるわけですから、私どもが意識する重要指標は成果です。スキルではありません。

「成果を上げることによって、結果的にスキルアップする」ということはあっても、「スキルアップさせて成果を出させる」という手順は踏みません。あまりに遠回りだからです。

大事なことはヒアリングスキルとか、トークスキルとか、スクリプト設計とか、そんなことではなく、まず行動の「タイミング」「量」「スピード」を最適化します。これらは、才能やスキルに左右されないファクター。習慣化しているかどうかの話ですので、私どもが支援に入ったら、真っ先にやってもらうことです。

本日のテーマである「テレアポ」もそうです。

■ 1%の営業しかやっていないこと

「実は先月のイベント来場者を電話でフォローしろと部下に言っているのです。ところが、きちんとやり切っていません」

社長がそう言うので、来場者のリストを見せてもらいました。180社あり、3人の営業に手分けしてフォローするように指示したそうです。

「イベントに来ていただいたときのアンケート結果や頂戴した名刺を見て電話するわけですから、電話をするほうも、受けるほうも心理的ハードルは低いですね」

「そうですよね。タウンページ見て、電話しろと言ってるわけではないんですから」

「大事なことは、3つのステータスをしっかり管理することです」

「3つのステータス?」

電話でお客様のアポイントをとる「テレアポ(テレフォンアポイントメント)」。テレフォンアポインターと呼ばれる、専門職がするのならともかく、一般の営業職がテレアポをするのであるなら、まず「話し方」などのスキルアップ以前に、今回ご紹介するステータス管理を、まず徹底させましょう。

これまで私どもコンサルタントは、数え切れないほど現場に入って指導してきましたが、ステータス管理をしてテレアポをしている営業は、ほぼいません。100人に1人いるかどうかの確率です。

誰でもすぐにできる管理手法ですから、営業がテレアポをするときは必ず実施しましょう。

■ テレアポは、3つのステータスで管理する

テレアポのステータスとは以下の3つです。

● スルー

● ペンディング

● クローズ

ひとつずつ解説していきます。

まず、電話がつながらなかった場合、もしくは話したい相手が留守だった場合を「スルー」と呼びます。こちらの用件に対し、相手の回答が保留されている場合は「ペンディング」とします。

「イベントに来たお客様に商談のアポイントをとるわけです。何らかの事情でお客様と話ができていない状態を『スルー』、話ができたけれど、ちょっとスケジュール調整させてとか、保留されたら『ペンディング』です」

「はあ」

社長は、拍子抜けしたような顔で私の話を聴きます。

3つ目の「クローズ」は、お客様と電話で話をして、明確な返事までもらった状態を指します。商談のアポイントをとれた場合はもちろん、

「情報収集でイベントに行っただけなので、けっこうです」

と断られても、この「クローズ」のステータスです。

「たったそれだけのこと?」

と社長は言うので、「そうですよ」と私は答えました。しかし誰でもできることですが、ほとんどの営業がやっていないことです。

■ フォロー電話の盲点

イベントに来場したお客様に対してフォローしたのか? と質問すれば「した」と答える営業が大半でしょう。しかし、何を「した」のか? それを確認すべきです。

電話をしただけなら、お客様が留守であっても「した」ことになります。お客様と電話で話ができても「ちょっと検討させてください」と言われただけなら、後追いをしなくてはいけないのに、それを怠った。しかし、電話をして相手と話をしたことには変わらないので、こういうケースでも、フォローは「した」と答えるでしょう。

現場で指導する私たちコンサルタントは、それを許しません。

一般の営業職は専業のテレフォンアポインターと異なり、既存のお客様対応など、いろいろな業務をこなしながらテレアポをします。だからこそ、きっちりステータス管理をしなければなりません。

巧みな話術など要りません。緊張せず、普通に電話で話すだけです。本当に、誰でも、すぐに実践できることです。先述した社長の会社も、すぐに実践し、アポイント獲得率が3倍以上に跳ね上がりました。

ぜひ、テレアポで悩んでいる営業職の方は参考にしてみてください。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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