ゾゾが球団経営の常識変える?

ゾゾスーツなど、次々と常識破りの戦略を打ち出す前澤社長(写真:つのだよしお/アフロ)

IT企業がプロ野球球団を持ちたがる理由

「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイの前澤社長が「プロ野球球団を持ちたい」とツイートして話題となっています。IT企業は、新聞社、鉄道会社などと比較して、固定費も小さくできるし、変動費も多く必要ありません。高くない損益分岐点売上高をいったん超えたら、利益はどんどん伸びていくものです。

このような特徴のあるIT企業は、メディアに取り上げられる頻度が抜群に高いプロ野球球団を所有し「知名度」を上げることによって、収益構造をより堅牢にすることができます。ライブドアが球団の買収に動いた2004年のときと、同じ理由と言えるでしょう。

前澤社長の経営判断は理にかなっている

スタートトゥデイの事業「ZOZOTOWN」は楽天と同様、一度利用をはじめたら、しばらくは他のサービスに乗り換えることが難しい「プラットフォーム事業」です。知名度をアップし、一人でも会員を増やしたいがために、常日頃から広告宣伝費にはお金をかけています。ただ「ZOZOTOWN」の会員は20~30代の女性が多い。男性や、幅広い年齢層に利用してもらうためにも、プロ野球球団を持つ意義は高いと言えるでしょう。

また、もっと大きなメリットもあります。それが人材確保です。経済産業省の調べによれば、IT技術者は2019年の約92万人をピークにして減少すると言われており、とくにAI技術者は争奪戦になることが必至。子どもたちに夢を与えるプロ野球の知名度を生かしたブランド力強化は、採用面でも大きな強みを発揮すると考えられます。

「ZOZOTOWN」とのシナジー効果は?

「ゾゾ球団」が誕生したとして、メイン事業である「ZOZOTOWN」とのシナジー効果が期待できるかについても考えてみましょう。

まず大事なことは、球団を経営の”お荷物”にしないことです。

DeNAもソフトバンクも、球団経営で黒字化を実現しています。ソフトバンクは親会社の財務的恩恵を受けていると思われがちですが、ヤフオクドームを有効活用し、単体でも大きな収益を出しています(ヤフオクドームを買い取る資本があったからこそできたことですが)。

したがって正しい経営さえすれば、単体でも球団経営はうまくいきます。宣伝効果は計り知れないし、社員の自尊心も満足させることができるでしょうから、スタートトゥデイにはメリットが大きいと感じます。ブランド力がアップすることで優秀な人材が集まれば、球界にイノベーションを起こすことも可能でしょう。

あらゆる体型の人にフィットする服を提供するためのアイテム「ゾゾスーツ」など、革新的なアイデアで快進撃を続けるスタートトゥデイ。球団経営に乗り出せば、常識破りなことを仕掛けることは間違いありません。前澤社長は単なる思い付きでツイートしたのではなく、それなりに計算し、準備したうえでの”宣言”だったのではないか。今後の動向に注目したいと思います。