月日がたてばたつほど、新社会人が失っていく確かな「能力」とは?

(写真:アフロ)

実力の公式

これから、新しく社会に出る人に伝えておきたいことがあります。それは「実力」という言葉の定義を正しく知る、ということです。この言葉を正しく知ることで、どこへ行っても通用する人財になれるからです。「実力」の定義は、

実力=実績×能力

という公式で表現できます。

どんなに能力のある新入社員でも、社会に出たばかりの時点では「実績はゼロ」。ですから「実力もゼロ」です。実力がなければ「どこに行っても通用する人」にはなれません。実績がないうちは能力を高める努力なしでは、どうにもならないのです。

おそらく誰もが、過去に受験や資格試験勉強をした経験があるでしょう。したがって、そのときに費やした時間や労力、お金などが、何らかの意思決定をするうえでの重要な「判断基準」になるので思い出してください。

たとえば私が所属するアタックスグループというコンサルティングファームには、税理士や公認会計士がたくさんいます。ちなみに、公認会計士になるのに、どれくらい勉強したらいいかというと、約【3000時間】といわれています。これは受かった人の平均勉強時間ですから、実際には、もっと長時間を勉強に費やして受かった人もたくさんいます。単純計算で3年ほどは勉強漬けの日々です。受験勉強の比ではありません。ここまでやって、ようやく「公認会計士」という武器を勝ち取ることができます。

先述した「能力」というのは、費やした時間と労力に比例します。したがって公認会計士や税理士といった難関な資格を持っている人は、一般的に「能力がある」といって過言ではありません。(※先述したとおり「能力=実力」ではありません)

有名な大学を卒業した人、難しい資格を持っている人は、自分の履歴書や肩書にその事実を記すことができます。自分の「能力」をアピールできるからです。

いっぽう、私はそういう意味での「能力」はほぼゼロに近いと言えます。大学も出てなければ、何ひとつ資格も持っていません。にもかかわらず70年以上も続くアタックスグループの経営者のひとりにまでのぼりつめました。「能力」がないのに、税理士や公認会計士、社労士などが集まる200名近いコンサルティング会社のトップまで昇進できたのは、単に「実績」が買われたとしか言いようがありません。

「能力」も「実績」も両方あれば最高ですが、残念ながら私には「能力」がない。したがって「実績」だけで勝負したのです。コンサルティング会社を立ち上げ、10年以上、圧倒的な結果を出し続けたため、周囲も納得せざるを得ないと受け止めたのです。

試験勉強と比較するクセをつける

企業の採用面接で、よく「私の武器は、コミュニケーション能力です」などという人がいます。その都度、私は「その武器を獲得するのに、どれくらい努力したんだろう?」と思います。公認会計士と同じように、3年間ぶっ通しで努力したのでなければ、大したものではないだろう、とすら思います。

もしもコミュニケーションスキルを磨くのに「3000時間」も費やした、というのであれば、相当な能力があるはずです。噺家や演劇の劇団員、ニュースキャスターなど「喋りのプロ」とも比較できるレベルではないでしょうか。しかし友人から「話すのうまいね」と言われるレベルであれば、能力の基準が低すぎます。そんな能力が「どこへ行っても通用する」はずがないのです。

さらに言うと、会社に入り、営業部に配属され、2~3ヶ月経験しただけで「私、営業のセンスがないんです」なんていう人もいます。一般常識がある人から「ふざけるな」と言われても仕方がないレベルです。いったいどれほどの努力をした末に、そんな結論を出したのでしょう。

「自分には向いていない」「適性がない」「センスがない」……などと言う人は言葉を正しく知らずに使っています。たとえ共感してくれる人がいたとしても、同じように言葉を正しく知らない人にだけです。どこへ行っても通用する人になるためには、「どこへ行っても通用する一流の人」に共感される言葉を常に使っていなければダメです。なぜなら日ごろ使っている言葉がその人の「思考パターン」形作っていくからです。

新社会人だけが持っている最大の「能力」とは?

「最近の若い子は、根性がない」

「最近の若い子は、自主性がない」

「最近の若い子は、すぐやめる」

経営者や部長クラスの人から、よく聞く言葉です。本当にそうでしょうか。私は、経営者や管理者たちの認識のほうが間違っていると思います。いずれも、どこかで都合よく植えつけられたステレオタイプです。私たちコンサルタントが関わる新人研修では、20歳そこそこの入社したての人たちが、みな「期待半分、不安半分」といった面持ちを浮かべています。どんな規模の企業、どんな職種でも変わりません。

たいていは大学や大学院を卒業したところで、仕事の「いろは」の「い」も知らないのです。新人はみんな、今はできなくて当たり前、わからなくて当たり前です。

しかし、ただ一つだけ、誰にも負けない「能力」があります。そしてこの能力は、時間が経てば経つほど目減りしていく能力ですから、新入社員にしかない特殊なものです。

それは「やる気」です。

「やる気」という、この得体のしれない不確かなものも、私は「能力」だと受け止めています。

希望の会社に入ったかどうかなんて、関係ありません。とにかく、就職活動をして、ある企業に採用になりました。入社した時点で、心のベクトルは太く、まっすぐなままです。みな、「よし、これからがんばるぞ」という、フレッシュなやる気に満ち満ちています。この「やる気」「意欲」という美しい意志は、社会に出てから10年、20年経っていくと、取り戻したくても、なかなか手に入れることができない尊いものです。

汚れのないピュアな気持ち、純粋な心情を、できる限り長く保ってもらいたい。そう強く願っています。だからこそ、長い年月でバイアスがかかった価値観を持つ人たち(それが上司や先輩であれ、メディアに出てくる芸能人や評論家であれ)に感化されないようにしてもらいたい。純粋な意志を保つためには、純粋な「言葉」の意味を知ること。これに勝る努力はありません。

まずは「実力」という言葉の意味を正しく知りましょう。実力の公式は「実力=実績×能力」なのです。

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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