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「2億160万円」の福袋も登場! どうして福袋はこれほど人を魅了するのか?

横山信弘経営コラムニスト
2016年も「福袋」に群がる人たちが……(写真:ロイター/アフロ)

「2億160万円」の福袋も登場!

2014年には、アベノミクスを文字って「ブクロミクス福袋」という名の2,014万円の福袋が登場し、世間を驚かせました。しかし今年は2016年にちなんで「2億160万円」の福袋が登場。高島屋大阪店が出した、純金製茶道具セットの超高級福袋です。この福袋以外にも、高島屋大阪店だけで4万点、阪神百貨店梅田本店では6万点もの福袋を販売。

福袋は景気のバロメーターでもありますから、このような福袋がお目見えし、順調に売れているのであれば、引き続き景気が回復基調にあると受け止めていいかもしれません。景気の先行きが不透明になると、そもそもお金のある人もお金を使わなくなり、経済全体が停滞していきます。高額商品や福袋が売れるということは、明るいニュースであることに変わりません。

さて本題。今回は「福袋」に注目し、「福袋によるマーケティング戦略」について考えてみます。

福袋は経験マーケティング

経験マーケティングとは、製品・サービスに付随する経験そのものをマーケティング対象として設計することです。わかりやすい例は、ビュッフェ(バイキング)スタイルの食事でしょう。たとえ口にする食事の実際量がそれほど多くなくとも、ビュッフェというスタイル自体を楽しむことが消費者の期待価値となります。高級ホテルや一流レストランにとっては、この経験マーケティングが重要な付加価値となります。ですから昨年の「食材偽装問題」は大きな波紋を広げたのです。たとえ芝エビとバナメイエビの味を区別できなくとも、その経験自体にお金を支払っている人が多いからです。

福袋も「経験マーケティング」の考えに適した商材です。福袋を買いに行くまでのドキドキ感、ワクワク感が消費者にとっての付加価値なのです。購入までのプロセス、経験にこそ価値があるので、福袋の中に入っていたものが期待通りでなかったとしても、あまり感情的にならないようにしたいですね。宝くじやギャンブルみたいなもの。まさに射幸心を煽る商材なのですから。

「福袋」は企業側にも大きなメリットをもたらす

私自身も25年以上も前、福袋を作り、販売した経験があります。詳しくは書けませんが、「お金があっても福袋だけは買わない」と、そのときは強く誓いました。それほど当時は「在庫処分」の色合いの強い福袋が多かったように思います。しかし現代では、福袋の中にも素敵な商品が入っていることが多く、魅力的なキャンペーン商品に仕上がっています。とはいえ収益を上げるためには「誰もが欲しがるものばかり」を福袋に入れるわけにはいきません。

企業側のメリットは「在庫処分」「集客プロモーション」です。在庫処分のみならず、福袋をきっかけに来店したお客様に、他の商品やサービスの販売・宣伝効果も期待します。一石二鳥とは、まさにこのことです。

今年はスターバックスの福袋を買い占めた人が話題になっています。良くも悪くも、福袋は何かと新年の話題を提供するアイテムであることは間違いありません。企業側としては魅力的な福袋を企画して、毎年来店してもらえるようなリピーターを開拓したいですね。

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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